俺は溢れる涙の止め様もなく、ただ流れるに任せていた。
奴の頭を撫でながら。
すると、その手を奴が舐めた。
優しく慰める様に、両手でしっかり抱え、時折甘く噛みながら。
そう、それはその日まで、奴が毎日繰り返してきた親愛の情。
「こんな時まで俺の事を…」そう思うと、感情の制御が効かなくなった俺の口からは、嗚咽が漏れ始めていた。
俺は震える声で語りかけた。
「たくさん意地悪してごめん。なぁ、チャンはお前に取って、良い飼い主で居られたかな…?」
奴は黙って俺の目を見つめていた、背中で大きく息をつきながら。
「もし、万が一にでも、チャンの事を良い飼い主だと思ってくれていたなら…生まれ変わってまたウチの子になってくれないか…?」
その時、それまで黙っていた奴が、小さく鳴いた。
図体の割りに高くか細い声、奴が甘えた時に出す声で。
…通じ合った…
そう確信した俺は、時間を繰り上げて病院へ。
緊急入院。
処置室の中で横になる-点滴と水分補給で幾分か症状の落ち着いた-奴の頭を撫で、俺は病院を後にした。
