格闘技やプロレスは、ほとんど観ておりません。

血も苦手です。

 

では何故、『コンタクトスポーツのボクシングが好きなのか?』を考えてみますと、

・(ルール・システムも含めた)成熟した競技の美しさ

・一戦がボクサー人生を左右する緊張感

この二点に尽きると思います。

 

後者は、オリンピックや高校野球の夏の甲子園、(競技としての)競馬G1等にも

同じような感覚を抱きますね。

 

 


ボクシング・マガジン 今月号

 



愛のある表紙を見て、即、購入しました
照れ

今月号は平成の日本人ボクサーの回顧がメイン企画です。

平成の間、次々と日本の名ボクサーが現れ、技術進化を繰り返しました。
特に、ここ10年の技術進化は目覚ましく、
本当の意味で世界の一流選手と互角に戦える選手が現れるようになりましたね。


そんな中で、ボクシング・マガジンは
表紙を飾る、平成を代表する選手に『辰吉丈一郎』さんを選んできました。

技術だけなら、辰吉さんを上回る選手はたくさん登場したと思います。
しかし、スター性・強豪に挑む姿勢・後世への絶大な影響力等を勘案すれば、
辰吉さんは平成時代に限らず、日本ボクシング史上最高クラスのプロボクサーだと思います。

最強ではなく、最高の選手を表紙に選んだあたり、
ボクシング・マガジンの編集者さんも分かっていますね。
そして、編集者さんもボクシングファンであることが明確に分かり、安心しました。

 

(↑今月号は良く売れるでしょうねウインク)


「はい!、今日からこの人がスターです」と一大プロモーションされた、
組織主導の『作られたスター=虚像』が闊歩しがちな受動的な日本で、
辰吉さんは自分自身の力でファンもメディアも動かし、
触れた人の人生までも変えてしまうような、正真正銘のスーパースターでした。

ご本人はただただボクシング愛で動いていただけかもしれませんが…

日本の現役選手がリスペクト対象として辰吉さんの名前を良く挙げますが、
スター選手、セルヒオ・マルチネスが辰吉さんの名前を口にしたのも嬉しかったですね。


先日、京阪・守口市駅に寄る機会がありました。

駅を降りると、目の前に古びた建物が見え、

「何の建物だろう?」と注視すると、『守口市民体育館』でした。

 


辰吉さんが世界王者グレグ・リチャードソンに挑んだ世界戦、
不利と言われた試合に勝利し、伝説の幕開けとなった会場ですね。

不意に伝説の場所が現れて、異様に興奮し、
嬉々として体育館の写真を撮ってしまいましたおねがい爆笑
ボクシングファンなら、この気持ちに共感していただけますよね?ウインク

伝説を目の当たりにしたファンは、どのように会場を後にしたのだろう?
試合後の守口市駅はどのような喧騒だったのだろう?
…そんなことを考えました。

この試合は、TVで観戦しました。
当時、自分の力で観られる状況なら、会場で観たかったですね。

 



辰吉さんが居たからこそ、今の日本ボクシングがあると思っています。
(これは辰吉さんだけでなく、過去の全ボクサーに言えることでもありますね)

選手にもファンにも、過去へのリスペクトがあるからこそ、
より良い今があり、より良い未来があるのだと思っています。
その繰り返しですね。

 



ワシル・ロマチェンコ 


現役最強候補のひとりですね。

ロマチェンコは、腕力にモノを言わせるような強行突破な戦い方はせず、
オリンピック2連覇に裏打ちされた高等技術があり、
チェスのような理詰めの戦い方で、知的で美しく、
観ていて惚れ惚れします。

コアファンにもライトファンにも受けの良い選手だと思います。


先日の世界戦も圧巻でした。

前進しながら相手のパンチを悉く外し、
相手がガードしようが逃げようが、絶妙なタイミングでパンチを入れ続けていますね。

対戦相手は、真綿で首を絞めるような攻撃に八方塞がりにされ、
最後は危険な倒れ方をしています。

 

「体以上にプライドが傷ついた」

「ロマチェンコは驚異的」

「彼のパンチには、一つも無駄がない」

敗れた元世界王者・クローラもロマチェンコの実力に脱帽のコメントをしていますね。

 

(↑右腕を前側にした選手がロマチェンコです)



ボクシングはあくまで(命懸けの)競技で、
パンチに憎しみが込められているわけではありません。

試合後、ロマチェンコが対戦相手の控え室を訪れ、

挑戦者の健闘を称えています。

ロマチェンコは言動も紳士的ですね
キラキラ


最近のボクサーはどんどん階級を上げる傾向があり、
ロマチェンコも、短期間にフェザー→スーパーフェザー→ライト級と階級を上げています。

ライト級転向当初は体格的に厳しいように感じていましたが、
次第にライト級仕様の体つきになってきていますね。

ただ、階級を上げていくと、最終的には体格の壁にぶつかり、
敗れて評価を下げ、同時に選手のボクシングが崩れる結果を招きがちです。

また、階級を上げる発想は突き詰めれば、ヘビー級しか残りません。
ボクシングは階級制ですので、自分の体に合った階級を大事にしてほしいですね。



伊藤雅雪選手&井上尚弥選手


平成から令和に変わる来月は、日本人選手の世界戦ラッシュですね。
その中には、現在の日本を代表するボクサー、伊藤選手・井上選手の試合も含まれます。


伊藤選手は、米国の大手プロモーション・トップランク社との3年契約が決まりましたね。

プロ野球で言う、MLB契約に近い感覚でしょうか。

伊藤選手はロマチェンコと体格が比較的似ており、
伊藤選手が強豪相手に勝ち続け、米国で人気になれば、
ロマチェンコとの対決も夢ではないかもしれませんね。


井上選手は、バンタム級では敵無しですね。

「自分の体に合った階級を大事にしてほしい」との先述に反しますが、
米国のボクシングで人気なのは選手層が厚い中量級以上で、
米国で活躍しようと思うと、名の知れた選手が多く存在する階級が求められ、

最低でも(バンタム級より二階級上の)フェザー級で試合する必要があるように感じます。

無理をせず、ゆっくりと体格とボクシングをフィットさせながら、
いずれは上の階級でも世界を席巻してほしいです。



令和は、どのような名ボクサーが誕生するのでしょう?

楽しみですね。

過去へのリスペクトがある限り、ボクシングの未来は明るいと思っています。