裕とアキコ、二人。

上半身は白Tシャツ、下半身はジャージ姿の役柄『クレーマー』、
客の圭吾(もじゃ吉田)が怒鳴りながら、中央奥の客室通路から現れる。

圭「おーいっ!どないなっとんねん!
ムキー
圭「ここの大判焼きを食うたら、顔が生えてきたぞ!
ムキーアセアセ
圭吾の白Tシャツのヘソ部分から、薄っすら『ひょっとこ(のお面)』が見えている。

また、圭吾はTSUTAYAのレンタルバッグを持っている。


圭「どうすんねん!?
ムキー
ア「辛いね~」
笑い泣き
裕「今、原因を解明しているところでして…アセアセ

圭吾は、TSUTAYAのレンタルバッグをアピールしながら、
圭「部屋で『となりのトトロ』を観ようとしてたのに!
プンプン
圭「あの名ゼリフを聞きたかったのに!」
と、一言セリフのボックスから短冊を取り出す。
圭『散髪したいなあ』
圭「…タラー


裕が圭吾に対し、
裕「取り敢えず、生活に支障は無いでしょ?」
圭「支障あるやろっ!」
圭「どっちの顔で飯食うたらええんや!
ムキー
裕・ア「…」
裕・ア「…上」
笑い泣き

圭「どっちの顔で鼻かんだらええんや!ムキー
裕・ア「…」
裕・ア「…上」
笑い泣き


圭「どうにかせえよっ!
ムキー
圭吾が客室に去っていく。

ア「『となりのトトロ』のセリフ、見つけてくださいね
口笛


ア「えー!こんなこと、初めて
びっくりアセアセ
ア「警察に電話しよっ!
アセアセ

アキコがフロントから警察に電話をする。
ア「あっ、もしもし!」
ア「花月旅館の者ですけど、客のおヘソから顔が生えてきて…」
ア「来てくださいっ!」

ア「…はい」
ア「……はい」
アキはなかなか電話を切らない。
ア「…」
ア「………はい」

裕「(電話)長いなあ!
タラー

アキコが電話を切る。


ア「電話で聞いたけど、顔生えた人、いっぱい出てるらしいわ」
ア「たいへんや」

アキコは原因不明の症状に命の危機を感じたのか、
ア「私、あなたに言いたいことがあったのよ」
と、一言セリフのボックスから短冊を取り出す。
ア『ファミマよりセブンイレブン派』
笑い泣き

裕「今、言うことちゃうやろ!(苦笑)」 笑い泣き
ア「今、言うことちゃうよ!プンプン
ア「今、言うことちゃうからこそ、よっぽど言いたかったんやと思う!」 笑い泣き
 
 


岩「一体、これ、どう言うことや!
ムキーびっくり
客室通路から激怒と絶叫の中間のような岩橋の声が聞こえる。

岩橋は白馬の顔で現れる。
笑い泣き
岩「顔が馬になってもうたやないかっ!!アセアセ

裕は馬の顔の下にある白ベースのストライプのスーツから、
馬が岩橋であると気付く。
裕「ギネスの方ですよね?(苦笑)」
笑い泣き


岩「こんな頭、要らん!」

裕「なんか、食べました?」
岩「お茶菓子みたいなやつ、食べた」
裕「大判焼きでは?」
岩「そうや、それや!」

岩「直す方法、考えてくれ!」
ア「もうすぐ、警察が来るんで」
裕「取り敢えず、お部屋で休んでいてください」

岩橋が客室通路に戻ろうとして、
前の椅子に足を引っ掛け、転びそうになる。
裕「(馬のマスクで)足元、見えてへんから。(苦笑)」
笑い泣き

岩橋が客室に向かった。

裕「どうなるんや…
原因不明の症状への不安を口にする、裕。
劇そのものへの不安もあるのかもしれない。
 



役柄『チャラ男』、ホスト風のスーツを着た大島が
(造り物の)トマトを持ち、舞台下手袖・奥側から現れる。

同時に、パーティドレスを着て、大きめのサングラスを掛けた
役柄『女スパイ』の真希(前田真希)が
蜘蛛のようにセットに張り付きながら、舞台下手袖・手前側から現れる。

登場のタイミングが重なってしまい、
真希が蜘蛛のようにセットに張り付いたまま、舞台袖に捌ける。
笑い泣き

裕とアキコも笑い出す笑い泣き


大島が裕とアキコに対し、
大「来ちゃった
ウインク

大島が自分の顔の近くからトマトを二人に見せ、
ホスト風の軽々しい喋り方で、
大「ちょっトマット(=ちょっと待って)
ニコニコキラキラ
 
裕・ア「…タラー

裕「…なんやこいつ。全然、おもんないぞ!(苦笑)」 笑い泣き


大島が電話に出ようと、スマホを取り出す。
大「すぐ掛け直すね、ケイコちゃん
キラキラ
自分を指名する客との営業電話のよう。

大島は、また電話に出ようと、ポケットから別のスマホを取り出す。
大「ごめーん、また掛け直すね
キラキラ

大島は、また電話に出ようと、ポケットから『バナナ』を取り出し、耳に当てる。

アキコがオチの効果音を鳴らす。
『チャッ チャ』
笑い泣き


大島が裕とアキコに対し、
大「二人が何を考えているか分かります」
大島が二人に卵を見せながら、
大「困っ卵(=困ったまご)
ニコニコキラキラ

 

裕・ア「…タラー


大「じゃあねウインク
大島が去っていった。

裕「あの人は何しに来たんや!?
タラー笑い泣き
 
 


大島が帰ったことを確認した真希が
蜘蛛のようにセットに張り付きながら現れる。
笑い泣き

真希は店先で立ち止まり、
バッグから拳銃を取り出し、大袈裟に構える。
笑い泣き 

裕「変な奴、来たぞ。(苦笑)」


補足。
前田真希さんは、劇が終わるまで大袈裟な演技をしています。


真希が旅館に入ってくる。

真希はサングラスのサイズが全く合っておらず、
一歩歩くたびにズレ落ち、サングラスの位置を直す。
笑い泣き

裕「メガネのサイズ、おかしいやろ!(苦笑)」


真希の一言目は、
真「アニョハセヨ~」
多国語を喋る女スパイ、という演技プランなのだろうか?

真「予約しているんだけど…」
裕「拳銃、持ってましたよね?」
真「…?」
真「これのこと?」
と、今度は、バッグから長方形の刃をした肉斬り包丁を取り出す。

裕「なんで、そんなもん、持っとんや!
アセアセ

ア「誰かに追われてます?

真「いえ、これが普通です
ニコニコ


真「一泊、いいかしら?」

真希が宿泊することになる。

チェックインや鍵を渡すなどの描写が無いため、
真希は客室がどこか分からず、
真「部屋はどこなの?」
と、前に一歩進んでは、後ろに一歩下がる、を繰り返す。

真「あなた達に一言、言っておきますね?」
と、一言セリフのボックスから短冊を取り出す。
真『これは痛風です』
笑い泣き
 
アキコが真希に、
ア「だから足を動かしていたんですね!びっくり笑い泣き拍手
真「そうなの!口笛アセアセ
真希が、前に一歩進んでは、後ろに一歩下がる、を繰り返す。
笑い泣き

真希が客室に消えた。

裕「…痛風、凄いな
タラー笑い泣き
 

その6に続く