⒒
⑴
徹郎・真希・一憲・まりこ、四人。
そこに、マサキン・奥重・小寺が怒った表情で現れる。
桜「映像を確認したら、糸が付いていましたよ!」
徹郎が正直に打ち明ける。
徹「…実は、弟は引きこもりになっていたんです」
徹「元の啓之に戻ってもらいたくて、みんなで一芝居打ったんです」
そこに、啓之が現れる。
啓「兄ちゃん、それ、ほんまか?」
徹「すまんかった」
啓「…」
⑵
旅館から、大きなバッグを持った令が出てくる。
老人らしい絞った声で、
令「そろそろ次の旅に出ようかと思ってな」
⑶
そこに、警官・太田が現れる。
太「旅館荒らしの手配書をお持ちしました」
太「…って、まりこちゃん、なんちゅう格好してるの!?」
ま「色々あって…」
⑷
太田が手配書を広げると、写っているのは、令。
令「バレたら、しゃあないな!」
令がナイフを取り出し、
まりこを人質に取り、舞台上手に移動する。
令「ちょっと待て。喋りづらい」
令「めり、めり、めり、めり…」
と、スパイの変装のように顎からマスクを外す(フリをする)。
老人の絞った声のまま、
令「これでええ」
徹「(見た目も声も)一緒かい!」
令は老人の声をやめ、
令「冗談や。老人のフリをしていただけや!」
⑴
令と人質のまりこが舞台上手に立ち、
他の皆が舞台下手に立ち、対峙する。
奥重がその様子を撮影している。
一憲が一歩前に出る。
一「その子を放すんじゃ!」
一「…一句、できた」
令「聞きましょう」
一『左目の下に ホクロがある方が まなかな』
令「勉強になったので、この子を解放しよう」
令がまりこのボンテージ服の首輪に付いた鎖を引っ張る。
苦しそうにする、まりこ。
⑵
徹郎が太田に頼む。
徹「なんとかして!」
太「分かった!」
太「お巡りさん、呼んでくるわ!」
と、一目散に逃げていく。
⑶
徹郎が一歩前に出て、令に対し、
徹「俺の大切な人を放してくれ!」
啓「…どういうこと?」
徹「あっ、いや…」
前「旦那さん、駄目です!」
前「それ以上言うたら、」
前「旦那さんとまりこさんが付き合っていることがばれてしまいます!」
啓「俺を騙してたんか!」
徹「…すまん」
徹「でも、今はその話をしている時と違う」
⑷
ま「助けてーっ!」
啓之がまりこを助けようとして、
令にナイフで腕を切られる。
ま「キャー!」
悲鳴を上げるまりこを令が殴り倒す。
その瞬間、啓之の怒りが頂点に達する。
啓「まりこちゃんに、何をするんやーっ!!!」
まるでオーラを纏っているように見える。
啓之が手に力を込めると、
令が回り出し、床に叩きつけられるように倒れた。
桜「やっぱり、超能力はほんまやったんや!」
桜「僕が回転した時も力を感じたんです!」
徹「…!」
徹「まりこちゃんが居るからや!」
前「どういうこと?」
徹「だから、啓之はまりこちゃんのことが好きだから!」
前「…どういうこと?」
徹「もう、ええ!」
※
補足。
昔、TVで力を発揮できなかったのは、まりこが引っ越して、啓之の傍に居なかったから。
マサキンや令に対して力を発揮できたのは、まりこが傍に居たから。
⑸
太田が都合よく現れる。
太田はピストルを構えながら、
太「大人しくしろ!」
太「逮捕する!」
と、令の前を素通りし、まりこのもとに向かう。
太「猥褻物陳列罪!」
徹「まりこちゃんや!」
⑹
太田が令を連行される。
奥重もYouTube用に満足の行く画が撮れたよう。
奥重・小寺・マサキンが帰っていった。