諸美が信濃に芝居の説明をする。

諸「覆面をした吉田さんが安世を人質に取るから、お兄ちゃんはこう言って」
諸『その子を放せ』
諸『その子は俺にとっ…うぅ、てっ、ううっ、大切な人…うぅ
えーん


信「諸美ちゃん、何、泣いてんの?キョロキョロ
吉「黙れーっ!!
ムキームキー笑い泣き

諸「吉田さんがお兄ちゃんに…うぅ、刺しっ…うぅ、掛かるから、えーん
諸「お兄ちゃんがやっつけて、吉田さんが逃げるの。(涙)」


諸「その後、安世がお兄ちゃんに尋ねると思うの。(涙)」
諸「『大切な人ってどういう意味』って。(涙)」
諸「そしたら、お兄ちゃんはこう答えて。(涙)」
諸『それは、僕が君のことを…うぅ、好き…と…(ヒック)、いう、意味、です…うぅ
えーん
諸『僕と…うぅ、付き合って…(ヒック)くだ、ください…うぅえーん
諸『お願、い…うぅ、します…えーん

 

信「…何で泣くの?キョロキョロ

 

吉田が諸美の健気さに声を上げる。
吉「諸美さーーん!!!
えーん笑い泣き


信「吉田もどうしたんや!?キョロキョロ

諸「そして、二人は付き合う、の…(涙)
諸「うわぁーっ!!…うぅ
えーん
吉「うわぁーっ!
えーん
諸美と吉田が泣き崩れる。 笑い泣き


吉田が立ち上がり、泣きながら信濃に対し、
吉「大将、死ぬ気で頑張ってくださいよ!
えーんムキー」 笑い泣き笑い泣き

 

信濃は登場人物・吉田ではなく、新喜劇座員・吉田裕の演技が気になるようで、
信「…片目だけ瞑るの、やめて。(苦笑)」 
笑い泣き


信「一回、練習しよう」
信「安世ちゃん役、諸美ちゃんがやってくれる?
ウインク

吉「あんた、鬼かーっ!!!
ムキームキー笑い泣き笑い泣き

諸「私、やります!やりますからー!えーん笑い泣き

吉「諸美さん、辛かったら言うんやで!(涙)」 笑い泣き


練習スタート。

吉田が安世役の諸美を人質に取る。
信「その子を放せ!」
信「その子は俺にとって大切な人なんや!」
諸「うわぁーっ
えーん

信「諸美ちゃん、さっきからどうしたの?
キョロキョロ
諸「ごめんなさい、移入しちゃって…」
信「それ言うなら、感情移入ね。(苦笑)」 
笑い泣き

諸「もう一回しましょ」

吉田が安世役の諸美を人質に取る。
信「その子を放せ!」
信「その子は俺にとって大切な人なんや!」
諸「うわぁーっ
えーん

諸「ごめんなさい、KI(=感情移入)しちゃって」
信「なんでローマ字なん!(苦笑)」

諸「もう一回しましょ」

吉田が安世役の諸美を人質に取る。
信「その子を放せ!」
信「その子は俺にとって大切な人なんや!」
諸・吉「うわぁーっ
えーん
吉田も一緒に泣く。

諸「ごめんなさい、『かにゅう』しちゃって」
信「変に略し過ぎ!ほんで、ここで止まり過ぎ!(苦笑)」

信「次、行こ!(苦笑)」


吉田が提案する。
吉「『その子』って言うから、次に行きにくいんです」
信「『安世ちゃん』って言うた方がええかな?
キョロキョロ
吉「いや、そこは『諸美ちゃん』で行きましょう!
プンプン笑い泣き笑い泣き
信「意味が変わってくるやん!」 笑い泣き


吉田が信濃に襲いかかる練習。
吉田が指でナイフを表現する。

信濃が返り討ちにするはずが、

諸「お兄ちゃん、危ない!アセアセ
と、諸美が信濃の前に出て、吉田に切られるフリをする。

諸美が仰向けに倒れ、
諸「お兄ちゃん。私の分まで、幸せになっ…て」
諸美が息絶えるフリをする。
吉「諸美さーーん!!
えーん

信「死んだら、あかんやん!
タラー

諸美が立ち上がる。

吉田が信濃に襲いかかる練習のリスタート。


吉田が指のナイフで信濃に刺し掛かり、信濃が返り討ちにする。
吉田が逃げるフリをする。
諸「『大切な人』って、どういう意味ですか?」
信「それは、僕が君のことを好きという意味です!」
信「僕と付き合ってください!お願いします!」
諸「喜んで!」


信「ほんで、抱き合うんやな?ウインク


すると、諸美が信濃に抱きつく。
諸「もう離さへんっ!!チューラブラブ

諸美が信濃を強く抱きしめ、離れようとしない。
信「諸美ちゃん、ちょっと!
アセアセ
信「痛い、痛いっ!背骨、折れるから!
ガーンアセアセ笑い泣き
信「吉田、助けて!パー

吉田は信濃を助けず、諸美に一方的に抱かれる信濃を写メに収める
キラキラ

信濃はなんとか自力で諸美から離れる。
信「今、なんで写真を撮ったの!?」
吉「思い出にしようかと…
口笛
信「何の!?」

信「諸美ちゃんもどうしたの!?」
諸「昂ぶっちゃって…
おねがいチュー」 笑い泣き


諸美が安世を呼びに、舞台下手袖に消える。

信「諸美ちゃん、様子がおかしい」
信「吉田。諸味ちゃんに何かあったの?」
吉「何でもないです!
アセアセ


吉「緊張したらトイレに行きたくなったんで…アセアセ
吉田が舞台上手袖に消える。

 

 


信濃がお芝居で使う包丁を探そうするが見当たらず、
厨房の下を探す。

信濃が屋台に隠れる形になる。


舞台下手袖から諸美が戻ってくる。
諸「安世、見当たらないわ」
諸「あれっ?誰も居ない…」

舞台上手袖から、吉田がトイレから戻ってくる。
吉「スッキリしたー!
爆  笑

吉田が諸美に尋ねる。
吉「諸美さん、大将は?」
諸「帰ってきたら、居なくて…」


屋台(の厨房の下にいる信濃)を挟んで、
舞台下手の諸美、舞台上手の吉田、二人。

吉田も諸美も、信濃が屋台の厨房の下に居るとは気づいていない。

吉田が諸美に尋ねる。
吉「本当にこれで良かったんですか?」
諸「お兄ちゃんが幸せになるなら、いいの…
ショボーン

吉田が舞台下手の諸美に近づく。
吉「諸美さん、大将のことが好きなんでしょ!?
プンプン
吉「ほんまにええんですか!?
プンプン

 

信「…!びっくり
信濃が厨房から顔を出し、驚いた顔をするが、
二人は信濃に気づいていない。


吉「大将と安世さんが付き合って、幸せそうな姿を諸美さんが見ている…」
吉「そんな、諸美さんを見るの、辛すぎます!!
ショボーン

諸美は吉田に背を向け、
諸「お兄ちゃんのことは忘れて、次の恋を探すわ…
ショボーン

次の瞬間、小柄な吉田が大柄な諸美の背後から腰付近に抱きつく。
笑い泣き
吉「僕じゃだめですか!?プンプン
抱きつく姿は不恰好だが、吉田は諸美に真剣に恋をしてしまったよう。

(吉田本人は抱きしめているつもりなのだろう)

 

信「…!びっくり
厨房から顔を出している信濃がさらに驚いた顔をする。


吉田が諸美に抱きついたまま、語りかける。
吉「僕、諸美さんの優しさに惚れました!
プンプン
吉「もちろん、諸美さんが大将を好きなことは知っています!
プンプン

諸「やめてよっ!
えーアセアセ
諸美が体を捻り、吉田を舞台上手まで突き飛ばす。
笑い泣き

うつ伏せに倒れた吉田に諸美が告げる。
諸「諸美の心は、そんなに簡単にできてないの!
笑い泣き

諸「私のことは諦めて!」

吉田が立ち上がる。
吉「…分かりました
ショボーン


吉「でも、僕にも好きな人の笑顔を見る権利があります!プンプン
吉「大将と安世さんの恋には、協力しません!
プンプン
吉「諸美さんと大将をくっ付けてみせます!
プンプン

吉「必ず!」

吉田が舞台上手袖に去り、諸美が吉田を追っていった。


信濃、一人。

信「えーっ!?
びっくり
信濃が厨房から表に出てくる。

信「諸美ちゃんは俺のことが好きで、吉田は諸美ちゃんのことが好き」
信「二人の気持ちは分かるけど…」
信「でも、俺はやっぱり安世ちゃんのことが好きや」

信「二人を説得して、協力してもらわんと!
アセアセ
信濃が吉田と諸美を追いかけ、舞台上手袖に消えた。

 

 
その7に続く