≪ 第二部…台本のない新喜劇 ≫
[セット紹介]
『花月旅館』のロビー。
⒈
舞台下手に、旅館入り口(引き戸)。
舞台中央奥に、客室への通路
舞台上手袖に、従業員控え室等への通路。
⒉
舞台中央奥上手寄りに、フロント。
舞台中央に、椅子と横長の低めのテーブル。
テーブルには観客から募集した一言セリフのボックスと
効果音を出す機械(サンプラー)が置かれている。
⒊
旅館入り口先に、手入れされた木々。
旅館と木々の間にある道路は、手前側と奥側、二手に分かれている。
※
補足。
18/09/11~17、祇園花月本公演
『おしみの職業体験は任せなさい!』のセットを使用しています。
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は『花月旅館』。
従業員が誰も居ない旅館ロビー。
役柄『お客さん』の親泊(親泊泰秀)とカバ(カバ)が
宿泊にやってくる。
親「旅館、ここやなあ」
カ「ええとこやなあ」
親「旅行で、カバに言おうとしてたことがあったんや」
と、一言セリフのボックスから短冊を取り出す。
親『君の瞳に恋してる』
カ「…」
親「…」
カ「気持ちは嬉しいけど…」
親「だから誘った」
カ「…友達から始めようか。(苦笑)」
積極的な親泊に対し、
突然の告白とそれ以上のあれこれに心の準備ができていないカバ。
親「布団、一つにしてもろうてるから」
カ「…しゃあないな。(苦笑)」
⑵
旅館の従業員が見当たらず、
親泊が奥に呼び掛ける。
親「すいません、すいませーん!」
しかし、誰も現れない。
まだ、二人の時間を続けろということだろうか?
※
補足。
カーテンコールの話では、
番頭役の吉田裕さんがなかなか登場しなかった理由にいて、
裕「どうして良いか、わからんかった。(苦笑)」
⑶
親泊がカバに確認する。
親「勿論、一緒に寝る」
親「…行けるか?」
カ「その覚悟、今、聞く?」
親「楽しみにしてる。今夜」
カ「…じゃあ、番頭、呼ぶ?(苦笑)」
⑷
親泊が呼び掛けると、
役柄『旅館番頭』の裕(吉田裕)が現れる。
裕「いらっしゃいませ」
親「予約していた、親泊です」
裕「お待ちしておりました、親っ泊…さっま(=親泊様)」
相変わらず、イベント公演では序盤に良く噛む、生真面目そうな裕。
裕「部屋は、布団一枚で用意しておりますので」
裕「夜、頑張ってくださいね」
⑷
裕が親泊にカギを渡す。
裕「アルバイトがお部屋にご案内しますので」
裕が奥に向かって、
裕「バイト、行けるかー!?」
しかし、誰も現れない。
カ「自分達で行けるんで、もう行っていいですか?」
裕はロビー(=舞台)に一人になるのが嫌なのか、
裕「まだ、居てください!」
と、二人を引き止める。
⑴
裕が親泊とカバをロビーに引き止めていると、
役柄『二つの顔を持つ人物』のサキ(五十嵐サキ)が現れる。
サキは、シャツの胸元から顔(人形)を出している。
このこと自体、オチのよう。
サ「助けてくださいっ!」
サ「顔が生えてきました!」
裕「えっ!?」
サキは手に大判焼きを持っていて、
サ「大好物の大判焼きを食べていたら、顔が生えてきて…」
サキは旅館の宿泊客ではなく、どうやら、近所の住人のよう。
※
補足。
大判焼きは本物が使われていました。
サキさんの私物でしょうか?
⑵
サ「お医者さん、泊まってないですよね!?」
カ「医者です」
親「診ます」
裕「二人とも医者ですか!?」
裕「何科の?」
カ「内科です」
親「肛門科です」
⑶
カバがサキに近付き、胸元から生えた顔を見る。
カ「しっかり生えていますね」
カ「大判焼き、ちょっと、いいですか?」
カバは、サキの食べかけの大判焼きを受け取り、
二つに割り、餡を見る。
カ「カプセルが入っている!」
カ「これが原因かもしれません!」
裕が推測する。
裕「誰かに入れられた!」
裕「狙われてますよ!」
サ「何のために!?」
裕「そこまでは分かりません!」
大判焼きの中にカプセルが入っているなら、
大判焼きの作り手が怪しそうなものだが、
あまりにも飛躍した展開に、誰もありふれた疑いはしない。
⑷
そこに、役柄『いろんな伝説を残した男』、岩橋(プラス・マイナス岩橋良昌)が
「ワーーッ!!」と叫びながら現れる。
岩橋は白ベースのストライプのシャツを着ている。
岩橋は、引き戸の観客側、お芝居上は壁の部分から旅館に入ってきて、
直ぐに引き返し、舞台袖に去っていった。
裕「完全に壁を越えてきた。(苦笑)」
サキは岩橋の顔を知っているよう。
サ「あの人、夜中に私の部屋を覗いてきた人よ!」
⑸
裕がサキに対し、
裕「取り敢えず、ここで休憩して」
裕「アルバイト、呼びますんで」
裕が奥に向かって、
裕「客、来てるぞー!」
⑹
役柄『バイトのおばちゃん』、アキコが旅館の裏側(舞台奥側)から現れ、
入り口から入ってくる。
裕「ずっと、何してたの?(苦笑)」
ア「さぼってました」
裕「あかんやん!」
実際は、アキコのメイクに時間が掛かっていたのだろうか?
⑺
アキコが客に挨拶する。
ア「いらっしゃい」
アキコがサキを見て、驚く。
ア「ここにも!…顔が生えた人があちこちで歩いてたわ」
サ「日本、ヤバい!」
カ「原因を調べてきます!」
カバが去っていった。
サ「顔が増えている人を見てきます!」
サキが去っていった。
親「僕も、原因を調べてきます!」
親「部屋の鍵はお返ししときます!」
親泊も去っていった。
裕「全員、帰ってもうたやないか!(苦笑)」
⒊
⑴
岩橋が再び現れ、
今度はきちんと旅館入り口から入ってくる。
しかし、妙にテンションが高い。
岩「はい、はい、はい、はい、はい、はい、はいっ!」
岩「誰か分かるかな?」
裕「いえ…」
岩「(様々な)世界ギネスを樹立している、ギネスマン」
岩「この旅館に泊まれば、日本中の旅館に泊まったギネスになる」
裕・ア「…?」
呆気にとられる、裕とアキコ。
⑵
岩「しかし、旅館まで遠い!田舎過ぎる!」
ア「(交通手段は)何で来たの?」
岩橋は自分の喋りの抑揚を手のひらの高さで示しながら、
岩「うーーまーー!」
岩「馬で一番走った男、ギネス記録を持っています」
裕「それは、馬の力では?」
岩「俺の力でもある…馬のお尻を叩いたり、馬の前に人参をぶら下げたり」
⑶
裕が岩橋に尋ねる。
裕「先程の女性(=サキ)、知ってます?」
裕「『部屋を覗かれた』、言うてましたけど」
岩「何、言うてんの?」
岩橋が遠くから馬で旅館に来た話が本当なら、
サキの勘違いなのかもしれない。
⑷
ア「馬は?」
岩「パーキングに置いてきた」
ア「駐輪場の方にお願いできますか?」
岩「…駐輪場?(苦笑)」
ア「パーキングに馬を停めるようになってないんで」
岩「それより先に、部屋が見たい」
岩橋がチェックインも済まさず、強引に中央奥の客室通路に向かう。
通路で振り向き『コッコッコ』と舌で口を鳴らす、岩橋。
(鍵も無く、どう入室するのか謎だが)客室に向かった。