Where makes a goal ? 短編日常編① †Nine
大事な杖のアイデンティティリメイキング
ラッキィ「いつも唱える時はその構えなのか?
そんなイメージだけで出来るものではないけど、
限りなく通常に近い方が習得が早い」
レディ 「いつもはあの、杖を使っていますよ」
ラッキィ「あ、そうだ。レディ、《トリントロム・ステッキ》持ってんじゃん。
何で忘れてたんだろ」
レディ 「実は今日は調整と聞いていたので、杖は置いてきたんですよ」
ラッキィ「え何で置いてくるのさ」
レディ 「魔物に杖を弾き飛ばされた時に手で唱えても
魔法の精度が落ちないようにと偶にやっているんですよ」
ラッキィ「偉い!偉いぞレディ」
レディ 「ありがとうございます」
ラッキィ「でも新しい呪文を覚えるにはやっぱり武器は必要だな」
レディ 「今手元に無いので急いで持ってきますね」
ラッキィ「袋に入ってないのか」
レディ 「えぇ、あると分かっていると手を抜いてしまうので」
ラッキィ「小さくても精神は強いんだね」
レディ 「ありがとうございます。急いできますね」
ラッキィ「転ぶなよー」
レディはその胴に対しては少し短いんではないのか?
とも思える様な手足をぶんぶん振りながら城の入り口へと走っていった。
:8一 ----……......
レディ 「これです」
ラッキィ「おう」
レディは身の丈程ある杖を引きずらないように頑張って持ってきた。
こんなものいつも持ち歩いているのか。大変だな。
移動の時は、背中周りに着けているベルトにくっつけているのかな?
杖をレディから受け取ってみる。
するとそのステッキは予想以上にめちゃくちゃ軽い。
16歳男子のオレが2本の指で振り回せる程だ。
ラッキィ「素材は?」
レディ 「謎です」
ラッキィ「まさかだけどメリエート石だったりしてな」
レディ 「確かそんな名前だったような気がします」
ラッキィ「えマジ?」
レディ 「確証はありません」
ラッキィ「今度トリント行くわ」
レディ 「えぇ、是非いらしてください」
こりゃ大収穫だ。
ラッキィ「さぁ、いつもの様に構えて、さっきみたいに念じてみよう」
レディ 「はい」
――体内に流れる水を……
――少しずつ、少しずつ……
――手ですくい上げる感じ……!!!
レディが杖先を対象物に向けた時、何かが集まってきた。
ラッキィ「ん、ん!?」
レディ (まだよ。すくい上げる感じ……)
水だ。明らかにこれは雫(しずく)だ。
雫が杖先の中心に集まってきている。
ラッキィ「レディ、それをいつもみたいに前に!」
レディ 「んぐ、くあぁぁい!」
レディは思いっきり前に飛ばした!……が、それが満足に飛ぶ筈もなく。
『ひゅぅ~――ぴちょん』
2m先に落ちた。
レディ 「……悲観」
ラッキィ「まぁ最初はそうだろ。最初でここまで出来たんでもすごいんだぜ」
レディ 「むぅ」
ラッキィ「この調子だと後1時間くらいで覚えるんじゃないのか」
レディ 「頑張ります」
レディはこの後も何度もすくい上げる(鬼畜な)感覚で練習を重ね、
地道ながら確実に呪文を上達させていった。
レディ 「はぁ…はぁ…はぁ」
ラッキィ「疲れたら?」
レディ 「『魔法の聖水』飲みます」
ラッキィ「休めよ」
レディ 「――え?」
ラッキィ「座んな」
レディ 「……はぃぃ」
レディはぐったりと壁にもたれ掛かり、
そのままズザァと床に尻餅をついた。
レディ 「すぅ、ふぅ」
ラッキィ「どうだ、最低今日中には出来そうか?」
レディ 「やっぱり、魔法を、一日で覚えるのは、難しいです」
ラッキィ「オレでも無理だわ」
レディ 「そう、ですか……」
ラッキィ「でもレディなら出来るんじゃないか?根拠は無いけど」
レディ 「今は、そんな言葉も、信じたいくらいです」
ラッキィ「じゃあ、今から言うのは遅いと思うけど、
もっとやりやすい方法でやろうかな」
レディ 「えぇぇ?」
ラッキィは魔法訓練所を抜け出した。
魔法訓練所は城の端っこにあるので出たらすぐ街だ。
川の近くで遊んでいる少年達に声を掛けた。
ラッキィ「おーい、キミ達、それどこに売ってる?」
少年 「え、これ?」
ラッキィ「うん」
少年 「そこ」
ラッキィ「ありがとな」
†
レディ 「あ、どこ行ってたんですか」
ラッキィ「ちょっとコレを買いにな」
ラッキィが腰のポーチから取り出したのは、なんと水鉄砲だった。
ラッキィ「コレを使うんだぜ」
レディ 「はて?」
ラッキィ「まぁ見てな」
ラッキィは突然、『魔法の聖水』を水鉄砲の中に入れた。
そしてさっきまでレディが唱えていた周りに15回程撃った。
ラッキィはその中心に立ち呪文を唱えた。
ラッキィ「《ウォーター・エフェクション》!」
『スゥゥー、……バッシャァァ!!!』
するとさっきよりも短い時間で、威力の高い呪文を放った。
レディ 「へぇ?」
ラッキィ「これはな、かなり古典的なやり方なんだけど、
一番やりやすいと思う。オレはね。原理は分かる?」
レディ 「……あ。周囲から水分を抽出した」
ラッキィ「そっ。少し休んだらこれでやってみなよ」
レディ 「よし」
ラッキィ「もうやるのか、偉いな」
レディは心を引き締めた面持ちで円の中心に立った。
レディ「すぅ~……(イメージして、)《ウォーター・エフェクション》!!!!」
そうよ!この感じよ!
《トリントロム・ステッキ》の杖先に集まった微量の水分は、
しっかりとした形を形成して、
レディの合図と共に対象物に向かって飛んでいった!
『シュゥ、パシャァ」
レディ 「で、出来ました!」
ラッキィ「うっわ、すげぇ……」
出来るってのと、出来ないっての、半信半疑だったよ。
でもやっぱ出来たわ、良かったぁぁ;;責任取れないからなぁ;;
ラッキィ「おぉ」
レディ 「忘れないように、何度か練習します」
レディ繰り返し呪文を唱え続けて確証的なコツを掴もうとした。
何本も『魔法の聖水』を飲んでは唱えて汗を拭き、
何本も飲んでおしっこをして(蹴
何度も唱えた。
レディ 「あぁぁぁ、疲れたぁ」
ラッキィ「よし、休憩にしよう」
レディ 「はぁぃい」
その後2人で調理室に行って紅茶とケーキを食べたり、
寝っ転がったりして十分休んだ。
この呪文が完成したかどうかは、明日のお楽しみだ。
Where makes a goal ? 短編日常編① †Nine
大事な杖のアイデンティティリメイキング End
