⒍
⑴
吉田・信濃・諸見里が改めて自己紹介し合う。
吉「花月工業二年の吉田や」
信・諸「花月工業ーっ!?」
花月工業の悪評は二人にもしっかり伝わっているようで、
信濃は腰を抜かし、諸見里はおしっこを漏らす仕草をする。
二人が舞台下手袖に逃げる。
吉「何、逃げとんや!戻ってこい!」
信濃が舞台下手袖から顔だけ出す。
吉「ひょこっと、顔出すな!」
信濃と諸見里が戻ってくる。
⑵
吉「よろしく!」
と、吉田は握手しようと前に手を出す。
信「僕ら、殴られるんですか?」
吉「殴れへん!握るんや!」
信濃が恐る恐る近付き、何とか吉田と握手する。
信「おーっ!」
歓喜する、信濃。
信濃は諸見里の元に戻り、
信「行け!行け!」
今度は諸見里が恐る恐る吉田に近付き、何とか吉田と握手する。
諸「おーっ!」
歓喜する、諸見里
諸見里は信濃の元に戻り、
諸「次、お前、もう一回や!」
また、信濃が恐る恐る近付き、吉田と握手する寸前で、
信「無理、無理、無理、無理!」
と、吉田から離れ、諸見里と一緒にはしゃぐ。
吉「一回できたやろ!」
吉「何のゲームや!度胸試し、ちゃうぞ!」
⑶
吉田は二人が屋台をアルバイト先に選んだ理由が気になるよう。
吉「何で、ここを選んだん?」
信「昔、虐められて、自殺を考えたんです」
信「その時、たまたま、ここのラーメンを食べて、感動したんです」
信「それで、自殺をやめました」
信「今は、このお店の味を少しでも多くの人に伝えたいんです」
諸「勉強に行き詰まって、ストレスで自殺を考えたんです」
諸「その時、たまたま、ここのラーメンを食べて、感動したんです」
諸「それで、自殺を思い留まりました」
諸「僕も、このお店の味を少しでも多くの人に伝えたいんです」
吉「無茶苦茶、真面目やないか!」
諸「吉田さんは?」
吉「俺?」
吉「…えー」
吉「毎日、喧嘩に明け暮れて、心が荒んでた」
吉「そんな時、たまたま、ここのラーメンを食べて、美味しくて感動した」
吉「喧嘩する気持ちが無くなった」
吉「このラーメンが広まったら、喧嘩が無くなるんちゃうかな、と」
吉「いや、戦争も無くなるんちゃうかな、と」
吉「この店のラーメンを広めて、平和な世の中にしたいねん」
信「素晴らしい!」
諸「感動した!」
⑷
三人は友情が芽生え始めたよう。
(舞台中央で、諸見里→↓信濃↓←吉田、というポジションで、)
吉「ふんっ!」
吉田が拳を合わせようと、前に拳を突き出す。
諸「ふんっ!」
諸見里も拳を吉田の拳に合わせる。
信濃も拳を合わせるかと思いきや、
信「ふんっ!」
と、しなちゃんダンスの両手を左右に広げた時のポーズを取る。
吉「何してんねん!」
信「すみません!」
信「いつもはお手伝いさんがやってくれているから…」
吉「意味がわからん!」
⑸
信濃が吉田に対し、
信「僕のポジション、やってみてください」
(舞台中央で、諸見里→↓吉田↓←信濃、というポジションで、)
信濃と諸見里が拳を合わせる。
吉田は、
吉「ふんっ!」
と、しなちゃんダンスの両手を左右に広げた時のポーズを取る。
吉「なるな、ここ」
信「なりません」
諸「あじゃとい(=あざとい)」
⑹
吉田が諸見里に対し、
吉「ほな、やってみいや」
(舞台中央で、吉田→↓諸見里↓←信濃、というポジションで、)
信濃と吉田が拳を合わせる。
諸見里は、
諸「シュッ!」
と、サ行を握り潰す仕草をする。
吉「新しいん、増えたで!」
信「まあ、まあ。三人、仲良くしましょ!」
吉「そやな!」
諸「よろしくお願いします!」
⑴
瀧見が出前から戻ってくる。
瀧見は三人を見て、
瀧「仲良うなってるな。ええこっちゃ」
瀧「しかし、忙しいわ」
瀧「出前中に、もう一件、出前が入った」
瀧「今から作るわ」
瀧見が屋台の厨房に入る。
⑵
安世も出前から戻ってくる。
安「疲れたー!」
安「出前先、エレベーターが故障してて、階段で10階まで上がったの」
安「汗、掻いたわ」
瀧「これで、汗、拭き」
と、タオルを安世に渡す。
安世がタオルで顔や首の汗を拭く。
⑶
安世はエプロンを着けた信濃と諸見里を見て、
安「あれっ?この人達は?」
瀧「今日から働いてもらう、バイトの子や」
信濃・諸見里・安世が自己紹介し合う。
⑷
瀧見がラーメンを作り終え、
安世がタオルを長椅子に置き、花月ビルに出前に向かう。
⑸
瀧「吉田君、水汲み、お願いできる?」
吉田がポリタンクを持ち、水を汲みに舞台上手袖に消える。
瀧「信濃君と諸見里君は鉢下げをお願い」
瀧見から住所を聞き、信濃と諸見里が鉢下げに向かう(=舞台上手袖に消える)。
瀧「俺は夜の分の仕込みや」
瀧「痛たっ…」
瀧見がお腹を押さえる、
瀧「お腹、下したかな…」
瀧見がトイレに向かうため、舞台下手袖に消える。
ラーメン屋台に誰も居なくなる。