私はうつ病の治療の過程で抗うつ薬はもちろん服用しましたが、もっとも大きな効果があったと感じているのは「認知行動療法」でした。

抗うつ薬などの薬剤は起こってしまった症状(抑うつ症状など)に対してそれを改善する役割は有ります。しかしながら個人によってその薬が合う・合わないという問題があったり、副作用や断薬時の離脱症状などの問題もあります。

対して認知行動療法は起こってしまった症状の原因を治す(矯正する)方法です。


うつ病を経験される人の多くは、非経験者からの心無い言葉に傷ついた経験をお持ちかと思います。特によく聞くのが(私自身も言われたことがありますが)

「うつ病なんて気の持ちようだよ」

というフレーズです。
どうでしょう?言われたことはありませんか?そして、理解のないこの言葉に傷つきませんでしたか?

寛解したと自負する私があえて今言います。


うつ病は気の持ちようです。


もちろん、気力がわかない、始終体がだるい、食欲がわかない、なんせ自分の体なのにコントロールが上手くできない。。。
その辛さは程度の差こそあれ私も経験していますから理解しています。

ではなぜあえて「気の持ちよう」だなんて言葉が言えるのでしょうか。
うつ病とは、私が知る限り身体の外部からの攻撃(細菌やウィルス)による病ではなく、自身の脳内での物質の分泌異常です。

人の感情は脳の中で分泌される物質により「感じる」ことができます。
腹が立つことがあればノルアドレナリンが分泌され、幸せなことがあればセロトニンが分泌され、やる気が出た時はドーパミンが分泌されています。
うつ病はこの物質の分泌が正常になされない状態、つまり目の前の事象に対して正しい脳の反応が出来ていない状態だと思います(本の受け売りです(^^; ))

そうであるとすれば、いくつかのステップを踏んだ「考え方を変える(=気の持ちようを変える)」トレーニングを繰り返せば、脳の反応を矯正し、かつ再発しづらい脳を手に入れることができるのではないでしょうか?

以下に私が実践した方法を記します。途中までは認知行動療法として医師の協力のもと行ったもので、その先は私が現在実践しているオリジナルの方法です。
あっという間に良くなる魔法のような方法ではもちろんありません。難しいです。難しいからこそ体得した時の効果は大きいと私は実感しています。

ちなみに私は医学的専門家ではありません。実体験に基づく独自の療法であり、個人的には良い方法とは考えますが万人に効果をお約束できるものではないことを予めご了承くださいm(__)m

ステップ1:客観視
今のあなたはどんな気分でしょうか?落ち込んでいる?腹が立っている?焦っている?嬉しい?楽しい?悲しい?恥ずかしい?先ずはその感情を紙に書き出しましょう。これは1日に1〜2回その日を振り返って書くだけでも問題ありません。

感情を書いたらその横に原因となった出来事を書いてみてください。例えば「焦り」であればその原因として「上手く眠れなかった」とか「同期が出世した」「再就職が決まらない」とか、思った通り書けばOKです。誰かに見せる必要もないので、わかりやすく書く必要もありません。ありのまま書きましょう。

さらにその横には「どう思ったか」を少し具体的に書いてみましょう。例えば「焦り」で「上手く眠れなかった」が原因だとしましょう。どう思ったか?には「ちゃんと睡眠導入剤を飲んでいるのに効果が感じられない」と言った具合に簡潔に思考を書きましょう。

順番に「感情」「原因」「思考」で書き出してみてください。できれば毎日記録することが望ましいと思いますが無理は禁物です。

一週間とか二週間とか適当に決めた短い期間それを書き溜めて、後日見返してみて下さい。他人事のように見てみて下さい。
「オレこんなことが原因で落ち込むことが多いな」
「ワタシこういうことは嬉しいんだな」

比較的短期間でも自分の思考の「クセ」が少し把握できるようになるはずです。


ステップ2:変換
ステップ1でやっていたことは継続し、欄を一つ追加します。「どうすればよかったか?」という欄です。

先ほどの例えをそのまま使うと、
「焦り」「眠れない」「睡眠導入剤が効いてない気がする」に対して「どうすれば「焦り」を感じずに済んだか」を考えて記録します。

「効いてる日もあったから、今日はたまたまだ」とか「今度主治医に相談すれば解決する」という具合に、ネガティブな情報をポジティブに、あるいはポジティブにならなくてもライトに出来るように書いてみます。

いやはや、これがもの凄く難しい。。。
私は当時主治医の指導の元記録していましたが、「そもそもポジティブに考えられないのがうつ病なんだからポジティブに変換できるわけないでしょ!」といつも思ってました。

しかし、考えすぎないこと、客観的に書くこと、これを意識して書いていくと慣れてきます。

どうやっても変換できないものはあります。それはうつ病の人に限らず誰にでもあるはずなんです。そういうのは気にしないでOKです。

変換できそうだけど上手く言葉にできない、なんていうのも結構あると思います。「気にしない」「自分に関係ない」「死にはしない」これくらい適当でもいいので書いてみてください。

ステップ2に関してはなるべく長期間やることをお勧めします。というより、期間を定めずライフワークにするつもりでやって頂いた方が良いです。長くやっていると、昔書いたのを見返してみて「変換が上手くなってるな」とか成長を実感できますので、それも併せてお勧めします。



長くなりすぎましたので、続きは次回更新でお届けします。


〜つづく〜