『訪梅灯庭(ほうばいとうてい)』

読者諸君は、バレンタインデーに本命チョコはあげることができただろうか?または、もらうことができただろうか?
友チョコも義理チョコすらもなかった貴兄、嘆くことはない。筆者を含む、多くの人はそんなものなのだ。
さて、日本ではバレンタインデーにプレゼントをもらったら、ホワイトデーにお返しをするという文化があるが、
このホワイトデーという風習はバレンタインデーのチョコと同じく、日本が発祥であることをご存知だろうか?
ホワイトデーに関しても、日本でのある出来事が由来となっていることをご紹介しよう。

時は大正、「智代子麗陶(ちよこれいとう)」と呼ばれたハイカラな女学生、智代子には出兵した許嫁がおり、
それをいつまでも慕っていたことは上巻の「破恋多隠諦(ばれんたいんてい)」に詳しく書かれているが、
その許嫁は出兵する際、
「僕は必ず貴女の元へ帰ってきます。もしも僕が戦地で死んだとしても、貴女が僕を愛してくれている限り、
白梅の花が咲く夜、あかりが灯る庭に訪れ、毎年貴女にお会いしましょう」
という内容の手紙を智代子に渡したという。
後に許嫁の戦死の便りを受けた智代子は、この手紙の言葉を胸に一生彼を愛する事を誓い、多くの人の求婚を断り続けた。
この智代子の貞淑さは、手紙の内容から「訪梅灯庭(ほうばいとうてい)」と呼ばれ、大和撫子を目指す多くの大正女子の手本となったという。
なお智代子の許嫁は実は死んでおらず、戦後に梅の花咲く夜の庭で再会し、のちに結ばれたことは諸兄の知るところである。

それから昭和40年、バレンタインデーが大衆に広まり始めた頃、バレンタインデーにチョコレートをもらった男性は
智代子麗陶の繋がりから「訪梅灯庭」の話を思い出し、死んだとしても必ず逢いに行く誓いを立てた
智代子の許嫁の一途な思いを表すように、クッキーに白梅の花を添えて3月14日にお返しをした。
これが、ホワイトデーの始まりであるとされている。

このように、ホワイトデーにバレンタインのお返しをするという習慣は、破恋多隠諦と訪梅灯庭という話から生まれたものである。
なお許嫁は智代子との再会時、戦死したとの連絡があったことに対し「僕は死にません、貴女が好きだから」
笑って答えたとされているが、ある有名なトレンディドラマの1シーンはこの言葉を参考にして作られたのかどうかはよくわかっていない。


民明書房刊『歴史に学べ!古今恋愛必勝読本(下巻) 』より










バレンタインデーの民明書房に続き、ホワイトデーネタを探してきました。
ジオウネタは……日曜完成できるかな……


今回の文献調査(ネタ作成)は、バレンタインデーがあった分、それと対にすれば良かったので割と楽でした。
また、今回は「ほう・わい(わ・い)・とう・でい(てい)」と切って当て字を探したのですが、
「わい」の字は悪い意味の方が多い!(歪曲の歪、賄賂の賄、猥褻の猥、矮小の矮……)
バレンタインとホワイトデーは智代子と許嫁の愛のお話(?)、あまり悪い意味の字は使いたくなかったため
苦肉の策で「わい」を「ばい」と読み替え、梅の花のお話にしちゃいました。
白梅からホワイトと。
3/14だと関西は梅の季節は終わりでしょうが、まぁ智代子がいたのは甲信越から東北だったということで。


しかし、智代子と許嫁のようなドラマチックな恋は憧れますよね…文章構成力がないので、こうロマンチックな文は書けませんが…

そして梅の花咲く夜の庭園にやってくる………武田鉄矢口笛



なお、全くの偶然ですが、「はいからさんが通る」の作者さんが今日誕生日だったみたいです。

毎日のように綺麗なカラー絵を公開している方のブログ↓で知りました。絵は一見の価値あり!