⒊
⑴
今日は女将・靖子の弟が旅館に戻ってくるらしい。
藍五郎は靖子の弟と面識がなく、靖子に弟のことを尋ねる。
靖「行く行くは、弟がこの旅館を継ぐことになっていて、」
靖「今は、そのための修行で東京に住んでいるの」
靖「今日は話したいことがあって、私が呼んだの」
藍「次期社長…ライバルやな」
烏「お前はただのバイトや!」
藍五郎が椅子に腰掛け、
藍「どんな男か、見たろやないか」
と、足を組もうとするが、右足が膝上に全く届かず、
烏「全然、組めてへん」
⑵
靖子の弟・芳伸(太田芳伸)がボストンバッグを持ち、帰ってくる。
芳「ただいま」
烏「芳伸君、おかえり」
藍五郎が芳伸に、
藍「仲良うしましょ?」
藍が芳伸に握手を求めるように手を出す…と見せかけて、股間を握る。
芳「どこ触ってるんですか!」
藍「ちんこ」
芳「はっきり言うな!」
⑶
藍五郎が芳伸に自己紹介する。
藍「花月旅館のアルバイトで、酒井藍五郎と言います」
藍「チャームポイントは、見てもらったら分かるように、」
と、人差し指で口髭を部分を一周させ、
藍「この、人差し指です!」
芳「髭ちゃうんですか!」
⑷
芳伸の声を聞き、靖子と一の介が現れる。
芳「姉ちゃん、急にどないしたんや!?」
靖「これから、あなたの支えになっていく女性を紹介したいの」
芳「…えっ?誰?」
藍五郎が一歩前に出て、
藍「どうも」
烏「お前は男や!」
芳伸が靖子に対し、
芳「姉ちゃんの気持ちは嬉しいけど、勝手に決められるんは困る…」
⑸
そこに、一般的なスーツを着た今別府(今別府直之)と、
今別府の後ろから清楚そうなドレスを着た真希(前田真希)が現れる。
今「失礼します」
靖子が芳伸に対して、
靖「あちらが芳伸に紹介したい、真希さんよ」
藍五郎は真希について、
藍「全然、可愛ない!ブスや!」
と言い、真希ではなく、今別府の前に行く。
烏「なんで、そっちに行くんや!」
今別府が藍五郎に、
今「私は秘書ですよ!間違えないでください!」
と、藍の肩を軽く突く。
藍「突いたらあかんやろ!」
と、今別府の胸を軽く突く。
今「ピュ」
藍「…?」
ここから、『ピュッピュルッピュ ドン』のくだりに。
『~ドン』を決めても、観客から拍手がなく、
拍手が起こるまで客席を見続ける、今別府。
お情けの拍手が起こると綺麗な一礼をする。
烏「拍手が来るまで、待つな!(苦笑)」
⑹
・もう一回せえやっ!
・速い、速い、速い!
を経て、再度、『ピュッピュルッピュ ドン』。
観客から拍手がなく、
またも、拍手が起こるまで客席を見続ける、今別府。
お情けの拍手が起こると綺麗な一礼をする。
藍「みんなに気を使わせんといて。(苦笑)」
今「もうすこし気を使うくらいでいいんですよ!」
客「…(苦笑)」
烏「この空気、どうすんや!(苦笑)」
⑺
靖子が真希のことを芳伸に紹介する。
靖「真希さんはあなたより二つ年上で、吉本商事の社長令嬢なの」
靖子と真希はパーティで知り合ったらしい。
真希が芳伸に対し、
真「お写真より素敵です」
藍「ありがとうございます」
烏「お前ちゃう!」
今別府が芳伸に対し、
今「真希さんは、けっきょん(=結婚)を前提にお付き合いしたいと申しております」
噛んだ今別府に演者が笑いながら、なんとか芝居を続ける。
藍「喜んで!(苦笑)」
烏「お前ちゃう!(苦笑)」
烏川が今別府に対し、
烏「ちゃんと、やってくれます?(苦笑)」
藍「結婚を『けっきょん』って言ってた。(苦笑)」
今別府が客席の方に手のひらをかざしながら、
今「『こんな大人になっちゃいけない』ってのを見せたらいいんですよ!」
烏「あの、黙っといてくれます?(苦笑)」
⑻
靖「すぐ結婚っていうわけにもいかないでしょうから、徐々に仲良くなればと…」
一の介は食事の用意をしていたようで、
一「皆で食事をしましょう」
一「こちらへどうぞ」
靖子と一の介が舞台上手奥の通路に消えていった。
真希が芳伸の腕を掴み、
真「ねえ、芳伸さんも一緒に行きましょ?」
と左足を後ろに跳ね上げて、過剰に可愛らしく見せる。
真希と芳伸も奥に食事に向かった。
⑼
藍五郎が烏川の腕を掴み
藍「ねえ、私達も行きましょ?」
と左足を後ろに跳ね上げる。
烏「お前のは勢いあり過ぎて、怖い。後ろ蹴りや!(苦笑)」
烏「ふざけんと、掃除しに行け!」
藍「まだ、働かせるんですか?」
烏「まだ、働いてないやないか!」
藍五郎が烏川に対しファイティングポーズを取る。
藍「やるんか!」
烏川が一歩足を出すと、体をビクッと動かす、藍五郎。
藍五郎は威勢だけで、あまり、強くなさそう。
藍「やるんか!」
烏川が一歩足を出すと、また体をビクッと動かす、藍五郎。
烏川がもう二歩三歩前に出ると、藍五郎は中央奥の通路に逃げ、
烏川が藍五郎を追いかけていった。
その4に続く