⒊
⑴
幸恵がホテル玄関の方を見て、雅斗達の姿に気付く。
幸「来られたわ!」
雅斗(桜井雅斗)と雅斗の母・末成由美(末成由美)が現れる。
末「ごめんやして、おくれやして、ごめんやっしゃ~」
辻「けったいな挨拶はやめてください。(苦笑)」
末「これを言わないと、『湯婆婆』と間違えられるんで」
辻「…髪型を変えた方がええんとちゃいます?(苦笑)」
中央のテーブルを囲み、舞台下手から、由美→雅斗→幸恵の順に座る。
⑵
辻「支配人の辻本です」
辻本が、花月ホテルの面々を由美に紹介する。
最初に、幸恵の兄の和久を紹介。
次に松浦を紹介。
辻「スタッフの松浦です」
松「私の特技は…」
と、見事なバレエを披露して、
松「そろばんです」
辻「どう見ても、バレエやろ!(苦笑)」
松「バレエ、やったことないんですけど、出来てしまいました」
辻「才能あるんちゃう?」
松「はい。私、天才なんです」
⑶
最後に荒木を紹介。
辻「スタッフの荒木です」
ア「私の特技は…」
と、そろばんを弾く真似をし、
ア「バレエです」
辻「二人、反対になってるやん」
辻「お前は、そろばんやな。(苦笑)」
辻「…と、こんな愉快な面々でやっております」
⑷
荒木が幸恵と雅斗を見てから、幸恵に尋ねる。
ア「お二人はどこで知り合ったの?」
幸「大学の軽音楽部の先輩なんです」
ア「あっ、そうなの!」
ア「せっかくだから、聴かせてくれる?」
雅「恥ずかしいです」
ア「じゃあ、いいです」
辻本が荒木を舞台上手に連れて行き、雅斗達に聞こえないように、
辻「社交辞令や!空気、読んで!」
辻「得意なもんでも、一回は遠慮する」
辻「そこをもう一回、お願いするんや」
ア「なるほどー」
荒木が雅斗のそばに行き、
ア「聴かせてくれる?」
雅「いや、恥ずかしいですよ」
ア「じゃあ、いいです」
辻「もう一回、お願いするんや!」
荒木が雅斗に対し、
ア「演奏したいんですよね?」
ア「だったら、演奏してもらえます?」
⑷
雅斗はサックスを持ってきているようで、車に取りに戻る。
幸恵もクラリネットを取り出す。
即、戻ってくる、雅斗。
荒木が二人に演奏する曲を尋ねると、
雅「聴いたら、分かりますので」
幸恵の少しの前奏の後、雅斗も演奏に加わると、
荒木が甲高い声で叫ぶ。
ア「アゥ!」
突然の雄叫びに会場が沸く
ア「アゥ!」
そう、曲はMJ『Bad』。
サビが始まると、荒木は(舞台下手に向け)ムーンウォークを披露し、
「♪Who's bad」の瞬間、
舞台中央に雅斗→荒木→幸恵の順に並び、
三人が客席に向かって腕を突き出し、『いいね!』の決めポーズ。
ア「めっちゃ、楽しいやん!」
観客の拍手
辻「荒木。お前が主役になっとるやないか。(苦笑)」
荒木は雅斗と幸恵に対して、
ア「この、乗せ上手」
辻「お前が勝手に乗っただけや。(苦笑)」
⑴
由美が結納の日取りについての話をしようとした瞬間、
緑スーツの男・森田(森田展義)と紫スーツの椎森(もりすけ)が現れる。
森「邪魔すんでー!」
森「森田金融のもんや」
森「前のオーナーやった平山昌雄が借金を返さずにトンズラしてな」
和「親父が借金!?」
和久が森田の前に行く。
森「お前が息子か」
森「返済期限はとうに過ぎて、利息も膨れ上がっとる」
和「お幾らですか?」
森「元金利息合わせて、1千万や!」
和「1千万!?」
森「今すぐ、1千万、耳揃えて払うてもらおうか!」
と、森田が和久の胸ぐらを掴む。
⑵
その瞬間、荒木が森田の腕を掴み、振り解く。
ア「服は引っ張ったら駄目でしょ!」
ア「服は着るもんでしょ!」
ア「衣服は着るもんだ!」
森「ほんで、注意するとこ、おかしいわ。『暴力はやめて』とかちゃうの?(苦笑)」
ア「暴力は振るわれてないから…」
森「服掴むんも、暴力みたいなもんでしょ?(苦笑)」
森「とにかく、お前の拘り知らんわ!あいつの問題や!」
ア「チームメイトだから!」
ア「チームメイトだから、衣服は着るもんでしょ!」
森「…こいつ、頭おかしいんか?(苦笑)」
ア「迷惑なんで、帰ってください!」
⑶
椎森が森田に対し、
も「兄貴、ここは俺に任せてください!」
も「痛い目に合わせてやりますわ!」
と言い、荒木に近寄っていく。
すると、荒木は
ア「みっともないです!」
も「みっともない?」
ア「みっともないです!…頭が」
も「はーっ!?」
ア「どこで、擦ったんですか?」
ア「どこで、お擦りになられたんですか?」
も「擦ってないわ!」
ア「ビルですか?」
ア「ビルは働くためのもので、擦るためのものじゃないよ!」
も「だから、擦ってない!」
⑷
も「なめとったら、いてまうぞ!」
ア「暴力はやめてください!」
椎森が(舞台上手寄りの)荒木に殴り掛かる。
この場面、
①椎森が右パンチ→左パンチの順にフック気味に放つ。
②椎森のパンチを、荒木がそれぞれ左腕と右腕を高く上げてガードする。
この時、『ドンッ!』・『ドンッ!』という、防御音。
③そのまま、荒木が右パンチを椎森の顎に当てる。
この時、『パンッ!』という、ヒット音。
上記①~③が一連の動作になっていて、『ドンドン パン!』という音に聞こえる。
森田が荒木に対し、
森「『暴力は止めろ』って言うお前が暴力振るっとるやんけ」
ア「これは防御です!」
⑸
も「くそー!」
椎森が再び荒木に殴り掛かる。
椎森の両パンチを荒木が防御し、荒木がパンチを撃ち込む、
『ドンドン パン!』が繰り返される。
次第にテンポが速くなり、
舞台上手寄りで『ドンドン パン!』が繰り返される中で、
舞台下手で見ていた森田がリズムに合わせて、気持ちよさそうに歌い始める。
森「♪Buddy you're a boy make a big noise」
森「♪Playin' in the street gonna be a big man some day」
森「♪You gut mud on yo' face」
森「♪You big disgrace」
森「♪Kickin' your can all over the place」
森「♪Singin'」
サビの部分
森「♪We will we will rock you」
観客に対し、
森「Everybody say!」
観客が歌う。
客「♪We will we will rock you」
森「Oh! Great!」
辻本が森田に駆け寄り、
辻「あんた、英語ペラペラやな!」
森「…こんなんやってる場合、ちゃう」
⑸
椎森が舞台下手に下がる。
森「俺はそうはいかんぞ!」
と、今度は森田が荒木に殴り掛かる。
結局、森田の両パンチを荒木が防御し、荒木がパンチを撃ち込む、
『ドンドン パン!』が繰り返される。
客席が大きく沸き、手拍子する
舞台下手で見ていた椎森は、
英語の歌詞を知らないのか、『We Will Rock You』を適当な『鼻歌』で歌い始める。
サビを迎え、
も「♪ウィーウィー ウィーウィー (We will we will) 阪急』
辻「…?」
も「(We will~のメロディで)♪阪急電車の 準急」
辻「どんな歌詞や!」
辻「ほんで、なんで、準急やねん!(苦笑)」
辻「そこは、特急じゃあかんの?(苦笑)」
荒木が椎森に、
ア「近場に住んでるんやねー」
も「…そうや!俺は近場に住んでるんや!」
⑹
森田が舞台下手に下がる。
も「今度はそうはいかんぞ!」
と、再度、椎森が荒木に殴り掛かる。
結局、椎森の両パンチを荒木が防御し、荒木がパンチを撃ち込む、
『ドンドン パン!』が繰り返される。
客席が大きく沸き、手拍子する
森田は気持ち良さそうにリズムに乗り、歌う準備をしているが、
椎森のボケを見たい辻本が
森田を椎森のところに連れて行き、森田と椎森を交代させる。
森田の両パンチを荒木が防御し、荒木がパンチを撃ち込む、
『ドンドン パン!』が繰り返される。
舞台下手で見ていた椎森が『We Will Rock You』を鼻歌で歌い始める。
サビを迎え、
も「♪ウィーウィー ウィーウィー(We will we will) 近鉄」
も「(We will~のメロディで)♪近鉄電車の 準急」
辻「どんだけ、準急好きなんや!(苦笑)」
⑺
荒木が森田に対し、
ア「充分、楽しんだでしょ?」
森田は腕を振り続けたため、
森「なんか、疲れたわ。(苦笑)」
ア「それは、お互い様です」
森「今日のところは帰るから、次来る時までに用意しとけ!」
森田と椎森が去って行った。
荒木がロビーの入り口まで行き、玄関に向かって、
ア「さよなら、準急ー!」