足の動きを考えていたら、右向け右とか左向け左を小学校の頃に体育でやったが、どのようにやるのか習った覚えがないことを思い出した。習ったのかもしれないが、僕が落ちこぼれて理解できなかったとか記憶できなかったのかもしれない。大人になって習ってかなり練習したので、小学校でどのように教えているのか気になって調べてみた。すると、奇妙なやりかたをしていたので、疑問である。奇妙であるのは、力学的に不合理な動きが、右向け右として書かれていたからである。僕は、学校の体育は軍事教練の一環として、その初歩を教えるものであるという位置付けであると考えている。そのため、その動きが敵の攻撃を避けることができるかできないかで判断すると、避け得ないので不合理と判断しているのである。軍事に絡めると不興を買うかもしれないので言い直すと、何か物が飛来とか突進してきた際に避け得るかどうかということである。
 運動の基本は、重心の移動であり、重心が静止していれば、運動していないとすると、重心に向かって物体が飛来した場合に重心を移動させれば避けることができる。重心に向かって来ていない場合は、重心の移動を伴わなくても避け得るが、重心の移動によっても避け得る。そのため重心の移動を伴った動きを優先するのが良いと思うが、ネットで説明されている右向け右はそうなっていないのである。
 僕が大人になってから習った方法は、日本刀で斬られないようにするためにも有効な方法であり、重心の移動を伴う。宮崎学氏が『突破者』という本の中で銃撃された際に弾を避けた方法も同様な方法である。おそらく、日本刀の時代から銃の時代になっても重心の移動によって飛来物を避けるというやりかたは同じであり、太古の昔に、トラやオオカミに飛び掛かられた場合も同じ方法で避け得る。汎用性が高い方法を知っておいた方が良いと思う。
 こんなことを考えると、右向け右について理論というか理屈というか、なぜそのように動くのかということについて説明がなされなければならないが、小学生低学年という事で、その理屈を理解できないとして大人になってから説明するという事で端折られているとすれば、それを聞こうとする大人がほとんどいないのは教育の欠陥ではないかと思われる。
 このへん、きちんと、整然とした理論として記述する必要があるように思われるので、現在、こうしたことも盛り込んで体操教室の教科書を執筆している。