この記事は実は正月に田舎に帰省した際に持ち上がった事がきっかけなのです。
私はこの記事の内容を今は縁遠くなってしまった、かつて血縁の親類に伝えるよう親に言われたのですが、自分自身どうすべきか分からずにいます。
神経内分泌腫瘍という病気は確かに以前よりも知られるようになりました。しかし神経内分泌腫瘍に関連しながら未だ余り知られていない病気があるのです。それが今回おせっかいでお伝えしたい病気、多発性内分泌(腺)腫瘍症という病気です。
多発性内分泌(腺)腫瘍症 - この病気は"MEN"とも呼ばれます(MEN:Multiple Endocrine Neoplasia)。神経内分泌腫瘍が"NET"と略して呼ばれるのと似ていますね。簡単に言うと神経内分泌腫瘍が同時期に、又は年を取ると共に順に幾つかの臓器にできてしまうという病気です。できる臓器により1型と2型があります。2型は更にA型とB型に分けられます。
- 1型 - 主に副甲状腺、膵臓、脳下垂体に腫瘍や機能亢進症が現れる。例えば副甲状腺の肥大により高カルシウム血症が現れる。
- 2型 - 主に甲状腺、副腎、副甲状腺に腫瘍や機能亢進症が現れる。甲状腺髄様癌(こうじょうせんずいようがん)、副腎の褐色細胞腫、舌や口唇に現われる粘膜下神経腫は要注意。
この病気の原因は遺伝子の異常です。1型はMENIN(メニン)、2型はRET(レット)という遺伝子に異常が現れます。遺伝子の異常が原因という事は...そうです、子供、子孫に遺伝してしまうのです。こうした病気は家族性の疾患と呼ばれます。そして正にその点が厄介なのです。
この病気は、1型か2型に該当する複数のホルモン産生臓器に神経内分泌腫瘍がある事、同様の病気を患ったか患っている血縁者がいる事、遺伝子検査により遺伝子に異常があると認められる事等の条件を満たす事で診断が確定します。
しかし複数の臓器にできた神経内分泌腫瘍を関連があるものとして捉え、多発性内分泌(腺)腫瘍症と的確に診断してくれる医療機関、医師はそうは多くありません。多発性内分泌(腺)腫瘍症ではなく、単に神経内分泌腫瘍が複数あると診断されてしまうかもしれません。多発性内分泌(腺)腫瘍症の可能性に気がつき、遺伝子検査をすれば正確に診断できるでしょうが、検査まで踏み込める方は医師にも患者にもそうはいらっしゃないだろうと思うのです。
私の場合は複数臓器に腫瘍ができていた事、遺伝子検査をして遺伝子の欠陥が認められた事からこの病気(1型)と確定しました。診察で遺伝子検査の結果を伝えられる際、先生は「この病気はどういう訳か長野県に多いのです」とおっしゃっていました。偶然なのかAmebaブログで知った神経内分泌腫瘍の患者さんは長野県の方が確かに多いのです。
また、そのためか数年前は全国で信州大学にのみ遺伝子診療部(現:信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター)という家族性疾患を専門に扱う部がありました。今でこそ全国の多くの大学にそうした部科がありますが、それには当時、信州大学で医学部・社会予防医学講座を御担当で、今は札幌医科大学に御在籍の櫻井晃洋(さくらいあきひろ)先生の御尽力が大きかったのではなかろうかと思います。
しかし先程厄介と言ったようにこの病気の原因が遺伝子異常である以上、現在の医学ではこの病気は完治しません。将来、遺伝子組み換え技術が治療に使われるようになれば完治も期待できるでしょうが、それまでは治療はできた腫瘍をその都度治療していく、言わば対症療法になってしまいます。
私が自分の親類に伝えるべきか悩んでいるのはこの病気が完治する術がないためです。また、その親類縁者に腫瘍ができたといった話を伝え聞いた事がなく、それ故に現在の医学で完治しない病の事をわざわざ伝えるべきなのか悩んでいます。また既に縁遠くなってしまっており、伝える事自体が「おせっかい」とも思われるのです。Amebaブログの皆さんにも伝える事も「おせっかい」の類であるかもしれないと悩んでいます。
この病気については以下のような書籍が出版されています。
という事で、普段ブログの記事は専らBloggerで書いているのですが、Amebaブログの方が神経内分泌腫瘍の方が多いのでこちらに書いてみました。完治の術なく遺伝するというこの病気に目を向けるのは酷な事かもしれません。知る必要もないのかもしれませんが、もしこの病気に御関心があったり、御自身の症状で思い当たる方がいらっしゃるなら、僅かでも参考にして頂ければ幸いです。