⒋
⑴
たこ焼き屋台のアルバイト、ひで子(服部ひで子)が
大きなクーラーボックスを両手で重そうに持ちながら、現れる。
佐「やっと戻ってきた。何、してたの?」
ひ「すみません。重くて、重くて…」
佐藤が息切れしているひで子を見て、
佐「ひで子ちゃん、一回、座ろうか」
屋台の長椅子に、ひで子を座らせる。
⑵
佐藤がひで子に対し、
佐「暑いし、水、飲んだ方がええわ」
佐藤が令にお願いする。
佐「令君、そこの水、お願いできる?」
令「分かりました」
令は水差しからコップに水を注ぎ、ひで子に持っていく。
しかし、ひで子の前で自分で飲む。
佐「何してんの!?」
令「『水、お願い』って言われたから、飲んでほしいのかと…」
佐「ちゃう!状況見たら、分かるやろ!」
佐「ひで子ちゃんに水をお願い!」
令「あっ!()」
⑶
ひで子が水を飲む。
心配する佐藤がひで子の顔を覗き込み、
佐「ひで子ちゃん、大丈夫か?」
ひで子は佐藤の顔を見て、
実際に口に含んだ水を「ブーッ!」と霧吹きのように佐藤の顔に吹き掛ける。
佐「うわっ!何、すんの!?」
佐「顔、びしょびしょになったやないか!」
ひ「すみません!驚いてしまって…目玉オバケかと!」
佐「普通の人間や!」
タオルで顔を拭く、佐藤。
⑷
佐藤がクーラーボックスの蛸を確認する。
しかし、佐藤が取り出したのは、凧揚げの『凧』。
佐「美味しそう!…たこ違いやっ!!」
とノリツッコミする。
ひで子はきちんと蛸も購入していたようで、
佐藤がクーラーボックスから取り出した。
⑸
ここで、誰かの登場時の音楽と思われる、爽やかな音楽が流れ出す。
皆「…?」
佐藤が演者に対し、
佐「誰や、携帯を鳴らした奴は!?(苦笑)」
佐藤が機転を利かせ、ミスをカバーする
⑹
新人アルバイトのひで子が
客の高校生達に自己紹介する。
⑴
爽やかな音楽が流れ、まりこ(森田まりこ)が現れる。
先程、流れた音楽はまりこの登場音だったよう。
まりこが佐藤に挨拶する。
ま「こんにちはー」
佐「こっ、こんにちはー!」
佐藤はまりこを前にして、緊張している。
⑵
まりこは、屋台の隣の喫茶店で先週から働いている、新人アルバイト。
ま「マスターが来られなくなったみたいで、今から開けるの」
ま「今日は私一人なの」
ま「何かあったら、みんな、手伝ってくれる?…佐藤さんも」
佐「もっ、もちろんです!」
⑶
ひで子がまりこに近づき、
ひ「グラマラスですね。何カップですか?」
ま「Fです」
ひ「私、G」
ひ「…ということは?」
ひ・ま「私達…爆乳~っ!!」
と、胸を突き出して強調する、やたら性的な爆乳三姉妹ネタを披露する。
佐「まりこさんまで!」
ま「客が少ない時は、こんなことやってるの」
胸を突き出して強調し、
ま「いらっしゃいませー!」
佐「違うお店になってる!」
⑷
まりこが舞台上手袖の喫茶店に向かう。
佐藤も舞台上手に行き、まりこの背中を見守っている。
ひで子が屋台奥で一人準備している。
ひ「大将、仕事しましょ?」
ひ「大将?」
ひ「大将!」
佐藤はまりこに夢中で、ひで子の声は聞こえていない。
アルミのお盆を持ったひで子が舞台上手の佐藤の背後まで来て、
ひ「大将っ!!」
と、お盆で佐藤の頭を叩く。
佐「痛っ!」
ひ「分かった。好きなんでしょ?…私のこと」
佐「違う!」
早苗やほたるも一歩前に出て、
早「じゃあ、私?」
ほ「私?」
なぜか、令まで一歩前に出て、
令「私?」
佐「違う!」
最後に啓之が一歩前に出ようとするが、
佐「出てくんな!」
啓「…」
佐「全員、違う!」
佐「俺の好きな人は、まりこさん!…あっ!」
ひ「やっぱり」
⑸
ひ「でも、どうして、冴えないゴリラ女が好きなんですか?」
佐「言い過ぎや!」
佐「…とにかく、まりこさんが好きなんや」
ひ「だったら、さっさと肉体関係、持っちゃえばいいのに」
佐「高校生の前で言うたらあかん!」
⑹
佐藤は恋愛が苦手で、まりこに告白できないよう。
佐「あんまり恋愛経験が無くて、恥ずかしいんや」
佐「情けない話やけど」
は「つまり、『恋愛拗らせ糞ダサ野郎』ってことですね?」
佐「…酷ない?」
⑺
早苗が佐藤をフォローする。
早「大将、凄くカッコいいと思いますよ?」
早「…私は生理的に無理ですけど」
佐「フォローになってないぞ!」
早「やっぱり、草食系男子は女子受けが良くないと思います」
と、啓之を冷たい目で見る。
啓「何やねん!」
早「あんた、幼稚園の頃から、虐められてばっかりやったわね」
啓「なんやとー!」
早苗と啓之がまた掴み合いになり、佐藤が間に入る。
佐「喧嘩はやめよう!」
⑻
ひで子が佐藤に対し、
ひ「大将は女心が分かってないのが一番の問題です!」
ひ「告白されたら、女子は嬉しいんです」
ひ「例え、それがキショい人でも」
ひ「だから、告白しましょ?、『キショい』さん」
佐「佐藤さんや!」
佐「…分かった。頑張って告白してみるわ!」
その4に続く