Class of 2018 のShinです。卒業後半年が経ち、周囲からMBAを出て意味があったかを聞かれることが多くなってきましたので、ここで一度私の考えをまとめておきたいと思います。Management、Digital Transformation、Analytics、International Experienceの4つの点で、私のキャリアにとってMerage MBAへの留学はベストなものとなりました。
1、Management
経済学、財務・管理会計、ファイナンス、戦略の概念と用語を知っていることが、帰国後の仕事で大きく役に立っています。
・経済学
ミクロ経済学は、事業戦略などの判断の基礎となるものです。また、マクロ経済学も、各国の金融・財政・通商政策や法規制が変化したときにどのような影響があるのかを考察するのに役立っています。
[204A] Microeconomics for Management (Core)
[204B] Macroeconomics for Management (Elective)
・会計
財務会計は企業の現在の姿を正しく見るために必要です。また、管理会計は事業の状態を正しく見るために必要なものです。組織のマネジメント層と話すときは、管理会計の考え方が基本になっています。
[203A] Financial Reporting for Management (Core)
[231A] Financial Statement Analysis & Valuation I (Elective)
[203B] Driving Profitability through Managerial Accounting (Elective)
・ファイナンス
ファイナンスは、投資の判断やM&Aなどのための企業評価に必要なものです。
[209A] Managerial Finance (Core)
[248] Corporate Valuation (Elective)
また、分散投資、現代ポートフォリオ理論、行動ファイナンスの考え方は個人資産の運用において役立っています。
[209B] Investments (Elective)
・戦略
組織における戦略の立案に役立っています。上記の経済学・会計・ファイナンスに得られた情報を総合的に分析し、今後の事業展開、リソース配分、投資を計画します。
[210] Strategic Management (Core)
[218] Business Dynamics (Elective)
・実行
戦略的に決められた計画を組織の中で実行するために、当然組織論の考え方
[202] Organizational Analysis for Management (Core)
は必要ですし、オペレーションの最適化
[208] Operations Management (Core)
[201B] Management Science (Elective)
も必要になってきます。Management Scienceで学んだような定量的なオペレーション最適化の方法は意外と知られておらず、この問題を処理することができることは大きな武器になっています。
以上のような個別の要素の他に、
-必要な調査を行う際に、便利なデータベースにアクセスして手早く情報を取ってきてまとめること(Thomson OneやFRED、MarketLineなど)
-コンサルティングプロジェクトの進め方とレポートのまとめ方
-社内外の人々との、ビジネスについての共通理解を背景とした会話
がMerage MBAでの経験として、現在生きています。
2、Digital Transformation
現在デジタルを利用したビジネス・組織の変革を行うDigital Transformationに取り組んでいますが、これはまさにMerageで学んだ考えが基本になっています。
[207] Information Technology for Management (Core)
[279] Digital Strategies and Markets (Elective)
Road to Reinvention(UCIで毎年開催されるDigital Transformationをテーマにしたカンファレンスです。https://merage.uci.edu/events/2018/03/2018-Road-to-Reinvention-Conference.html)
3、Analytics
理系出身でありながら統計についてほとんど知らなかった私にとって、Merageで獲得した統計解析と機械学習のスキルは、今の仕事を行う上で必要不可欠なものになっています。
・統計
機械学習を行える人材は世の中に増えてきましたが、統計を基礎から勉強できたことは大きな差別化要因となっています。
[201A] Statistics for Management (Core)
・機械学習、時系列分析
[BANA 273] Business Intelligence of Analytical Decisions (Elective)
[FEMBA 288] Predictive Analytics (Elective)
・Python
統計、機械学習、自然言語処理のためのPythonと正規表現もさることながら、PythonやTableauを用いた効果的な可視化によるコミュニケーションスキルも、重要なものになっています。
[FEMBA 290] Data and Programming for Analytics (Elective)
・SQL、データベースマネジメント、ビッグデータ管理
SQLを用いたクエリの実行、リレーショナルデータベース・ERダイアグラムの概念は、組織におけるデータベースの構築・利用に大きく役に立っています。SQLはBANA 273, FEMBA 290, BANA 295の三つの科目で厳しくやらされたことが、現在生きています。
[BANA 295] Big Data Management Systems (Elective)
ここで学んだようなHadoop/Spark、Cassandra (NoSQL)、KVSを直接使う機会はまだないものの、その考え方を知っていることはデータ管理システムの全体像を構想する上で、大きなアドバンテージになっています。
さらに、このコースでは学校のライセンスとしてクラウドサービスのAWSを利用することができました。現在、AWSを経験して知っていることは大きな武器になっています。
・自然言語処理
[BANA 290] Advanced Data Analytics for Natural Language Processing (Elective)
・ディープラーニング
ディープラーニングについては、UCIの学内教育プログラム
UCI Data Science Initiative http://datascience.uci.edu/event/machine-learning-python/
で学んだことを起点にして、現在実用しています。
4、International Experience
英語はもちろんのこと、アメリカで暮らしたことで分かった文化的背景・生活様式が、海外とのやりとりを行う上で生きています。また、ビジネスを学んだ者同士で考え方や用語を共有していることが、社外のスタートアップやコンサルとのコミュニケーションに大いに役立っています。
以上のようにMerage MBAでの経験は、私のキャリア形成や現在の仕事に大きなインパクトを与えました。アプリカントのみなさんには、在校生を通じた個別のコンタクトやQSなどのMBA Fairの場で、この体験を共有していきたいと思います。