著作権錬金術

著作権錬金術

 あなたにも毎日発生している著作権(写真・文章・絵等)の保護期間が、著作者の死後70年に延長。益々重要となります。他人の著作権を侵害しない知識を身に付けて頂くと友に、あなたの著作権をビジネスに活用するノウハウを公開して行く事を内容としています。

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a.言語の著作物(10条1項1号)

 小説、脚本、論文など文字で表示されたものと、講演、テーブルスピーチなど口頭で伝達されるものが含まれます。ただし、事実の伝達にすぎない雑報、例えば死亡記事など及び時事の報道は、言語の著作物に該当しません(10条2条)。

 詩歌、俳句、短歌、川柳、日記、手紙、提案書、企画書などは言語の著作物ですが、キャッチフレーズ、標語、スローガンなどは、原則として言語の著作物とは考えられていません。ただし、「僕安心、ママの膝より、チャイルドシート」は、五七語調であること、及びほのぼのとした親子の情愛が感じられるとして著作物と認められました(初判決)。

 ネーミングは、著作権で保護できるとの考え方があります。しかし、造語であっても上記の「創作的に表現」の点、即ち保護に値する創作という点から否定的に考えるべきです。したがって、ネーミングは、商標登録によって保護を図るべきであると考えます。

 提案書・企画書などは、言語の著作物です。同一性の保持権はあるものの、保護されるのはその表現自体であって、その内容まで保護されるものではない点に注意しましょう。

b.音楽の著作物(10条1項2号)

 楽曲だけでなく、楽曲を伴う歌詞なども音楽の著作物に含まれます。例えば大泉逸郎さんの「孫」などです。したがって、有名、無名は関係ありません。

 また、自分が創作したものでなくても、例えば「小川のせせらぎ」あるいは「小鳥のさえずり」などの自然音を利用したものでも、音楽の著作物と言えます。

c.舞踏又は無言劇の著作物(10条1項3号)

 日本舞踊、バレエ、パントマイムなども、思想又は感情を動作によって表現することから、これらも著作権の範囲に含めています。したがって、バレエの振り付けなどは、振付家の許可なく作品を上演することは著作権の侵害となります。

d.美術の著作物(10条1項4号)

 絵画、版画、彫刻、書、舞台美術、漫画、劇画などに代表されます。美術は純粋美術と応用美術に分類されます。そして、著作権法上の美術の著作物は、純粋美術をさしていると一般に言われています。これは、応用美術を意匠法で保護すべきとの考えです。しかし意匠法上の意匠は、物品の美的外観を言います。物品を離れて意匠は成立せず、単なる花柄や図柄だけでは保護されません。そこで、今後の判例の積み重ねに寄らざるをえない面がありますが、私としては法の不備を補うという意味及び模倣を防ぐ意味からも著作権法で保護すべきではないかと考えます。

 なお、美術の著作物には、美術工芸品を含むとされています(2条2項)。

e.建築の著作物(10条1項5号)

 宮殿、城、寺院、凱旋門、橋、塔、庭園などの建造物については、それが構築美を創作的に表現しているものに限り建築の著作物といいます。

 現代の住宅建築においても、それが独創的な物、例えば屋根等をなだらかな丘のように構成して、周りの自然に溶け込むようにしたものなどであれば著作権が発生します。

なお、建築の設計図は次の図形の著作物に含まれますが、建築に関する図面に従って建築物を完成することは建築の著作物の複製にあたります(2条15号ロ)

f.地図、図形の著作物(10条1項6号)

 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物も著作物の概念に含まれます。

 単なる事実の表示は、思想又は感情の表現とはいえません。しかし、如何に見やすくするか、また目的に合致したものにするかという点において創作性があれば地図にも著作権が発生します。

g.映画の著作物(10条1項7号)

 映画の著作物には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとします(2条3項)。

 即ち、劇場上映用映画だけでなく、テレビドラマ、コマーシャルフィルム、ホームビデオなどで撮った映像等も映画の著作物に含まれます。ホームビデオ機器の普及により、ホームビデオで撮影された映像で成り立っているテレビ番組もある位です。

h.写真の著作物(10条1項8号)

 写真の著作物には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物、例えばグラビア、写真染めなどを含みます(2条4項)。

 数才の幼児が写した写真、例えば、妹の赤ん坊を写したところがたまたまピースをしていたというものなどは、大人でもかなわない立派な著作物といえます。また、動物の珍しい生態などを写した写真などもカチのある著作物といえます。

i.プログラムの著作物(10条1項9号)

 プログラムとは、電子計算機を機能させて一の結果を得ることが出来るように、これに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいいます(2条1項10号の2)。

 「コンピュータ、プログラムなければ只の箱」。プログラムは、パソコンのみならず、ゲーム機や家電製品等あらゆるものに利用されています。プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系であるプログラム言語は、著作権法による保護をうけるものではありません(10条3項)。