大地があった。
ただ
大地だけがあった。
平和だが
堕落した時代が続いた。
ある日
天が生まれ
大地を覆いつくした。
一方的な殺戮の時代が続いた。
ある日
剣が生まれ
天を切り裂いた。
激しい動乱の時代が幕を開けた。
大地は
剣を打ち砕いた。
天は
大地を覆いつくした。
剣は
天を切り裂いた。
打ち砕いた。
覆いつくした。
切り裂いた。
砕いた
覆った
裂いた…
そう。これは
永遠に繰り返す闘争の歴史だ。
繰り返し 繰り返し
繰り返し 繰り返し
… … …
21世紀…トロントォォォ!
この街で、じゃんけん世界一を決める戦いがまさに始まっていた。
現在トーナメント第27回戦。
日本人の京都京一郎とカタルーニャ人のラベリャ・ラ・マサーナの…
誇りを賭けたじゃんけん対決である。
「いいか…?俺は今から"ぐー"を出す!!
"ぐー"で貴様を…粉砕する!!」
「ラ、ラベリャ選手ゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!高度な心理攻撃ダァーーーーッッッ!!」
会場が本日最大の熱狂に包まれる。
相手方の強烈な技の前には京一郎は呆然と沈黙するだけであった。
(クックック。『俺が手を変えない』と読めば出すのは"ぱー"
『俺が手を変える』と読めば出すのは"ちょき"に勝る"ぐー"
奴が出せるのは"ぱー"と"ぐー"のみ。
即ち、こちらが"ぱー"を出せば勝率は50%…!!)
凶悪かつ狡猾な読みの素晴らしさにラベリャの顔に極上の笑みが浮かぶ。
「じゃんけんポン!!」
何と言う運命のいたずらか、出された手はお互い"ぱー"。
(ふ、出された手が同じだった場合、次回も同じ手である確率は23%ほど。
ならば"ぐー"を出せば敗北する確率は…ほぼありえないんだよォォォッッ!!)
「じゃんけんポン!!」
ラベリャの手は"ぐー"、京一郎の手は"ぱー"であった。
「な!?ば、馬鹿な…!!何故同じ手が出る…!!
さっきお前は"ぱー"だったじゃないか!!」
呆然とするラベリャ。そんな彼に京都はクールに言葉を投げかけた。
「あぁ、確かに"ぱー"だった。だが、また"ぱー"を出して何が悪い。
統計と確率には常に例外がつきものだ。100%なんてものはどこもない。
特にじゃんけんに関してはな。それに気づかなかったお前の負けだ」
「なん…だと…ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
ぼーん。
