小学三年生・藍
藍の母親でワンマン社長の浅香
浅香家の執事・信濃
三名。

浅香「そうそう。警察とは別に、ゆうと藍のためにボディーガードを雇ったわ」
 

あい「ボディーガード?」


あい「信濃、ボディーガードって何?」
信濃「ボディーガードっていうのは、え~と…アセアセ
あい「もういいです。スマホで調べますえー(=使えない奴め)」
藍がスマホを取り出し、ボディガードの意味を検索する。

信濃「あの、大事な人のそばにいて、安全を守る人ですニコニコアセアセ
信濃が藍にも分かり易いよう説明するも、
あい「調べる前に言わんとえー こういうの、二度手間言うねんえーニヤリ」 笑い泣き


藍はワンマン社長に育てられ、随分わがままに育っている様子。
穏やかな性格の姉・ゆうが父親似なら、藍は母親似なのかもしれない。


黒スーツ姿の体格の良い男性・太田(太田芳伸)がやってくる。
太田「失礼します!」
太田「花月警備保障の者です」
浅香が太田を見て、
浅香「逞しい青年ね照れ
浅香「娘たちの警護をお願いした、浅香ですニコニコ

浅香「長女を呼んできますねニコニコ
浅香がゆうを呼びに中央奥通路に消える。


信濃が太田に挨拶し、藍も続く。

あい「小学三年生の藍です!爆  笑
太田「小学生やのに随分デカいねアセアセ


あい「言われた、『デカい』って。(苦笑)」
一呼吸置き、
あい「黙れえー
と太田の額に拳を擦りつけるように振り下ろし、太田を殴り倒す。 笑い泣き
太田「…っアセアセ
あい「お前、今、デカい言うたのう?ニヤリ」 笑い泣き
太田「口調が一変した!(苦笑)アセアセ

太田が立ち上がる。


浅香が長女・ゆうと執事・西川を連れて戻ってくる。
浅香「お待たせしました」

ゆうが太田に挨拶する。
ゆう「長女のゆうですニコニコ

ゆう「、…!びっくり
ゆうは太田のことを知っているのか、驚いた表情をする。
ゆう「えっ…」

信濃「ゆうお嬢様、どうかしたんですか?」
ゆう「いや、なんでもないのアセアセ

ゆうが浅香に確認する。
ゆう「お母さん、ほんとにあの人でいいの?」
浅香「逞しくて頼もしそうな人でしょ?照れ


浅香「じゃあ、私は仕事に戻るから、後のことはお願いね」
あい「はーい」
浅香が中央奥通路に消えた。

ここで、藍が素気味に笑い出す。
信濃「…何か?キョロキョロ

あい「『はーい』って返事したら、お母様が小声で『ほぁーい(=はーい)』って」
あい「鼻にかかった声で『ほぁーい』言うた」 笑い泣き

あい「これ、流行らせよ?ウインク
あい「誰かが『はーい』言ったら、『ほぁーい』言お?」 笑い泣き


西川「藍お嬢様」
あい「はーい」
西川「ほぁーい」 笑い泣き

西川「練習しましょう」
あい「はーい」
西川「ほぁーい」 笑い泣き
あい「あかん、(公演時間が押すから)『はーい』言えんようになってしまうタラー」 笑い泣き
と、一瞬で『ほぁーい』ルール終了。

あい「何の練習?」
西川「私を乗せて海を渡る練習ですニコニコ
あい「イルカやん!」 笑い泣き

藍・西川が上手端通路に消え、信濃も仕事のため上手端通路に消えた。




長女・ゆう
ボディーガード・太田
二人。

二人が向かい合い、
ゆう「芳伸さん…
太田「ゆうちゃん…」

ゆう「こんな形で再会するなんて」
ゆうが太田に抱きつく。

ゆうが太田から離れ、
ゆう「高校生の時、お母さんに無理矢理別れさせられた」
ゆう「でも、お母さん、さっきは芳伸さんに気付いてなかった」
太田「昔と見た目が変わったから…」

二人はまだお互いに気持ちがあるようで、
ゆう「連絡してくれたらよかったのに」
太田「連絡したら会いたくなるから」
太田「でも、会社からゆうちゃんの護衛の連絡を受けた時、運命やと思った」

太田「愛してる」

と、ここで客席の方を向き、
TOKIO『LOVE YOU ONLY』をスローテンポなバラード調で歌い始める。

太田「♪Only you
唐突な演出かつ、お世辞にも唄が上手とは言えず、客席から笑い声が漏れる。
ただ、一所懸命な歌唱から真面目な場面と察し、次第に笑いが収まる。
太田「♪君が 君が 熱い恋をするなら」
太田「♪相手は僕しかいない」

太田・ゆう「♪Only you」

太田「揃った!ニコニコ

ゆう「芳伸君、いつも歌っていたからウインク
二人が顔を見合わせ、
太田・ゆう「アハハハ!爆  笑照れ
再会を喜ぶように笑い合う二人。

笑い終えると、
ゆう「ずっと会いたかったおねがい
太田「俺も照れ

ゆうが太田に抱きつき、太田がゆうを強く抱きしめ、二人の体が密着する。
(吉本新喜劇のお芝居ですか?、笑)


二人が密着しているところに、
中央奥通路から藍と執事・信濃が現れる。

『ピピピピピピ』
密着する二人を見た藍が防犯ブザーを鳴らす。 笑い泣き

二人が慌てて離れ、太田が藍に対し、
太田「止めてください!アセアセ

太田「…、聞いてた?キョロキョロ
あい「最後の方だけ…」
太田「最後の方って」

藍と信濃が場面を誇張し、鼻にかかるような声で再現する。
あい「芳伸さん…口笛
信濃「ゆうちゃん…口笛
あい「こんな形で再会するなんて口笛」 笑い泣き

太田「最初からやん!」

あい「見ちゃった…口笛」 笑い泣き

一呼吸置き、藍がポップ調でノリノリで『LOVE YOU ONLY』を歌い出し、

信濃が気持ち良さげにエアドラムする。
太田「松岡君しなくていい!」 笑い泣き

あい・信濃「♪Only you」

あい「揃った!口笛
二人が顔を見合わせ、
あい・信濃「アハハハ!爆笑口笛

頭とお尻に手をパーにした状態でつけ、ヒラヒラさせ、
魚のような動きで大笑いする、二人。 笑い泣き
太田「そんな動きしてない!(苦笑)」



信濃「まさか、二人がお付き合いしていたとは…」
太田「だめですよね? やっぱり僕がボディーガードするのはやめた方が、」
ゆう「やめなくていい!プンプンアセアセ

藍が太田たちに尋ねる。
あい「なんで、お母様に反対されたの?」
今は短髪黒髪の太田だが、
太田「昔、ヤンチャしてて、ロン毛で青色に染めてて」
あい「イルカやん!」 笑い泣き
信濃「もういいですから!タラー

太田「それで、『今すぐ別れろ』って」
ゆう「芳伸さんはいい人なのに見た目で判断するなんて、酷い!プンプン

太田がかつての『青色ロン毛高校生』であることや、ゆうとの関係について、
ゆうが藍と信濃に対し、
ゆう「このことはお母さんには黙ってて」
ゆう「お母さん、血圧が高くて、聞いたら倒れるかもしれないから」


ゆうが太田に対し、
ゆう「もう、私から離れないで。さようならは無しよ
ゆうが太田に抱きつき、太田がゆうを強く抱きしめる。

その瞬間、『ブーッ』と大きなオナラの音がする。
藍が芋の食べ過ぎでオナラをしていたため、信濃が藍に対し、
信濃「お嬢様!タラー
あい「私ちゃうで?」
信濃「…?」

太田「…、すみません、僕ですタラー

『ブー、ブー』
オナラの音が立て続けに響く。

太田「すみません、朝からオナラが止まらなくて」
信濃「もしかして!びっくりアセアセ
信濃「手を見せてください!」

太田が袖を捲ると、藍が危惧していた漢字の『屁』の字が現れている。
太田はヘロナウイルスに感染していた。

ゆう「芳伸さん…」

ゆうがゆっくりと太田を玄関から外に出し、静かに引き戸を閉める。
(太田→玄関の引き戸←ゆう、の立ち位置で)
ゆう「…さようならショボーン」 笑い泣き笑い泣き

太田「…!、ちょっと!アセアセ えーっ!!アセアセ」 笑い泣き笑い泣き
さようならは無しのはずだったのに…

 

暗転

 

 

その6に続く