⒈
アキ座長・よる公演 12月7日
⑴
アキ座長公演の印象
①
観客参加型で、劇場観覧が楽しい
今回ならば、
・観客を左右に揺れさせる
・黄色の小さな服を客席にアピールし、観客に何度も「可愛い」と言わせる
・観客にウェーブをさせる
・ウェーブ練習目的の前説があり、上演前から盛り上がる
(この日は太田芳伸さん・けんたくんさんが担当。
「♪行きは良い良い、帰りはムズい」ものでウェーブが最前列まで戻って来ず、
失敗する度、太田さんたちが客席を弄って笑いにしていました)
…等、観客参加型で、劇場で生で観ると凄く楽しいです。
『面白い』という表現より、『楽しい』。
②
TV放送では、やや紋切型に映りがち
アキさんの公演をMBSの番組時間内に収めようとして、
脱線部分やアドリブを切り、幹の物語だけ残るとやや定型に映りがちで、
劇場での生の楽しさが十分伝わっていないように感じます。
劇場ではその長さが楽しさに変わる「なに~?」のくだりも一瞬ですよね。
誰が悪いわけでもなく、真っ先に切らざるを得ないのだろうと思いますが。
『舞台上だけで完結するネタの面白さを放送に乗せることに比べて、
客席も含めた公演の雰囲気や楽しさをTVで表現するのは非常に難しい』
というのがいち劇場ファンの実感です。
③
ちびっこファンの多さ
最近の新喜劇では考えられない程、ちびっこファンが目に付きました。
子どもは一番大切な存在ですよね。イコール、ファミリー客ですし。
客席から可愛らしい「アキ助〜」の声も聞こえ、凄く和やかな雰囲気でした。
『スパッツおっさん』のマイルドバージョン・アキ助は子ども受けがいいようで、
これはアキさんの狙い通りでしょうか?
アキさんの公演は弄りも表現が優しくて、R18の話題も徹底して避けていて、
安心して子どもを連れていけますよね。
子ども目線なら、クラスメイトとの接し方も学べる作りに見えます。
ファミリー無視で日常的に劇場観覧する一握りの新喜劇マニアに合わせるなら、
もっと尖った内容にもできるのでしょうけれど。
⑵
以上がアキ座長公演の印象ですが、
劇場観覧しているファンなら一人思い当たる座員さんがいるのではないでしょうか?
・観客参加型で楽しい
・ちびっこ人気
・魅力的なキャラクター
アキさんの座長としてのロールモデルは辻本茂雄さん(=茂造)なのでしょうね。
ならば、とことん劇場観覧の楽しさを追求し、
と同時にアキ助のキャラクターを膨らませていってほしいです。
⒉
よる公演時のジャルジャル
吉本新喜劇以外のお笑いの話題を珍しく…
⑴
前後の芸人さんのネタ時間から持ち時間10分と推測しますが、
その倍近く舞台に立っていました。
ベテランやトリが10分程度でしたので、後で怒られるパターン?
それとも盛り上がったから良し?
⑵
あらすじ
仮病で学校を休む高校生(後藤さん)の自宅に先生(福徳さん)がやってきて、
生徒と先生が玄関越しに電話で攻防戦を繰り広げるコント。
最序盤こそ『仮病を隠し通せるか?』が焦点も、先生が早々に仮病と気付く中、
生徒の発言は嘘の上塗りでどんどん無理のあるものになるのに、
なぜか隠し通したつもりで安堵する生徒の様子が笑える構図。
⑶
尻上がりな笑い
物語では定番の笑いを絶え間なく繋ぎ、ハプニングや脱線で大きく盛り上がる、
そんな吉本新喜劇の標準的な笑いの取り方とは別種のもの。
(演者も観客もハプニング待ちな部分はありますよね?)
前半は静かな立ち上がりでさほど盛り上がらないんです、
観る側が不安になるくらいに。
ただ、前半で積み上げた設定を中盤に活かし、
中盤までの15分で積み上げ直した設定を更に終盤に活かすことで、
最後は爆発的な盛り上がりになりました。
尻上がりな笑いがお二人の計算通りだとしても、
客席の反応が薄い前フリ部分は経験と自信と勇気が要るでしょうねー。
⒊
⑴
今年の劇場観覧は少し早いですがこの日のよる公演で最後でしょうか。
後は綺麗に一年を終えて、気持ちよく来年を迎えられるように…
いや、でも、台本のない新喜劇も観たいし、
天才・かたつむり岡部さん出演のレジェンド茂造公演も相当気になる。
絶対楽しいですからね。
いつを締め日にしよう…
⑵
もう少し先に目を向けると、
年始のセカンドシアター新喜劇は傑作『告白作戦はパーフェクト』のニオイが…
イベント・西梅田・NGKと三度観ましたが何度観ても面白いです。
公演から時が経った今でも全ての台詞が思い浮かぶくらい好きです。
仮に『告白作戦〜』として、肝のモロ美ちゃん役は誰が演じるのでしょう?
元々は当て書きでしょうし、モロ美ちゃんが最強すぎますからね〜。
ポスターを見る限りでは千葉さん(千葉ちゃんならぬ、チバ美ちゃん)でしょうか?
…、違う。
耕一子?
耕一子のような気がする。笑
耕一子なら、終盤は耕Witch子に変貌するわけですけれど。(上手い!)
「俺じゃ駄目か?」、耕一子に惚れる愚かな男性陣が忠志さんと千葉さん。
相当面白くなりそうです。
⑶
来年は来年で3月頃にまたサプライズがあるかもしれませんし、
来年も楽しい公演がたくさん観られることを期待しています。
⒋
The W
時代に逆行する出場条件等、大会の存在意義は一先ず置いておいて、
一点感じたことを。
⑴
笑い声と拍手のSE
別スタジオで観ていたニューヨーク屋敷さんの番組終了後座談会(Hulu)での発言、
屋敷「お客さんはどんな感じやった?」
屋敷「こっち(=別スタジオ)ではウケてるかどうか分からんかったから」
メイン会場の観客の反応を気にしていました。
笑い声も拍手もしっかり流れた上でのこの発言は、
屋敷さんも私と同様に笑い声・拍手をSEと判断していたのだと思います。
(余談:番組終了後座談会でのスパイク松浦さんのボヤキ芸に大笑いしました。まるで光浦靖子さん)
⑵
『ここが笑いどころです』
そんな意味合いの笑い声SEなのだと思いますが、ライブ感がすっかり失われますね。
また、製作側の意図でウケていないものをウケているように見せられるし、
逆も然りです。
SEで塗り固められたお笑い番組を見てウケや空間支配力を判断するのって、
当てふり・口パク音楽番組を見てライブ力を判断するくらい無意味ですよね。
それを有ろう事か大会でやってしまうという。
芸人さんの面白いネタを不自然な演出で台無しにしていて勿体無いです、
出場芸人さんの力量をもっと信頼してもよいと思うのですが。
(なるほど、制作側が芸人さんを信頼していないから時代錯誤な趣旨の大会を開催するのかも)
⑶
吉本新喜劇の放送では…
毎日放送『よしもと新喜劇』でライブ感が欠けて見える場面も、
笑い声と拍手の編集・SEが要因のひとつと考えています。
一方、BS祇園吉本新喜劇の方は劇場観覧時に比較的近い感覚で楽しめています。
NGK公演の放送ほどは装飾されていない印象ですし、
そもそも祇園吉本新喜劇は少人数で50分もたせる緩めの公演ですので、
番組時間調整でアドリブ部分をカットしても尚緩いままなのかもしれませんね。
⑷
劇場観覧時の客席
劇場観覧時においても、
大袈裟に拍手を煽動する観客が現れると客席の反応が平準化し、
結果として盛り上がりを欠くケースに稀に遭遇します。
(得てして、舞台上よりも当該観客の方が目立ってしまったり、笑)
それはもう音響さんが笑い声SEボタンを適宜押す状況と変わらないわけですよね。
面白い時は客席の笑い声・拍手が大きく長くなり、
もうひとつな時は客席の反応が薄く、ツッコミ役の一言で盛り上がる。
抑揚の感じられる笑い声・拍手が一番心地良いです。
客席も自然体が一番ではないでしょうか?
⒌
1981年版・アニメ『うる星やつら』
⑴
Huluで鑑賞中。
40年以上前の作品なのに笑いが全く古びておらず、面白いですね。
押井守監督の哲学回もある種怖いですけれど、深くて、毎回ハイレベル。
「人はどこから来て、どこに行くのか?」、みたいな。
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観ていて気になったことがあって、
現吉本新喜劇の定番ネタがこれでもかと詰まっているんです。
具体例を挙げ始めると切りがありませんが、例えば、
・可愛いやなんてイヤやわぁ(→可愛いと煽てられ「やだぁ」と突き飛ばす、しのぶ)
・秘密を言い触らした本人が「誰が言うたんや!?」⇒「お前や!」(→テンちゃん)
・それ以上言うたら〇〇とバレてしまう!(→テンちゃん)
・給料3倍で寝返る。寝返る際の『間』まで全く同じ
・出ギャグ時のコケ(→チェリーの登場時の一言で全員『ちゅどーん!』と吹き飛ぶ)
等です。
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考えると同時期のジャッキー・チェン作品のコメディ部分も現新喜劇っぽいです。
仲間に覆面させて一芝居打つも失敗したり、
集団肖像画と同化して当座やり過ごそうとしたり。
現新喜劇は1980年代人気作品の笑いが色濃く反映されているように見えます。
吉本新喜劇定番ネタ誕生の経緯を知りたくなりました。