先日、Yahooニュースにも掲載されましたが、All Aboutにて箱根駅伝のシューズ事情について、特許という観点から記事を書かせて頂きました。
自分が実際にランニングをやっている者ですので、実体験に基づく記事が書けたのではないかと思います。
この記事では最初にナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」が箱根駅伝で何故旋風を巻き起こしたのかということを書いております。
そしてこの「ヴェイパーフライ」の特許技術について記事の中で解説しているのですが、ここでポイントなのが、「ヴェイパーフライネクスト%」の特許技術を解説している点です。
といいますのも、ナイキの厚底シューズの最初のモデルは、2017年7月に発売された「ヴェイパーフライ4%」なのですが、この「ヴェイパーフライ4%」は、正直そこまで革新的なシューズではなかったのです。ぶっちゃけ、期待外れに近いものでした。実際、「ヴェイパーフライ4%」が発売されても箱根駅伝でこれを履いて走るランナーはごく少数でした。
その後2019年4月に発売された「ヴェイパーフライネクスト%」の方が圧倒的にインパクトがあり、実際に速く走れるシューズでしたので、「ヴェイパーフライネクスト%」が出てようやく厚底シューズ旋風が起きたのです。それまで箱根駅伝におけるナイキのシューズシェアはほんのわずかだったのが、「ヴェイパーフライネクスト%」が販売された後の2020年1月の箱根駅伝では、実に90%近くのランナーが「ヴェイパーフライネクスト%」を履いて走ったのです。
ですから、ナイキの厚底シューズ旋風が起きたのは、「ヴェイパーフライ4%」ではなく、その次のモデルである「ヴェイパーフライネクスト%」が発売されてからであるという点をきちんと踏まえた記事にしたかったのです。
何故そうしたかったといいますと、ナイキの厚底シューズを、特許という観点で書いている記事は少ないながらも一応他にもあるにはあるのですが、いずれも「ヴェイパーフライ4%」の方を取り上げているのです。ただ、実際には上記のとおり「ヴェイパーフライネクスト%」こそが厚底旋風を巻き起こしたシューズであり、その「ヴェイパーフライネクスト%」の特許技術を取り上げることが現象を正しく伝えることになるのではと思ったのです。
このあたりを本当は細かく記事の中で書きたかったのですが、文字数の関係で、ナイキの厚底シューズの最初のモデル「ヴェイパーフライ4%」については記事の中では言及しない形にしました。
では、この「ヴェイパーフライ4%」では何故厚底シューズ旋風が起きなかったのでしょうか。
ヴェイパーフライ4%は日本人の走りにあまり合わない
一言で言うとこれです。
そもそも論として、ヴェイパーフライ4%はフォアフット気味に走るランナー・・・とりわけケニア等のアフリカ系ランナーに向いている作りであり、比較的踵着地である日本人にはあまり合わないシューズになっていると言えます。
「合わない」というと少々語弊がありますが、このヴェイパーフライ4%の特許技術の恩恵をあまり受けられないと言えますね。
そのヴェイパーフライ4%の特許技術は、特許文献(特許番号:6076481号)では次のような図で示されております。
端的に言いますと、この図では以下の特徴を示しております。
・前足部と後ろ足部に小型のエアソール(空気の入ったクッション材)を設けている(上記図でいう130、220という数字が振られているパーツですね)
・ソールにカーボンプレートを組み込んでいる
他にも細かい特許技術はあるのですが、ざっくりと主要な特許技術は上記のとおりです。
次のモデルの「ヴェイパーフライネクスト%」では、前足部の小型エアソールはなくなりましたが、後ろ足部に小型のエアソールを設けることと、ソールにカーボンプレートを組み込むことは最新モデルの「ヴェイパーフライネクスト%3」まで共通している技術ですので、上記の特許技術は、ナイキの厚底シューズの基礎と言えます。
フォアフット気味に走るランナーであれば前足部に設けられた小型のエアソールをうまく活かす等して良いタイムで走れるため、ケニアランナー等はこの特許技術を利用した「ヴェイパーフライ4%」で良いタイムを出したランナーも多数おります。
しかし日本では、上記のとおり踵着地で走るランナーが比較的多いため、あまりこのシューズの特許技術の恩恵を受けられず、他のシューズと比べて格段に良いタイムが出るわけでもないことから、厚底旋風はこの時点では起きませんでした。
この状況を一変させたのが、次のモデル「ヴェイパーフライネクスト%」なのです。踵着地の日本人ランナーにも大きな恩恵が受けられるその特許技術を次回書いてみようと思います。



