『破恋多隠諦(ばれんたいんてい)』

「バレンタインデー」、この言葉を聞いて読者諸兄はどんなことを感じるであろうか?
恋人達の日?失恋の苦い思い出?それとも地球をドーナツ状に取り巻く放射線帯?
…筆者のように、私には関係ない日だ、という方も多いことであろう。
このバレンタインデーは一般的に「聖ヴァレンティヌス司教に由来する記念日」と知られているが、
ではなぜバレンタインデーが「女性から男性にチョコレートを贈る日」になったかについてはご存知だろうか?
このチョコを贈る風習は日本のみであり世界的なものではないが、実はこれは日本でのある出来事が由来となっているのだ。

時は大正、ある地方都市に智代子という、見目麗しいハイカラな女学生がいた。
ちょうど同時期に森永製菓が大衆向けにチョコレートを販売しているが、智代子の美しさはこのチョコレートの美味しさにかけて
「智代子麗陶(ちよこれいとう。智代子はチョコレートのように麗しく、陶酔するほどだ、の意味)」と例えられたほどであった。
その美しさもあり、多くの者が智代子に求婚したものの、智代子はシベリアで戦死した許嫁を慕うがためそれを拒み続けた。
その様子は「多くの者が恋破れ、心を隠し、また諦めた」、すなわち「破恋多隠諦(ばれんたいんてい)」と呼ばれるほどで、
智代子は実はじゃじゃ馬で酒乱なのだ、だから誰とも結婚できないのだ、と陰口を叩かれたこともあったようだ。
最終的に、智代子の許嫁は実は死んでおらず、紆余曲折の末2人は結ばれたということがわかっている。

それから昭和40年、バレンタインデーが大衆に広まり始めた頃、バレンタインデーを「破恋多隠諦」と聞き間違えたある女性が
智代子のような変わらぬ愛を誓い、智代子麗陶、つまりチョコレートを好きな男性に贈ったことが、
日本で初めてバレンタインデーにチョコレートを贈った事例であるとされている。

このように、バレンタインデーにチョコレートを贈るという習慣は、上記の破恋多隠諦と智代子麗陶から生まれたものである。
なお、大正時代を舞台とした、映画にもなったある有名少女漫画のストーリーはこの智代子の半生と似ている部分が多いが、
愛を貫き通した智代子の生き様に影響を受けてこの漫画ができたのかどうかについてはよくわかっていない。


民明書房刊『歴史に学べ!古今恋愛必勝読本(上巻) 』より









ギリギリですが、バレンタインデーという事でなんとか民明書房からネタを引っ張ってきました。


ちなみに、ホワイトデーの文献もあります。



超突貫です。破恋多隠諦と決まったのが今日の17時。智代子麗陶から今の形になったのがつい数時間前笑い泣き

バレンタインデーとチョコの関係は、究極超人あ~るで紹介された「進駐軍のバレンタイン少佐とギブミーチョコレート」が有名ですが、
民明書房の文献としては発見できませんでした(=あえてそのネタは外しています)




※ちなみに、「地球をドーナツ状に取り巻く放射線帯」はヴァン・アレン帯(バンアレン帯)と言います。
最初こちらで考えていたところ、アンサイクロペディアがこれを使ったネタである事に気付き方向転換みな考えることは一緒グラサン