僕は無人島に流れ着いて、生活していた。
無人島での生活は一週間を迎えていた。
その一週間で、偶然持っていた百円ライターが如何に貴重か骨身に沁みて分かった。島で魚を取っても、火がないと焼いて食べられない。助けが来るまで、この百円ライターを大事にしなければと思っていた。
そんな矢先に熊が現れて、襲われそうになって逃げた。そしてあれほど大事だと思っていたライターを逃げる途中に無くしてしまった。これから魚をとっても、焼く事が出来ない。仕方ないので、漫画みたいに木に棒をあて、クルクル回して火をつけようと試みた。
だが自分の手の方が熱くなって、アチッと思って川に手を入れて冷やしていると、小学生ぐらいの大きさの小熊が現れた。
小熊は僕が落としたライターを見つけ出して、拾って持ってきてくれたのだ。
僕がお礼を言うと、ジッと見つめる。
お礼が必要だと思った僕は川で取った鮭を差し出した。すると、小熊は困った顔をした。
欲しかったのは鮭じゃなかったみたいだ。何が欲しいのと聞いたら、小熊はもじもじとした。
どうやら友達が欲しかったみたいだ。
▶これ、少し前に見た夢。
そして昨日、何故か、この夢の続きを見た。
僕は無人島で、小熊と仲良くなった。
小熊の親は、人間と仲良くしていることを知らない。
でも僕と小熊は親友だ。
小熊は言葉を覚えた。一番最初に覚えてくれた言葉は、「浜田」という僕の名前だった。
そんなある日、僕が遭難していることに気づいた人たちが、救助にやってきてくれた。
先にそれを気づいた小熊は島にやって来た人に駆け寄り、覚えた言葉を発し「浜田! 浜田!」と僕の居場所を教えようとした。
救助にきた人たちは、熊に襲われると思って、銃で小熊を撃った。
それを知った親熊は、人間を襲った。人間は銃で応戦した。
僕が現場に来たときは、皆が死んでいた。
小熊の血が、僕の足元に流れてきた。
「言葉なんて教えるんじゃなかった」と僕は呟いた
目を覚めると明け方の5時だった。
「言葉なんて……」は何か似た有名な詩の一節だったはずと思って調べると、田村隆一さんの『帰途』の一節。「言葉なんて覚えるんじゃなかった」だった。
またこの続きを見るんだろうか。
ときどき、続き物の夢を見る。