学生の頃本屋さんに寄った時に必ず見ていたのが、大きな紙に小さい字で打ち出された「新刊予定情報」だった。
A0ぐらいの大きさの薄黄色の紙に、「x月のxx社の新刊」みたいに、出版社ごとの新刊・続巻の発売予定が書かれていたもので、いつもそれを見て、好きな漫画の続巻の発売を心待ちにしていたものである。
今は専ら古本屋さんに行くことがほとんどで、今そのような掲示があるかどうかを知る由もない。
そしてもうひとつ、ひと昔前の文庫本はよく巻末に色んな作品と作者名がぎっしり数ページに亘って宣伝されていた。
これは本が好きな人にとってはなかなか効果が大きいもので、作者とタイトルのみの数少ない手がかりだけで「次何読んでみようか」と、次への愉しみにつながるものである。
リチャード・マシスンの長篇小説「地獄の家」の存在を知り、そこそこの高値で入手したのも、外でもなくこの概ね作者とタイトルのみ紹介された巻末数ページがあったからに他ならない。
紙面の情報からまた新たな紙の情報を得る、極めてアナログ的な情報入手方法ではあるが、昨今の簡単に情報入手できる時代であるからこそ、このような愉しみを持ちつつ居られたら、好きな本との巡り合わせの幅が拡がりそうな気がしている。
昨日は心待ちにしていた森林太郎(鴎外)訳の「ファウスト」第一部および第二部が届いた。