⒌
⑴
一般的なスーツ姿をした佐藤(佐藤太一郎)が現れる。
佐「こんにちは」
信「佐藤さん、こんにちは」
信「新人を紹介します」
と、諸美を佐藤に紹介する。
佐藤は屋台の近くの会社に勤めていて、常連客のよう。
佐「こちらのお店とは運命的な出会いでした」
佐「初めてお店を見た時、直感が働きましてね」
佐「それ以来、通うようになりました」
諸「常連の佐藤さん…」
諸美は口を小さく動かし、自分の脳を見るように、目を上げる
信「諸美ちゃん、何してんの?」
諸「お客さんの情報を脳にインプットしています」
諸「目玉…変な声…全体的にはピッコロ…」
諸美が佐藤に対し、
諸「ピッコロさん」
佐「ピッコロ違う!」
諸「ごめんなさい、ピコ太郎さん」
佐「アッポーペン、言うてない!」
⑵
佐藤の会社にも新人が入ったらしい。
佐「可愛い子なんです」
佐「言うてたら、こちらに来ましたね」
新人社員の安世(井上安世)が現れる。
安「こんにちは~」
信濃が安世を見た瞬間、
『ピロリロリ~ン』と一目惚れの効果音がする。
信濃の周りに花畑が見えるような、朗らかな曲に合わせて、
しなちゃんダンスで気持ちを表現する。
吉田が信濃に対し、
吉「大将、何してるんですか?」
信濃がダンスを止め、現実に戻る。
⑶
諸美は安世を知っているよう。
諸「ちょっと、安世~」
安「諸美ちゃん!」
信「二人は知り合い?」
諸「小学校のクラスメイトだったの」
信「こんな偶然、あるんやね」
安世が自己紹介する。
⑷
安世は佐藤に用事があったよう。
安「佐藤さん、部長が探していますよ」
佐藤はスマホで連絡を取ろうとするが、会社に置いてきた様子。
佐「携帯、忘れたな…」
佐「ほな、会社に戻るわ」
佐藤はラーメンを注文することなく、
安世と一緒に帰っていった。
⑸
信濃・吉田・諸美の三人。
諸「ははーん。お兄ちゃん、分かったわよ」
諸「好きなんでしょ?…私のこと」
信「諸美ちゃんじゃない!」
吉田が加わる。
吉「俺ですか?」
信「なんでや!…ほんで、顔テカテカやないか!(苦笑)」
確かに、吉田の顔が光っているように見える。
信「安世ちゃんや!あっ!」
諸「やっぱり」
信「タイプなんや…」
信「ショートカット」
信「すらっとした細身の体」
信「何より、つぶらな瞳」
⑹
諸「お兄ちゃんは奥手なのよね」
諸「弟子時代も好きな人が居たのに、行けなかった」
吉「ラーメンはイケイケやのに、恋愛は奥手って…気持ち悪っ」
諸「お兄ちゃん、告白したら?」
信「告白なあ…」
諸「世界には70億人が居て、男と女、35億人ずつなの」
諸「つまり、35億分の1の奇跡の出会いってことなのよ!」
諸「チャンスを逃しちゃダメ!」
信「なんちゅう、キャラや…(苦笑)」
自分でキャスティングしておきながら、
『女の子キャラの諸見里大介』を冷静に見てしまう、信濃。
⑺
信「顔を見て告白するのは、緊張するなあ」
諸「じゃあ、後ろを見て告白すれば?」
信「…分かった」
諸美が可愛く、
諸「ガンバッ!」
吉「ガンバッ!」
信「吉田までやらんでええから!」
諸「安世が来たわ!」
諸美と吉田が屋台の厨房に隠れる。
⑻
安世が現れ、
信濃が安世から目を逸らし、舞台上手側を見る。
(安世→舞台中央→信濃→、というポジションで)
安「大将さん。佐藤さんが『ラーメンを作っておいてくれますか』って言ってました」
信「あのっ、安世さん。お伝えしたいことがあります!」
背中の向こうに居る安世に語る。
そこに、佐藤がやってきて、安世の肩をトントンと叩く。
安世は部長に呼ばれたのか、会社に帰っていく。
佐藤はラーメンを食べるため、その場に残り、安世が居た場所に立つ。
⑼
厨房から隠れて見ていた諸美と吉田が焦り、佐藤に気づかれないようアピールするが、
信濃は、安世と佐藤が入れ替わったとは知らず、安世に告白するつもりで語り掛ける。
信「あなたのことが好きでした!」
信「ショートカット」
信「すらっとした細身の体」
信「何より、つぶらな瞳」
全て、佐藤と合致している。
信「僕と付き合ってください!お願いします!」
信濃が下を見ながら振り向き、手を伸ばす。
佐「…!?」
佐「大将…」
佐藤は信濃の手を取り、
佐「OKです!」
信濃は佐藤の声で異変に気付き、顔を上げ、佐藤を見る。
信「えーっ!?」
暗転
その5に続く