平成23年3月30日に、企業会計審議会より内部統制実施基準等の改訂版が公表され、平成23年4月1日以降開始事業年度より適用となる。
主な改訂点は以下のとおり。
1.簡素化の可能範囲の明確化
(1)全社
①売上高で全体の95%に入らないような連結子会社を例示した。
②前年度の評価結果が有効かつ整備状況に重要な変更がない項目については前年度の運用状況の評価結果の継続利用が可能であることを明確化した。
(2)業務
①前年度の評価範囲だった重要な事業拠点のうち前年度の評価結果が有効かつ整備状況に重要な変更がなければ本年度の評価対象としないことができ、結果として売上高当の3ぶんの2を下回ることもありうると規定した。
②全社統制が有効であることを前提に、財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼすものを除いて、整備状況に重要な変更がなければ運用状況についても前年度の評価結果を継続利用して可。
(3)その他
①サンプリング
経営者評価のサンプリングの利用範囲拡大
②持分法
海外関連会社等について、投資損益の把握などの管理プロセスの確認も方法としてありとした。
③重要性の判断基準
過去一定期間の平均値の使用、特殊要因の除外、M&A等の場合のやむをえない事情について下期もあり、また下期に限られないとした。
④中小規模の企業
経営者が直接行ったモニタリング結果、監査役による棚卸結果を利用可能とした。
⑤用語
重要な欠陥について、開示すべき重要な不備とした。

監査人に企業独自の内部統制の手法を理解してもらえない、などの意見からこのようなかなり簡略化した方向になったようですが、企業独自の手法、そもそも収益の認識基準や費用計上の基準などがおかしいことが分かったりなどして、J-SOX以前の問題で監査人ともめてるところも多いような話聞きますが。どうなんでしょう。
ある知人から、転勤になった場合住宅ローン減税は受けられるのか質問を受けました。
国税庁のタックスアンサーにて説明されているとおりなのですが、とりあえずその内容を説明しておきました。
まず、転勤といっても、単身赴任となって家族は居住し続けるのかあるいは一家で新たな赴任地に行くため居住しなくなるのか、単身赴任となった場合でも国内なのかあるいは海外なのかといったパターンがあるかと思われます。
(1)単身赴任のケース
家族と別居状態になることですが、タックスアンサーでは「配偶者、扶養親族その他同一生計親族と日常の起居をともにしない場合」と表現しています。
そしてこの場合
①その住宅の取得等の日から6ヶ月以内にこれらの親族が入居し、その後も引き続いて居住しており
②当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められる場合には
③その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものと取り扱われ、適用を受けることができます。
平たく言うと、残った家族がその家にずっと住み続け、単身赴任を終えて戻ってきたらまたその家に家族と一緒に住み続けるのであれば適用ありということです。
ただし、住宅ローン減税を受ける者、つまりローンの借入名義人である単身赴任者が海外に転勤となって、その年の12月31日現在で非居住者(国内に住所がなく、居所も1年未満)になると適用は受けられなくなります。
(詳細は国税庁タックスアンサー 所得税No.1234をご参照ください)。

1.ポイント制度の長所、短所

(1)給付額の観点から

①長所

企業の立場からは、給付額の自動的増大を防止できることになる。従来型は基本給等の改定によって退職給付が増大していたのに対し、ポイント制度はポイント単価の変更により退職給付の改定を行うこととなる。

②短所

①とは逆に従業員の立場からは、実質的な退職給付の低下となる可能性がある。

(2)制度設計の観点から

①長所

ポイントの決め方によって年功重視、能力重視、成果重視などの設計が可能である。能力重視型にすると、従業員の勤労意欲向上も期待できる。

②短所

客観的運営が必要となる。能力重視といっても評価者の主観が強いと逆に従業員の勤労意欲の低下を招く恐れがある。

2.退職給付債務の算定

(1)算定式

退職金予想額×発生確率×当期末までの按分率×割引率

(2)退職金予想額算定

①従来型の最終給与比例制度

現在給与×昇給率×退職事由別支給率

②ポイント制度

退職時の予想累積ポイント×ポイント単価×退職事由別支給率

*退職時の予想累積ポイント

各期に付与される職能資格別ポイント×ポイント単価(=給与)より昇給指数を計算し推計

(3)当期末までの按分率

①労働の対価を反映しているか

ポイント制度では、ポイントの増加が各期の労働の対価を合理的に反映していると認められる場合に限ってポイント基準を用いることができる(原則は期間定額基準である)。だとすれば、ポイントの増加が各期の労働の対価を合理的に反映しているか否かが問題となる。ここで、従業員の退職後の生活安定等について現役時代の勤労の成果によって年金として支給するとした企業年金制度における、ポイント制度の適用要件を満たしているかが、労働の対価を合理的に反映しているかを考える1つの要件となる。

(4)期間定額基準とポイント基準の相違

従来の原則法である期間定額基準と、ポイント基準の主な相違は以下のようになる。

①退職給付債務算定において

将来昇給ポイントの予測が不要であり、現在の累積ポイントで評価できる。

②退職給付債務の大小

一般的にポイント基準のほうが小さくなる。

③成果型に着目して

能力、成果等成果型に重きを置いているポイント制度下では、ポイント基準による期間配分を採用せざるをえなくなる。

(参考文献:退職給付制度見直しの実務 中央経済社

      実務ガイド 退職給付会計 中央経済社

      ここがポイント! 退職給付会計 税務研究会出版局  )