独りで死ぬこともできない私が
独りで生きるなんてできるわけない
死にたいなんて言うくせに
自分の手首に傷をつけることすら
首を吊ることすら
高い場所から飛び降りることすら
怖くて怖くてできやしない
例えば今ここに青酸カリがあったとしても
ちゃんと飲める自信がない
本当に死んでしまうのも
ちゃんと死にきれないのも
どっちも怖くて仕方ない
例えば車に飛び込んだとして
死ねる確率は高いかもしれないけど
飛び込まれた運転手さんはたまったもんじゃないだろうし
民事で責められる可能性はないとしても
刑事の方は避けられないだろうし
相手が自殺志願者でも
全くの無罪は難しいだろう
例えば電車に飛び込んだとして
ほぼ100%死ねるだろうけど
まわりにかける迷惑は
交通事故の比じゃない
最期まで迷惑かけやがってって
きっとまた怒られる
どうして私はこんなに臆病で
どうしようもないクズなんだろう
ちゃんと死んであげることすらできないのか
私が生きてることに誰も気付かなくても
それは別に構わないと思う
けど
私が生きてることで
私の大切な人を、傷つけたらダメだろう
死んでしまえば、きっと笑ってくれるのに
存在が消滅してしまえれば
本当は一番なんだろうけど
そんな芸当ないし
ここから消えてあげるのも
私には難しい
たぶん
死んでしまうのが一番妥当だ
望みを叶える術として
破ってしまう約束はあるけど
私がいなくても問題はない
返しそびれたお金は
封筒に入れておけば
彼女の元にわたるだろう
友達は少ないけど
0ではない、と思う
けど
毎日会うわけじゃない
毎日連絡してるわけじゃない
だからきっと
私が消えても気付かない
時が過ぎれば
友達だった同級生くらいになって
関係は薄れて
自然消滅するだろう
もしも死んだと連絡がいってしまったら
少し位は悲しんでくれるかな
優しい人たちだから
少し位は心を痛めてくれるかも
だけど大丈夫
私は彼女たちに
何もしていないから
私がいなっても
生活が変わることはない
時間が私を消してくれる
思い出すことも
ないだろうね
私の恐怖心さえ飼い慣らせれば
自分で、独りで、ちゃんと死ぬことだけできれば
私の死に、何一つ障害なんてないのに
去年亡くなった先生
先月亡くなったあの方のように
私なんかよりずっと
たくさんの人に愛されて
必要とされている方々が亡くなって
私が生きてる方が
ずっとおかしい
異常だ
理不尽だ
なのに
どうして
私は私を殺せないの