⒒
安堵した昌雄とサキが寄り添う。
奥重がサキに語り掛ける。
奥「サキ!…お前とは別れたる」
奥「俺を助けようとする二人を見て、俺の入る隙は無いと分かった」
奥「…」
奥「なーに、心配すんな!」
奥「彼女なんて、幾らでも居る・か・ら…さ!」
と、人差し指と中指で銃のような形を作り、
自分のコメカミの上辺りに当ててから、サキに向け、その指を出す。
(キザに「あばよ」とでも言っているようようなジェスチャー、苦笑)
荒木が入り口まで駆け寄り、ホテル玄関の方を見て、
ア「友達、少ないでしょー?」
辻「荒木。お前と初めて同意見や。(苦笑)」
⒓
⑴
昌雄が由美にお願いする。
平「雅斗君と幸恵には、迷惑を掛けません」
平「私は、ここを出て行きます」
平「だから、二人の結婚、認めてあげてください!」
由美に土下座する、昌雄。
荒木が昌雄の横に行き、中腰になり、呆れたように掌に自分の顎を乗せ、
ア「土下座で何でも許されるもん、ちゃいますよ」
辻「究極の謝罪や!」
辻「荒木。空気、読もう!」
由美が昌雄に、
由「二人の結婚、許しましょう」
平「ありがとうございます!」
ア「そんな簡単に許していいんですか?」
辻「なんで、ええ空気を壊す!?」
辻「下がっとけ!」
ア「下がります!」
辻「言わんでええ!」
幸恵と雅斗がめでたく結ばれた。
⑵
昌雄が舞台中央の和久のもとに歩もうとするが、
和久は拒否し、舞台下手の壁まで行き、背を向ける。
昌雄が舞台中央から和久に話し掛ける。
平「和久。迷惑掛けて…」
『ピーポー ピーポー』
救急車のサイレンが台詞に被り、動揺した昌雄の台詞が止まり、
観客が笑い始める
辻「ええ場面なんで、先、処理しよう。(苦笑)」
辻「ピーポーで動揺すな!(苦笑)」
辻「…笑っていただいたところで、改めて、ええ場面に」
⑶
やり直し。
平「和久。迷惑掛けて、すまんかった」
平「ワシ、出て行くから…」
鞄を取りに舞台上手に向かう、昌雄。
荒木がダッシュし、鞄を昌雄に渡す。
辻「なんで、渡すんや!」
辻「下がっとれ!」
ア「下がります!」
辻「言うな!」
口元で『お静かに!』のポーズをし、静かにゆっくり下がる、荒木。
⑷
昌雄とサキが肩を落とし、ゆっくりと入り口に向かう。
幸「お父さん、待って!」
幸「お父さんに結婚式に出てほしい!」
雅「僕からもお願いします!」
昌雄は幸恵と雅斗の方を振り返り、
平「ありがとう」
平「もう、ええ。二人、幸せなるんやで」
⑸
辻本が壁際で背を向ける和久に、語り掛ける。
辻「和久君」
辻「…和久君の気持ちは分かる」
辻「お父さんが突然おらんようになって、ホテルは大変やった」
和「…」
辻「でも、今の姿を見たら分かるやろ?」
辻「お父さん、充分、反省してる」
辻「お父さんのこと、『許してやったらどうや?』」
松浦が辻本の横に来て、
松「…訛ってますよ」
辻「訛ってる?」
⑹
昌雄とサキが入り口に向かう。
その時、和久が振り向き、昌雄に対して、
和「待てーっ!」
昌雄とサキが振り向く。
和「あんたが出て行ったら、誰が幸恵のバージンロードを歩くんや!」
荒木が「はいっ!」と、小学生のように大きく挙手する。
辻「なんで、お前なんや!」
辻「普通はお父さんか、おらんかっても、親戚のおっちゃんや!」
辻「下がっとれ!」
荒木に『下がります!』を言う時間を与えず、立て続けに、
辻「(下がります!)言うな!」
神妙な顔で下がる、荒木。
⑺
昌雄が和久に対し、
平「ワシのこと、許してくれるんか…」
和「二人とも、客室清掃員から始めてもらうぞ!」
荒木が腕まくりしながら、昌雄とサキに対し、
ア「客室の清掃、難しいぞ~!」←標準語っぽく、楽しそうに
辻「お前だけや!」
辻本が昌雄とサキに
辻「ビシビシ、しごきますからね」
その時、辻本が何かに気付く。
辻「…ちょっと、待って」
辻「昌雄さんとサキさんが増えたら、従業員が多すぎるな…」
辻本が荒木の方を見て、
辻「ということで、荒木。今日で解雇や」
荒木は笑顔で、
ア「人件費を抑えなあかんもんね」
ア「誰か入ったら誰か抜ける。そういうもんやね」
ア「…」
ア「イヤや~っ!」
辻「クビにして、すいません!」
ア「いぃよぉ~」
辻「今、『いぃよぉ~』、言うたね?」
辻「クビ~!」
今回の作品のポジションは、
主役…アキさん
回し役・物語を絞める役…辻本座長
物語の主役…大島和久さん
といったところでしょうか。
⑵
会場を大きく沸かせた関節・クイーンのリズムネタを筆頭に、
アキさんの『エヴォるん精神』を感じました。
⑶
他の座員さんのネタも突然やってきたようなものばかりでした。
⑷
私の観覧回の大オチは『エヴォるん新喜劇』と同じものです。
この大オチからしても、
アキさんが基礎から関わった作品であることが伺えますね。
2週間前に観た大オチにニヤニヤしながら、
台詞を言うアキさんに、「行けーっ!!」と心の中で叫んでいました。
辻本さんは脇に回り、座員さん達のネタを背後で見守り、
終盤の重要な場面を締めにいった印象でした
辻本さんがアキさんのために自らの座長週を使い、力業で設けたような、
実質的なアキさんのリーダー週に感じました。
もし、TV放送されるNGKでも同類の公演が行われた場合には、
『真のアキさんワールド』が広く世間に知られることになり、
その反響は相当大きなものになるのではないでしょうか。
『♪We will we will rock you』を
観客が大合唱する日を楽しみにしています。
18/03/27~04/02
【西梅田劇場・辻本座長週】 完