本日はちょっと趣向を変えていきます。
最近、出社するまでに時間があるので朝、小倉さんの番組を30分ほど見ています。
先日「脱法ハーブ」の特集を組んでやっていました。
自動販売機で「お香」として堂々と販売されている様子が映し出されていました。
恐ろしい話です。
で、その一節で
「マウスの脳細胞に脱法ハーブの成分をかけると細胞が死滅しました! 大変危険です!」
というものがありました。
・・・ん?なんかデジャブー・・・。
※注「以下、小生は脱法ハーブを肯定するものではありません!」
この文章を見て不思議に感じませんか?感じないとしたら、「新興宗教」や「疑似科学」に騙される恐れがあります。ご注意ください。
1.その実験方法は正しいのか?
繰り返しますが、小生は脱法ハーブを肯定しているわけではありません。
吸引者が異常な行動をして被害者も出ており、速やかに規制すべきであると考えています。
しかしながら、否定する場合は正しい情報に基づいて行うべきであると思っているのです。
続けます。
「脱法ハーブから抽出した成分を脳細胞にかける」という行為は吸引している人たちに発生している事象と同じでしょうか?
「脱法ハーブを吸引した際に、その成分が血液中に取り込まれて脳に至る」ことは否定しません。
しかしそれは「血液によって脳に運ばれた際の成分濃度と同一なのでしょうか?」怪しいです。
もしこの論法が通用するというのであれば、
「殺虫剤として使用されているニコチンを含んだタバコは全面禁止にすべきだ!」
「子供が誤飲したら死亡してしまう危険なタバコは全面禁止にすべきだ!」
という論法も成り立ちます。
むしろ毒性はニコチンのほうが強いのではないでしょうか?(小生は嫌煙家なので禁止されても困りませんがw)
本来行うべき実験は、
例えば1週間くらいの期間で「1日1時間脱法ハーブを吸わせたマウス」と「吸わせていないマウス」を比較してどのような影響が出ているのかを調べることではないでしょうか?
脳だけでなく、肺やその他臓器への影響もあるかもしれません。
「脳細胞に成分をかけた~」「脳細胞が死んだーw」・・・学生の実験かよ!!
例えば、タバコの場合
「吸った人の肺」と「吸っていない人の肺」を比較して肺胞が死んでいる様子を評価しています。
また、喫煙者の「がん発症率」や「その他疾患の発生率」を非喫煙者と比較してその影響も評価しています。
いすれも評価した上で「危険である」という情報を発信しています。「毒性そのものの評価」はあまり意味がないのではないでしょうか?
2.デジャブーの元ネタ
小生はおっさんなのでコーラが否定された時代に小学生時代を過ごしましたw
どんな否定がなされたかというと
「コーラを飲むと骨が溶ける!」
というものです。今でもよく聞くフレーズではないでしょうか?
「人間の骨をコーラにつけたら溶けた!だから骨を溶かすコーラは飲んじゃダメだ!」というおかしな論法です。
子供の頃、よく親に「コーラ(炭酸飲料)を飲むことと骨にかけるのは同じじゃないよね?」と言っていたのを思い出します。(親泣かせの子供だよな~w)
当時は、まだソビエト連邦が存在し、共産かぶれな先公・・・先生がたくさんいらっしゃいました。
共産主義者は自由の象徴であったアメリカを敵対視し、それを否定するためにあらゆる広報活動を行いました。
その一つがアメリカの象徴とも言えるコーラの否定でした。「コーラを飲むと骨が溶ける」などといった風説はその一つであったと思います。
同じ食事、同じ量の運動をさせて一方にコーラを与え、他方には水を与えた場合、骨(カルシューム量)にどれほど優位な差があるのかを確認しないと証明できないはずです。
よくある実験は、一方にコーラを与え、他方に牛乳を与えるというものですが、小生からすると「・・・バカなの?」といった感じです。
牛乳を与えては実験の意味がありません。なぜなら牛乳という別パラメータがどれだけ骨に対して影響しているか分からないからです。
実験を行う場合に複数のパラメータを変えてはいけません。一箇所だけ違う条件で比較するべきです。
その時に現れた現象がその変更点の影響として立証されるのです。
「コーラと牛乳」を比較すると「牛乳のほうが骨に対していい結果が出た」という当たり前の話をしたいなら別ですがw
#小生は牛乳大好き人間なので1日1lくらい飲んでいました。今は歳なので500mlくらいです。(^_^;
3.疑似科学ってなに?
ここまで延々と書いてきましたが、疑似科学とは科学的な手法を用いて非科学的なことをすることです。
例えば、「コーラは骨を溶かす」というものは「リン酸カルシュウムは炭酸で溶ける」という化学反応の追認に過ぎません。
「コーラを飲むと骨が溶ける」とは全く因果関係のないものです。因果関係のない2つの事象を結びつけて人を騙しているにすぎません。
この手の手法は「新興宗教」や「エセ健康食品」などでよく行われる手法です。
ぜひ注意してください。
そもそも実験とは「(自分の望む)結果を得る」ために行うものではなく「出た結果を評価して規則性を導き出す」ものです。
自分の望む結果を得るために行う実験(恣意的情報操作)は意味をなしません。
相対論などの理論を確認するために行われた実験も「相対論が正しい!」というところからスタートしたわけではありません。「もし相対論が正しいのであればこんな結果が出ると推察される。だから観測してその正しさを検証しよう!」というものでした。
例えば、一般相対性理論によれば、重力によって空間が歪むとされています。それを確認するために日食の時に太陽の後ろにある星が観測できるかという実験が行われました。理屈としては、大量の重力によって空間が歪み、本来観測されるはずのない太陽に隠れた星の光が屈折して見えるハズというものです。
その結果、太陽の重力によって空間が歪んでいることが確認されました。(一部の数学者は、相対論の予測に誤差があったのでいちゃもんをつけていますが。)
4.ワイドショー
ワイドショーにはこの手の情報(恣意的情報操作)があふれています。
十分に気をつけて見るようにしましょう!常に「それって正しい評価法なの?」という疑問を持ちましょう