今回は、モデルやタレント等が登録型で芸能プロダクションに所属する場合の契約書についてです。タレントやモデル等として活動をするといっても、その活動量や内容は様々です。一般的にテレビで見るようなタレントやモデル等は芸能活動を中心としており、それで生計を立てているわけですが、芸能活動以外の仕事を中心としつつ、タレントやモデル業等をやってらっしゃる方は実際数多く存在します。

 

 

 

そうした、芸能活動以外の一般的な仕事をされつつ、タレントやモデル業等をやってらっしゃる方が芸能プロダクションに所属する際に、一般的にタレントやモデル等が芸能プロダクションと締結する専属マネジメント契約書やタレント所属契約書等とは異なる様式・内容の契約になる場合が多いです。またそうした場合は、所属というよりは、登録といった形をとることも割とよく見受けられます。

 

 

そうした登録といった形になるような場合に、その登録タレント・モデル等と芸能プロダクションとの間で取り交わす契約書についてが今回のご相談例のお話しです。

 

 

 


 

 

 

【登録型の場合にタレントやモデル等とプロダクションに登録する際に交わす契約は一般的な専属マネジメント契約書でよいのでしょうか】

 

 

結論から申し上げますと、一般的な専属マネジメント契約書では適切ではない可能性が高いでしょう。

 

 

 

一般的な専属マネジメント契約書は、多くのケースにおいて、芸能活動を中心にされるタレントやモデル等と締結することを想定したつくりになっております。それ故に「専属」なのであり、そのプロダクション以外からは芸能活動に関する仕事を受けてはならないだとか、それこそ副業的なもの(アルバイト等)も禁止されたりします。

 

 

 

契約期間も2年~3年と長期にわたっているものが多く、簡単には契約を解除できない形になっていることも多いです。そうした長期的な契約期間となるのは、プロダクションがそのタレントやモデル等を育成するための期間という要素もあるからです。新人のタレントやモデル等ですと、育成・売り込みに一定の期間がかかる場合がよくあります。ですから1年契約ではなく、それよりも長い契約期間を確保しておくという形が多いわけです。

 

 

 

また報酬も月額制で毎月支払われるような場合もあったりします。

 

 

要は芸能活動を中心に生計を立ててもらうことを想定したつくりになっているわけです。

 

 

他方、登録型の場合のタレントやモデル等は一般的にはそうではありません。芸能活動とは別の仕事が中心としてあって、そうした芸能活動以外の仕事で生計を立てつつ、芸能プロダクションに登録・所属をして芸能活動に関する仕事もこなしたりするというスタンスです。それこそエキストラ系の仕事なんかがこのような登録型の最たる例ですし、あとは雑誌等のモデルでもこのような登録型でこなされている方もよく見受けられます。

 

 

よって、専属マネジメント契約書のように、他の芸能プロダクションから仕事をもらってはいけないだとか、芸能活動以外の仕事をしてはいけないだとかは登録型の場合にはあてはまらないわけです。契約期間も、登録型の場合は育成・売り込みといった要素が少ないため、別段長期的にする必要はなく、またやめたいときにやめれるような形にしておいても基本的には問題ないわけです(決まっている仕事に関してはこなしてもらう必要はありますが)。

 

 

 

登録の場合は、タレントやモデル等への報酬も月額制というのはないでしょうし、だいたいが歩合又は一回の出演につきいくらといった形になるでしょう。

 

 

 

他にも、登録型のタレントやモデル等に専属マネジメント契約書をあてこもうとすると適切ではない事柄がいくつもあります。よって、登録型のタレントやモデル等が芸能プロダクションに登録・所属する際は、一般的な専属マネジメント契約書では適切ではないのです。登録型用の契約書を用意する必要があると考えます。ただ、そうした登録型用の契約書って、業界団体でのフォーマット等も見当たらないことから、割と作りづらいところではあります。

 

 

 

 

専属マネジメント契約書や登録型契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。