『恐怖!馬面男』
[開演前のアナウンス]
観覧回は、岡田直子さんがアナウンスを担当。
タイトルコール・演者紹介等、
紙に書かれているであろう内容を至極、真面目に読み上げられていましたが、
岡田さんの声優ネタで見られるような、過剰に綺麗な女性アナウンサー声を作っていて、
声の主が分かる人には、ニヤニヤできる時間になっていました。
[セット紹介]
洋風の『花月ホテル』のロビー。
⒈
舞台下手袖・手前側に、ホテル入り口への通路。
舞台下手袖・奥側に、通用口。
舞台中央奥上手寄りに、客室への通路。
舞台中央奥下手寄りに、森の見える大きな窓。
舞台上手袖に、スイートルーム・レストラン・事務室等への通路。
⒉
舞台中央に、椅子と膝の位置ほどのテーブル。
舞台上手奥に、フロント。
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は洋風ホテル『花月ホテル』のロビー。
徹郎(新名徹郎)、早苗(金原早苗)、二人の娘で小学生のライラ(川筋ライラ)、
家族三人がホテルに宿泊しに来た。
徹「着いたなー!」
早「素敵なところねー!」
ラ「広いホテルー!」
徹郎が(舞台中央に居る)ライラに対し、優しい口調で、
徹「ライラの10歳の誕生日、レストランで祝ってあげるね」
⑵
徹郎が早苗だけをホテル入り口に呼び寄せ、
ライラに聞こえないように、
徹「ホテルのホラーイベント、事前に予約したけど、喜んでくれるといいな」
早「そうね」
ライラが徹郎と早苗に、
ラ「お父さん、お母さん、どうしたの?」
徹「…なんでもないんや」
⑶
♪いかにも恐ろしげな洋風ホラーの曲が流れる
曲に合わせて、ホテルの照明が薄暗くなる。
予約客向けに行われているホラーイベントが始まったよう。
舞台下手寄り奥の大きな窓の外に、
ゾンビのお面を被ったホテルスタッフ・安尾(安尾信乃助)が現れる。
徹「うわーっ!ゾンビが来たーっ!」
娘のために大袈裟に驚く、徹郎。
安尾は窓からロビーに入って来ようとする。
徹「入ってくるぞっ!」
…が、窓が閉まっていて、安尾は入ることができない。
頭を抱える、安尾。
徹「…えっ?」
⑷
舞台中央奥の客室への通路から、
ゾンビのお面を被ったホテルスタッフ・松浦(松浦真也)が現れる。
松浦はギターを抱えている。
徹「うわっ、ゾンビが出てきたーっ!」
⑸
松浦は窓に近寄り、安尾がロビーに入って来られるよう、鍵を開ける。
安尾が入ってこようと窓から片足を入れるが、
ロビーの床に足が届かず、入ることができない。
徹「無理矢理にでも入ってこいや!」
松浦が窓の前で四つん這いになり、即席の補助台になる。
松浦の背中に足を乗せ、何とかロビーに入ってくる、安尾。
安尾は丁寧に窓の鍵を閉める。
徹「ちゃんとせんでええから!」
安尾と松浦は、特にライラを驚かせるでもなく、
そのまま中央奥通路に消えていった。
⑹
今度は、和風のおばけ屋敷で良く聞かれる、古典的な効果音が流れる。
徹「…雰囲気、変わったな」
フロントに薄明かりが灯る。
白装束に三角の頭飾りを着け、『お菊』に扮したホテルスタッフ・森田(森田まりこ)が
フロント下から体を起こす。
森「一枚…」
森「二枚…」
徹「番町皿屋敷!?…古ない?(苦笑)」
森「八枚…」
森「九枚…」
森「十枚…」
徹「十枚あったら、あかんから!」
森田が奥に消える。
呆れる、徹郎と早苗。
一方、娘のライラは、ホラーイベントを終始、冷静に見ていた。
⑴
娘に喜んでもらおうと予約したにもかかわらず、
あまりにもお粗末なものを見せられ、怒る、徹郎。
徹郎がホラーイベント担当のホテルスタッフに対し、
徹「全員、出てこい!」
森田が現れる。
安尾・松浦もゾンビマスクのまま現れる。
徹「ちゃんとやれよ!」
安尾・松浦はゾンビマスクのまま、無言で謝る。
徹「マスク、取れ!」
安尾・松浦がマスクを取り、素顔を見せる。
⑵
徹「なんや、この内容!」
安尾が応対する。
安「申し訳ありませんでしたか?」
安「もしかして、怒ってます」
安「私、従業員の安尾という者ですか?」
等、『か?』の使い方が不適当で、その都度、徹郎が指導する。
安「許してください!コウノトリです!」
徹「コウノト…?」
安「あっ、この通りです!」
早「さっきから、ふざけてるんですか!」
⑶
徹郎夫婦を和まそうと、松浦が曲を弾くという。
松「ウェルカムソングです!」
松「♪お子さん めちゃめちゃ可愛い」
松「♪奥さん めちゃめちゃ可愛い」
松「♪旦那は めちゃめちゃ…鼻デカい!」
徹「ええ加減にせえよっ!」
徹郎と松浦が掴み合いになる。
安尾と森田では、掴み合いを止められない様子。
⑷
早苗が慌てて奥に呼び掛けると、
フロント責任者の吉田(吉田裕)が現れる。
吉「松浦、お客様に何をしとんや!」
吉田が二人の間に入る。
吉「申し訳ございません!三人は新人なもので…」
徹「ホラーイベント、滅茶苦茶でしたよ!」
早「全く怖くないです!どこがホラーイベントなんですか!?」
吉「すみません」
⑸
徹郎が吉田を見て、
徹「お宅もふざけてます?」
徹「覆面を取りなさい!」
吉「えっ?」
徹「『えっ?』やない!馬の覆面や!」
徹郎が吉田の覆面を剥がしに掛かり、そのうち、素顔であることに気づく。
徹「えーっ!!」
徹郎は恐怖し、後退りする。
⑹
覆面を剥がせない徹郎を見て、
早「あなた、何やってるのよ?(苦笑)」
と、早苗が吉田の覆面を剥がしに掛かる。
当然、剥がれず、
早「えーっ!!」
早「覆面じゃない!」
徹「馬のバケモノーッ!!」
徹郎と早苗が悲鳴を上げ、ホテルから逃げ去っていった。
⑺
一人残されたライラが吉田に、
ラ「両親は信じやすくて…すみませんでした」
ライラは両親の非礼を詫び、歩いて帰っていった。
吉「…子供が一番冷静やないか」
その3に続く