⒊
⑴
圭吾がたこ焼きの仕込みをしていると、
ドレスを着た、あき恵(浅香あき恵)が彷徨うように現れる。
あき恵は観客席を見て、自分一人の世界に入っている。
浅「もう、5月も終わりね」
浅「太陽が眩しいわ」
浅「まるで、私一人に微笑んでいるみたい」
浅「チョベリグだわ」
観客の拍手
圭「えらい、古い喋りの人が来たな。(苦笑)」
⑵
あき恵が悲しんでいるような、震えているようなポーズを取る。
圭「病気ですか?(苦笑)」
浅「島倉千代子です」
圭「何かあったんですか?」
浅「愛していた人が死んだんです」
浅「でも、私のために、この世を彷徨っているような気がして…」
⑶
あき恵は、圭吾の方ではなく、ずっと客席を見ながら喋っている。
圭「何で、こっち見いへんの?(苦笑)」
浅「こっち(客席)を見ている方が安心なんです」
浅「冗談です」
と、ようやく圭吾の方を見る。
浅「また、巡り会えると思っているんです」
浅「あの人に伝えたいんです…愛し続けたことを」
浅「…失礼チビりました」
圭「『チビりました』って。(苦笑)」
浅「あの人は今、どこにいるのかしら?」
あき恵が舞台上手に消える。
⒋
⑴
公園の清掃員、忠志(西川忠志)が掃除に現れる。
忠志が圭吾に挨拶する。
西「今日もええ天気ですね」
圭「掃除、大変ですね」
西「そんなことないです。仕事を貰えているだけ、幸せです」
圭「お仕事を始めて、何年になるんですか?」
西「3年になります」
と、お芝居らしい自然な会話になる。
⑴
公園の清掃員、忠志(西川忠志)が掃除に現れる。
忠志が圭吾に挨拶する。
西「今日もええ天気ですね」
圭「掃除、大変ですね」
西「そんなことないです。仕事を貰えているだけ、幸せです」
圭「お仕事を始めて、何年になるんですか?」
西「3年になります」
と、お芝居らしい自然な会話になる。
即興劇とは思えない、非常に印象的な場面。
⑵
忠志の表情が暗いことに気付き、圭吾が尋ねる。
圭「何かあったんですか?」
西「…聞いてもらえますか?」
西「友人とその彼女の話なんですけどね…」
西「僕の友人…肝臓を悪くして、亡くなったんです」
圭吾が忠志に聞こえないような小声で、
圭「あの人やん!」
西「ほんまは、死ぬ時まで彼女と一緒に居たかったんです」
西「でも、病気で幸せにしてやれん」
西「だから、別れ話を切り出したらしいんです」
忠志は、友人の彼女に直接会ったことはないよう。
西「彼女は、友人の笑顔にしてくれる部分が好きやったようです」
西「モノマネが得意やったんで」
圭吾が忠志に聞こえないような小声で、
圭「やっぱり、あの人や!」
西「友人は亡くなる前に、僕にあるものを渡しました」
西「彼女に渡してほしいと…」
⑶
そこに、バケツと柄杓を持った掃除のおばちゃん・アキコ(アキ)が現れる。
アキコは忠志の妻のよう。
ア「あんたは、ほんまに仕事せえへんな!」
ア「話ばっかりして、サボって!」
西「アキコ、違うんや!」
西「どうしてもせなあかん、大事な話やったんや!」
ア「また、人が成仏する話!?…私、成仏の話、好きやねん!」
圭「成仏の話が好きって、気持ち悪い」
ア「気持ち悪いとか、言うたらあかん!」
ア「人それぞれ、好きな話がある!…スポーツの話、ドラマの話、成仏の話」
西「俺の友人の話なんや…」
ア「あんた、新作やんか!」
圭「落語みたいに言うな」
⑷
圭吾が忠志に尋ねる。
圭「友人の彼女に渡してほしいものって、何なんですか?」
忠志が『ピンクの財布』を見せる。
西「『中身は見ないでくれ』と言われている」
圭吾もピンクの財布を渡すべき彼女を探すことを手伝うことにする。
忠志が携帯の電話番号を圭吾に教えようとする。
西「携帯、貸してもらえます?登録しますんで」
西川が打ち込んだ番号を見たアキコが、
ア「それ、前の電話番号やん!」
西「さすが、アキコ。俺のこと、愛してくれてるな!」
ここで、アキコが『I Will Always Love You』の効果音ボタンを押す。
♪エンダー
に合わせて、アキコと忠志で愛のダンスを披露。
圭吾は頃合いを見て、
⑵
忠志の表情が暗いことに気付き、圭吾が尋ねる。
圭「何かあったんですか?」
西「…聞いてもらえますか?」
西「友人とその彼女の話なんですけどね…」
西「僕の友人…肝臓を悪くして、亡くなったんです」
圭吾が忠志に聞こえないような小声で、
圭「あの人やん!」
西「ほんまは、死ぬ時まで彼女と一緒に居たかったんです」
西「でも、病気で幸せにしてやれん」
西「だから、別れ話を切り出したらしいんです」
忠志は、友人の彼女に直接会ったことはないよう。
西「彼女は、友人の笑顔にしてくれる部分が好きやったようです」
西「モノマネが得意やったんで」
圭吾が忠志に聞こえないような小声で、
圭「やっぱり、あの人や!」
西「友人は亡くなる前に、僕にあるものを渡しました」
西「彼女に渡してほしいと…」
⑶
そこに、バケツと柄杓を持った掃除のおばちゃん・アキコ(アキ)が現れる。
アキコは忠志の妻のよう。
ア「あんたは、ほんまに仕事せえへんな!」
ア「話ばっかりして、サボって!」
西「アキコ、違うんや!」
西「どうしてもせなあかん、大事な話やったんや!」
ア「また、人が成仏する話!?…私、成仏の話、好きやねん!」
圭「成仏の話が好きって、気持ち悪い」
ア「気持ち悪いとか、言うたらあかん!」
ア「人それぞれ、好きな話がある!…スポーツの話、ドラマの話、成仏の話」
西「俺の友人の話なんや…」
ア「あんた、新作やんか!」
圭「落語みたいに言うな」
⑷
圭吾が忠志に尋ねる。
圭「友人の彼女に渡してほしいものって、何なんですか?」
忠志が『ピンクの財布』を見せる。
西「『中身は見ないでくれ』と言われている」
圭吾もピンクの財布を渡すべき彼女を探すことを手伝うことにする。
忠志が携帯の電話番号を圭吾に教えようとする。
西「携帯、貸してもらえます?登録しますんで」
西川が打ち込んだ番号を見たアキコが、
ア「それ、前の電話番号やん!」
西「さすが、アキコ。俺のこと、愛してくれてるな!」
ここで、アキコが『I Will Always Love You』の効果音ボタンを押す。
♪エンダー
に合わせて、アキコと忠志で愛のダンスを披露。
圭吾は頃合いを見て、
フランスパンでアキコと忠志の頭を叩く。
圭吾がフランスパンを購入した真の目的は、ツッコミのためだったよう。
⑸
忠志が正しい電話番号を圭吾に伝える。
西「何か分かったら、連絡してください」
ピンクの財布を持ち、忠志が公園の掃除に戻っていった。
圭吾がフランスパンを購入した真の目的は、ツッコミのためだったよう。
⑸
忠志が正しい電話番号を圭吾に伝える。
西「何か分かったら、連絡してください」
ピンクの財布を持ち、忠志が公園の掃除に戻っていった。
⒌
⑴
アキコも自分の分担の掃除をしようと、舞台下手袖に向かおうとする。
そこに、借金取り風の奥重(奥重敦史)が現れる。
奥「邪魔すんでー!」
圭吾が笑い声『ハハハハハ』の効果音を押す。
奥重が何か話すたびに、アキコがバケツと柄杓を落とす。
奥「ショバ代、払わんかい!」
圭「シュシュシュシュ、にしか聞こえません」
圭「声が篭ってて」
ア「一回、落ち着きましょう」
奥重がゆっくりと喋る。
奥「ショバ代、払わんかい」
圭「ああ、ショバ代ですか」
圭「それやったら、市に申請して、営業許可をもらってますんで」
奥「関係ない!払え!」
と、屋台の前の長椅子を優しく蹴る。
ア「蹴るなら、しっかり蹴ろう!」
奥「…倒れたら、イヤやなあ、と。(苦笑)」
本公演のセットの破損を気にする、奥重。
⑵
奥「払わんちゅうんやったらなあ!」
奥重がドスを取り出し、脅す。
アキコが柄杓でバケツを鳴らし、対抗する。
『ドンドンドン ドンドンドン ドンドンドン』
その音に合わせて、
ネクタイを鉢巻のようにした酔っ払いのサラリーマン・敬介(もりすけ)が
⑴
アキコも自分の分担の掃除をしようと、舞台下手袖に向かおうとする。
そこに、借金取り風の奥重(奥重敦史)が現れる。
奥「邪魔すんでー!」
圭吾が笑い声『ハハハハハ』の効果音を押す。
奥重が何か話すたびに、アキコがバケツと柄杓を落とす。
奥「ショバ代、払わんかい!」
圭「シュシュシュシュ、にしか聞こえません」
圭「声が篭ってて」
ア「一回、落ち着きましょう」
奥重がゆっくりと喋る。
奥「ショバ代、払わんかい」
圭「ああ、ショバ代ですか」
圭「それやったら、市に申請して、営業許可をもらってますんで」
奥「関係ない!払え!」
と、屋台の前の長椅子を優しく蹴る。
ア「蹴るなら、しっかり蹴ろう!」
奥「…倒れたら、イヤやなあ、と。(苦笑)」
本公演のセットの破損を気にする、奥重。
⑵
奥「払わんちゅうんやったらなあ!」
奥重がドスを取り出し、脅す。
アキコが柄杓でバケツを鳴らし、対抗する。
『ドンドンドン ドンドンドン ドンドンドン』
その音に合わせて、
ネクタイを鉢巻のようにした酔っ払いのサラリーマン・敬介(もりすけ)が
盆踊りのような踊りをしながら、現れる。
⑶
奥重が敬介を人質に取る。
奥「ショバ代、払わんちゅうんやったら、こいつを殺すぞ!」
ア「正直、殺されてもいいです」
ア「全く、関わりないですから」
奥「…しゃあない、ちょっと待ったるわ」
奥「次、来るまでに払う準備しとけよ!」
ア「あの、ショバ代って、幾らですか?」
奥「えっ?…8億円や!」
ア「…」
奥重が去っていった。
⑷
酔っ払いの敬介は屋台にオシッコをしようとして、アキコに止められる。
そして、アキコにバケツで叩かれる。
も「痛っ!」
ア「可愛いって言われたから、つい~」
も「一言も言うてないぞ!」
⑸
敬介は圭吾やアキコに対し、
も「誰にケンカを売ったら良いんですか?」
圭吾が舞台上手を指し、
圭「あっちに人が行きましたよ!」
『ドンドンドン ドンドンドン ドンドンドン』
アキコが柄杓でバケツを鳴らし、敬介を舞台袖へと送り出した。
⑶
奥重が敬介を人質に取る。
奥「ショバ代、払わんちゅうんやったら、こいつを殺すぞ!」
ア「正直、殺されてもいいです」
ア「全く、関わりないですから」
奥「…しゃあない、ちょっと待ったるわ」
奥「次、来るまでに払う準備しとけよ!」
ア「あの、ショバ代って、幾らですか?」
奥「えっ?…8億円や!」
ア「…」
奥重が去っていった。
⑷
酔っ払いの敬介は屋台にオシッコをしようとして、アキコに止められる。
そして、アキコにバケツで叩かれる。
も「痛っ!」
ア「可愛いって言われたから、つい~」
も「一言も言うてないぞ!」
⑸
敬介は圭吾やアキコに対し、
も「誰にケンカを売ったら良いんですか?」
圭吾が舞台上手を指し、
圭「あっちに人が行きましたよ!」
『ドンドンドン ドンドンドン ドンドンドン』
アキコが柄杓でバケツを鳴らし、敬介を舞台袖へと送り出した。
その5に続く