祐貴、一人。

結婚式が明日に迫り、
祐貴「明日かー! 緊張するなあー」

そこに男性・レイ(レイチェル)が凄い剣幕で現れる。
レイ「その結婚、ちょっと待ったーっ!!プンプン
レイ「キシーッ!、キシーッ!ムキー
と、噛み締めた歯の間から荒い息を出す。

祐貴「結婚式、明日やタラー
レイが一転して和かな表情になり、
レイ「(花嫁を奪いにくる場面を)一回、やってみたかったんやウインク
二人は親友で、レイは明日の結婚式出席者のよう。

レイが土足で居間に上がろうとする。
祐貴「何、土足で上がってんねん!アセアセ

レイ「あっ!」
レイ「親友の結婚式でテンション上がっちゃって爆  笑アセアセ
レイが靴を脱いで居間に上がる。
祐貴「テンション上がりすぎやタラー
レイ「すまん」
レイ「穴があったら入(ハイ)、」

レイ「ビスカスの種を撒いて、そしたらそこは沖縄の綺麗な島口笛」 笑い泣き
祐貴「何、言うてんねんタラー

 

レイ「高校のマドンナの幸恵ちゃんとお前が結婚すると思うと、」

レイ「どうしても、テンションが上がっちゃって」



祐貴「明日のスピーチ、頼むぞ」
レイ「今、言うわ」
祐貴「あかん。明日言うて」
レイ「今、聞いてくれよ!アセアセ

レイ「朝まで武田して、いや鉄矢(=徹夜)して考えたんやから」 笑い泣き
祐貴「間違えんやろ、何やねん『武田して』って」
レイ「鉄矢言うたら、今度は小室(哲哉)が出てくる」
祐貴「イントネーションがおかしい。鉄矢やなくて徹夜タラー


レイが頭を抱えて、
レイ「分からなーい!ガーン
祐貴「テンション高すぎやタラー


レイ「とにかく、今、聞いてくれ」
祐貴「分かった。聞くわ」
レイの気持ちが変わらないため、祐貴が折れる。

レイが何重にも折り畳んだ長半紙を服の中から取り出し、勢いよく広げる。
その長さは何メートルにも及び、
祐貴「長いなあ!」

レイが長半紙に書かれた文章を読む。
レイ「おめでとう照れ
レイ「…」
祐貴「、終わりかい!」 笑い泣き

レイ「冗談や!爆笑、ちゃんと考えてるから!」

レイ「冗談やのに『終わりかい!』口笛、冗談やのに『終わりかい!』口笛、」

レイ「楽しい~!爆  笑
と、祐貴の肩に寄りかかる。
祐貴「楽しいん、お前だけや!」 笑い泣き
祐貴がレイを払いのける。

祐貴「スピーチ、ちゃんと考えといてや?」

 

 



新郎・祐貴
祐貴の親友・レイ
二人。

親友の結婚式でテンションが上がり気味のレイ。
祐貴が少し困惑しつつも仲良く戯れているところに
ピンク色の上品なワンピースを来た新婦・幸恵(鮫島幸恵)が到着する。

幸恵は玄関扉を開け、鼻を詰まらせたようなねっとりとした言い方で、
幸恵「ごめんっ遊っばっせっニヤリ
と、ベテラン座員風の出ギャグを披露する。 笑い泣き

祐貴「幸恵ちゃん、変な挨拶やめて?」
幸恵「明日の本番のことを考えると、緊張して、つい…」
レイ「大丈夫。 その時は俺も一緒にバージンロードを歩くから」 笑い泣き
祐貴「なんでお前が歩くんや!」
レイ「じゃあ、バージンロードは我慢するからキスだけ!お願い」 笑い泣き

祐貴「もっとあかん!」

レイの冗談?で、幸恵の緊張も随分解れた様子。


レイ「でも、珍しい。家で結婚なんて」
幸恵「祖父母が大事にしてきた家だから、どうしてもここで式を挙げたかったの」
レイ「へーニコニコ

レイ「、興味無いわキョロキョロ」 笑い泣き
祐貴「そんなこと言うな!」
レイ「ごめんお願い。『ごめんっ遊っばっせっ』お願い」 笑い泣き
と、手を合わせながら幸恵の出ギャグを真似て謝る、レイ。
レイ「びっくりした、急に『ごめんっ遊っばっせっ口笛』って爆  笑」 笑い泣き
随分気に入っているようで何度も誇張して出ギャグを真似、

幸恵を恥ずかしがらせる。


結婚式を実家で挙げる理由はもう一つあるようで、
幸恵「それに、お爺ちゃんが高齢だから」

すると、中央奥のふすまが開き、
ふすま奥の通路には腰の曲がった白髪老人・朗功(祐代朗功)が立っている。
祐貴「びっくりした!びっくり

幸恵が朗功に尋ねる。
幸恵「お爺ちゃん、寝てたの?」
朗功が顔だけ幸恵に向ける。
朗功「…」
幸恵「えっ?、お布団で?」
朗功「…」
幸恵「そういう問題やないの」

朗功「…」

幸恵「なんでそんなこと言うの?(悲)」

朗功の声は全く聞こえないが、二人の間では会話できている様子。
祐貴「えっ、喋ってる? 聞こえる?」

朗功が祐貴に対し、
朗功「祐貴君」
祐貴「普通に喋れるんですか?」
朗功「喋れるよ」 笑い泣き
祐貴「えっ?、ほなさっきの何?」

朗功「幸恵のことを頼んだぞ」
祐貴「分かりました!」


朗功「できれば、お婆さんと一緒に幸恵の結婚式を見届けたかった…」
レイ「確か、3年前に亡くなったんですよね?」
幸恵「お婆ちゃんのことは心残りがあって…」
祐貴・レイ「…?」

幸恵「ううん、なんでもないの!ニコニコアセアセ
幸恵が話を誤魔化すように朗功に対し、

幸恵「お爺ちゃん、お部屋で休んで?ウインク

朗功が通路に行き掛けて、立ち止まって振り返り、
大声で幸恵に確認する。
朗功「明日の結婚式、肉、出る!?アセアセ
幸恵が頷き、朗功が嬉しそうに通路に消えていった。
祐貴「めっちゃ元気!」

幸恵の祖父・朗功の短い台詞から、
朗功と亡くなった祖母が良い夫婦関係にあったことが分かる場面。

 

その4に続く