アメリカ麻酔科学会は「周術期末梢神経障害予防のための実践勧告」を公開した Anesthesiology 2018; 128: 11-26

 

①術前の病歴と身体計画

・術前の病歴を確認:体型、既存の末梢神経障害、糖尿病、末梢血管疾患、アルコール依存、関節炎、性別

・術中の体位に耐えられるかどうかを事前に確認する

②上肢の体位作成

・腕神経叢障害の軽減:上肢外転を90度以内

・尺骨神経障害の軽減:前腕を回外または中立位、上腕骨の尺骨溝へなるべく圧がかからないようにする、肘の屈曲をさける

・橈骨神経障害の軽減:橈骨神経の長時間の圧迫をさける

・術中の上肢の定期的な評価

③下肢の体位作成

・坐骨神経障害の軽減:股関節の可動域だけではなく膝関節の可動域も同時に評価する

・大腿神経障害の軽減:股関節の屈曲・伸展をさける

・総腓骨神経障害の軽減:腓骨頭の総腓骨神経への圧迫をさける

④保護材の使用

・腋窩枕の使用

・保護材の適正な使用

⑤医療機器:自動血圧計の不適切な使用を避ける、肩の支持器をできるだけ使用しない

⑥術後の身体評価:術後の神経機能の評価を行い、末梢神経障害の早期発見に努める

⑦記録:術中の体位作成を記録する