とうとう、私のメトロポリタンオペラ2010-2011シーズンが終わりました。

最後にＭｅｔで鑑賞したのは、4月20日イル・トロヴァトーレ（Il Trovatore）と4月28日ワルキューレ（Die Walkyre）。ヴェルディーとワグナーで閉めました。両演目ともラジオでも鑑賞。（そういえば、全シーズンも最後はワグナーで、『さまよえるオランダ人』）

トロヴァトーレを指揮したのは、マルコ・アルミリアート（Marco Armiliato）。彼が指揮すると、どの曲も上手く纏まって、外れがないです。

歌手陣も良かったです。中でも、レオノーラ役のソプラノ、ソンドラ・ラドヴァノフスキー (Sondra Radvanovsky)が、際立っていました。高音の声量がドッシリと安定していて、マリア・カラスを髣髴させる声だと思いました。欲を言えば、もうちょっと低音の厚みを持たせて欲しい。ルーナ伯爵役のドミトリー・ホロストフスキー(Dmitri Hvorostovsky) ですが、この役は本当に板に付いていますね。

ワルキューレですが、3年前にヨナス・カウフマンの声を初めて聞いた時に、「ワグネリアン待望のワグナーの『歌い手』が現れた！」と歓喜し、メトロポリタンオペラで彼がワグナーを歌う日を待ち望んでいました。（2010年バイロイト音楽祭で、ローエングリン』（Lohengrin）を演じてましたが、ぜひＭｅｔオペラででも演じてもらいたいです）

ワグナー好きも、カウフマン好きも、周りに殆どおらず、私、一人で3年前から待ち望んでいた当日。もう最高でした！何とかして、あと1回見に行きたいです。

ジェームス・レヴァイン（James Levine）の指揮は、ダイナミック且つ程よく繊細で、演奏に引き込まれました。ヨナス・カウフマンは期待通り、知性的で壮大な歌声を披露。他に目に付いたのが、双子の妹役で、オランダ人ソプラノ歌手エファ=マリア・ウェストブルック（Eva-Maria Westbroek）　。艶と品のある声質で、しかも、長時間の歌に耐えれる強靭な声です。ワルキューレのブリュンヒルデ役のDeborah Voight（デボラボイト）より、ワグナーの曲に合った歌手だと思いました。

双子の兄妹の禁断の愛を演じたカウフマンとウエストブルック。

お待ちかねの名曲『ワルキューレの騎行』のシーン。

曲とともに登場したセットに拍手が上がり、その後、一人ワルキューレ役が滑り落ちるという事故が発生。せっかくの演奏を集中して楽しむことができず、残念でした。このシーンの演出は見直した方が良い気がします。歌手に危険な思いはさせないで欲しいです。

ロベール・ルパージュ（ROBERT LEPAGE）監督の下、総重量40トン、総工費は約15ミリオンドル（約13億円）、コンピュータで制御される24枚の回転式パネルからなるセット。ワルキューレでは、平面的にならず、うまく奥行きを出してました。

ワルキューレは、『ニーベルングの指輪』4部作の2作目です。残り2作（『ジークフリート』、『神々の黄昏』）が今年の秋から予定されています。カウフマンは出ませんが、残り2作が楽しみです！

それまで、ＮＹでいれればいいのですが・・・

イル・トロヴァトーレとワルキューレ@MetOpera