高次脳機能障害

そんなの、初めて聞きました。
人間が人間として生き、理性や社会性や判断や工夫や、、、その人の人格や生き方など、脳の機能の高次部分を司っている場所らしい。

パスワードが混乱して、あらゆる情報がロックされる。

そうすることが正しいなんて、当たり前にわかるでしょ!ってことに固執して怒り出す。

病識もなく、幼児化して、、

頼れない、信用できない、、

それでも、彼の今までの人生を、
人格を否定されるような事には
絶対にしたくない。守りたい。

病状を身内以外に伝える時の言葉選び、
表現には細心の注意を払いました。

もう、自信満々で正確な判断を瞬時に
することはできないけれど、
奇跡や、驚異的な回復や、最新の情報や、
最先端の医療で、誰よりも効果的に、
現代だからできる最善の方法で、
私が持ち得る能力と労力と時間を使って、彼を復活させたいと必死だった。

何とか彼の戻る場所、社会的な地位を
死守しながら、、具体的な実務を淡々とこなしていく。

身体の麻痺より厄介すぎて、生きていく尊厳とか守ってあげられるのか、この人が選択できない重要事項や契約の判断を、わたしがしていくことに不安がつのる。

歩くとき、右を出して左手を降り出す、かかとをつけて、膝を少し曲げて、、、なんて、いちいち考えずに無意識にできることって、脳がちゃんと動いてくれてるから。
そこが寸断されると、麻痺していない半身でさえ、どう動かしていいかわからなくなるのだ。混乱して、脳がフル回転して疲労感がハンパない。
麻痺している半身は尚更、痛みを感じず、踏み込む感覚もないから、いくら体重を乗せてと言ってもかけられない。
爪が剥がれても、皮がむけて流血していても、他人事。

人間て、脳が無意識下で生理現象や生存本能や、動作をコントロールしてるんだって思い知る。

回路が切断された周りのシナプスを修復して代替機能が育つなんて理想は長い年月で宝くじを何回も当てていくようなものなんじゃないか、、、途方にくれる。

でも、諦めるわけにはいかない。

本人は他人事でも。

彼がいつか障害を受容していく経過を辿る日が来ることを信じて、悔やまないように。