脳出血で倒れた主人は
高次脳機能障害が後遺症として残り、
左半身麻痺のリハビリが進まなかった。
リハビリが本当の意味で始まらない。
頭部の術後の傷が化膿して、
再手術。
歯が折れた。
爪が剥がれた。
麻痺側の腕がボッキリ折れてボルト固定手術になった。
痔ろうになった。
後遺症に対するリハビリがスムースに進まないのはもちろん、併発する治療に対しては全て他人事。
むしろなんでそんことしてやらなきゃいけないんだ!と怒り出す。
テーピングする足を出すのも、
点滴を我慢するのも、言われるからやるけどみたいな。
痔ろうで、血がにじむズボンを着替えるよう言っても、どうしてこうなるのかわからないと言う。何ともないと言う。
治らないまま、放置していていいものは
一つもないが、、、
今週の食事のメニューが気になって、
引き出しの中のお菓子がなくなることが怖くて、
明日着替えるシャツを二枚出しておかないと不安で、
リハビリより入浴したくて、予定が崩れるから、転院や手術はイヤだと言う。
なんで俺がそんなことしなきゃいけないだと言う。
でも、来週から出勤できると言う。
電車にも乗れるし、駅まで歩けるし、
仕事もできると言う。
できる、できると言うが、
できないから信用を失う。
医療の世界に身を置く人なら、
寛容だ。
福祉の世界に身を置く人なら、
慣れている。
でも、実社会に出たら、
最初はこのご時世だから
差別は口にしない。
でも、
諦められて、
排除される。
それはわかっていた。