先週土曜日7/10(土)に、さいたまスーパーアリーナで行われたDREAM.15の全試合結果&レビューは以下の通り。



DREAM.15

7月10日(土) さいたまスーパーアリーナ 観衆:13028人


第1試合 ○中村和裕(2R 判定 3-0)カール・アモーゾ×

第2試合 ○石田光洋(2R 判定 3-0)DJ.taiki×

第3試合 ○小見川道大(1R 7'31" ギロチンチョーク)ジョン・ヨンサム×

第4試合 ×メルヴィン・マヌーフ(1R 7'38" アームロック)水野竜也○

第5試合 ○ゲガール・ムサシ(1R 0'31" ギロチンチョーク)ジェイク・オブライエン×

第6試合 ○J.Z.カルバン(2R 判定 2-1)菊野克紀×

第7試合 DREAMライト級タイトルマッチ

      ○[王者]青木真也(1R 1'53" アキレス腱固め)川尻達也×
       ※青木が王座初防衛




青木真也と川尻達也。


共にPRIDE活動休止→PRIDE消滅の憂き目に遭い、2007年大晦日の「やれんのか!」開催に至るまでずっと試合をせずに待ち続けた「戦友」同士が遂に対峙した今大会。


そんな彼らの対戦の結末は、あまりにも残酷であり、ものすごく清々しい結末であった。


今回も、彼らの試合を中心に数試合ピックアップして振り返っていこうと思う。



青木真也VS川尻達也


共にPRIDE活動休止→消滅の憂き目に遭い、2007年の「やれんのか!」開催から翌年の「DREAM」旗揚げと、同じ苦しさ、そして歓喜を共にした戦友同士の対戦。


彼らの対戦はまさに「やれんのか!」という3年に渡る壮大な歓喜と苦悩の物語の完結編であった。


しかし試合は僅か113秒、王者である青木が、挑戦者である川尻を足関で仕留めた。


あまりにも残酷な現実を見せ付けられて、あっという間に完結してしまった2人の3年間のストーリー。


でも、すごく試合が終わってから、見る側として凄く清々しい思いになれたなというのも事実。


彼らは113秒という短い時間の中で、互いの生き様を見せつけたのだから・・・。


「勝負」に対して冷徹な青木真也と、真っ向から青木に向かっていく「愚直」な戦いを見せた川尻達也。


あの113秒の中で何も感じないという格闘技ファンがいるとしたら、申し訳無いが格闘技観戦を辞めてほしいなと思う。


あの113秒はただの113秒ではない。


それをお互いの戦いから感じる事が出来ただけで、本当に清々しい気分になれたし、彼らに思い入れが出来た事を改めて幸せに思った。


青木は今後、もう1、2戦挟んでもう一度世界へ挑戦する事だろう。


川尻はまずは足を治して、戦える状態に戻すのが先。


「やれんのか!」完結以降、2人が歩んでいく道を、我々はじっと見守っていればいい。



J.Z.カルバンVS菊野克紀


カルバンを倒して、ライト級王座挑戦権を確実なものにしたい克紀と、DREAM初勝利を狙う「KING OF HERO'S」カルバンの一戦は、2Rにグラウンドでイニシアチブを取ったカルバンに軍配。


克紀が勝てなかったのは残念だったけど、HERO'Sの-70kg絶対王者カルバンの約3年ぶりの勝利は非常に嬉しい。


HERO'Sの-70kgトーナメントを2年連続で制した時の様な圧倒的な強さは、ここ数年続いた膝の慢性的な故障の影響もあって影を潜めたが、2Rに見せたようなグラウンドでのコントロールで自分のペースを離さなかったのは流石だなと。


あとはスタンドで相手を圧倒できれば完全復活は近いんじゃないかな。


克紀は1Rスタンドでプレッシャーをかけてはいたけど、決定打を相手にヒットさせるまでには至らなかったのが悔やまれる。


これで克紀が負けたという事で、王座変動がなかったDREAMライト級が停滞してしまった感は否めない。



メルヴィン・マヌーフVS水野竜也


やはり今大会のMVPを選ぶとしたら、やはり竜也しかいないんじゃないかなと思いますけどね。


マヌーフの猛攻を凌いで、グラウンドで徐々にペースを掴み、スタンドでもマヌーフをパンチでグラつかせるシーンを作って、最後は腕をきっちり極めての劇的一本勝ち!


DREAMの旗揚げ大会となったDREAM.1で、あのミルコ・クロコップに55秒でマットに沈められてから2年5ヶ月。


外に出たくなくなるくらいの挫折、仕事をやめてしまったことへの後悔。そして自らの実力を鍛えた海外修行を経て、久々に立ったDREAMで挙げた大きな1勝。


竜也にとっては本当に忘れられない、格闘技人生の中での大きな1勝になったんじゃないかな。


次の試合は、DREAMライトヘビー級のタイトルを懸けて、前Strikeforceライトヘビー級王者で、今大会ジェイク・オブライエンを僅か31秒で仕留めたゲガール・ムサシという超強敵が相手だが、とにかく今回見せたような「引かない戦い」をゲガール相手にも見せて、何とか一太刀入れてほしいな!



石田光洋VSDJ.taiki


青木、川尻と共に「やれんのか!」開催までずっと試合をしないで待ち続けた石田君は、青木、川尻のようにDREAMの中心になることは出来ず、挫折の日々を過ごしてきた。


そんな石田君は、今回長年戦ってきたライト級からフェザー級に階級を下げての試合。


青木と川尻が戦うリングで、再出発を図る形となった。


そして結果、素早いテイクダウンからのコントロール→パウンドという石田君らしい戦いぶりを15分間見せて、見事完勝で転向初戦を飾った形。


今回は勝敗云々よりも、戦友である青木と川尻が対戦するリングに立ったという事が重要で、青木と川尻の今後の動向が楽しみであると同時に、石田君がこの7月10日以降、どういった道を進むのかを見守っていきたい。



その他、ゲガールは前述の通り、ジェイク・オブライエンに秒殺一本勝ち。


吉田道場勢(カズ、小見川)はキッチリと勝利で終わった。



戦友同士の戦いを制した青木真也。


何も出来ずに敗れてしまった川尻達也。


そして新たな階級でリスタートを切った石田光洋。


彼ら3人に贈るエールは、やはりこの言葉しかない。


「やれんのか!」