「ありがとうございました~」


客もほとんど来ないコンビニ、深夜二時。


「あ~ぁ、暇だなぁ」


「暇ですねぇ」


「あ、そうそう町田君?」


「はい?」


「町田君ってさぁ、最近入ったばっかだよね?」


「はい、ちょっと前に」


「前は何のバイトしてたの?」


「あぁ、信号が青になったときに流れる音楽あるじゃないですか?」


「うんうん、あのとおりゃんせとか?」


「はい、あれを歌うバイトです」


「・・・え?」


「青信号になったら歌うバイトです」


「ん?ん?ん?あれバイトなの?」


「バイトですよ、結構きついんすよ、あれ。のども気を使わないといけないし」


「え~、どんな感じなの、」


「単純ですよ、まず、信号が青になるじゃないですか?」


「うんうん」


「そしたらマ~マ~マ、マ~マママ~♪ですよ」


「あぁ、とおりゃんせね」


「ノイローゼですよ、二分単位でマ~マママ~ですからね」


「それはきついなぁ」


「バイトの友達が飽きたからってパフィー歌ったらワイドショー来ましたもん」


「えぇ~、びっくりするよね、通行人」


「渡るだけなのに、カニ食べ行こう~♪ですよ」


「急にそんな遠出に誘われても困るよね、

 っていうか、、なんかコツとかあるの?」


「できる限り機械音です」


「・・・・ふーん」


「まぁ初めは変声機とかありますからね、ちょっとやってみますか?」


「えっ・・・、マ~マ~マ・・・」


「違いますよ、もっとこうマ~マ~マ」


「んっ?マ~マ~マ・・・」


「いやいや、マ~マ~マ、マ~マママ、トゥナイ!」


「何それ何それ何それ!」


「デコレーションです、好きな単語でやって見て下さい」


「マ~マ~マ、マ~マママ、ウェルカム!」


ウィーン・・・


「いらっしゃいませ~」


「・・・・今絶対変な人だと思われたよね」


「まぁまぁ、ウェルカムだから意味は合ってますよ、

ちょっとアメリカナイズなコンビ二になりましたね」


「いや、そういう問題じゃなくて。

 でもこれ楽しいね。

 ・・・そういえば鳥の鳴き声とかの場合もあるよね。

 そういう時どうすんの?」


「できる限り機械音です」


「へ~ぇ」


「まぁピヨピヨ言ってりゃいいんですよ」


「急に雑だな!さっきまでマママ、マママ言ってたのに」


「そんなもんですって、バイトですもん」


「へぇ~、いろんな仕事があるもんだねぇ」


「そういえば先輩はここ来る前何してたんですか?」


「え、俺?俺はあれだよ、駐車券をおとり下さいっていう機械の中にいた」


「あれバイトなんですか?!」


「そうだよ」


「どうやるんですか?あんなの」


「えっ、できる限り機械音だよ」


「・・・・」


「・・・・」


「イラッシャイマセ、ゴライテンアリガトウゴザイマス」

 


 一週間後、このコンビニにワイドショーが来た。

「さて、番組の最後はお天気です、佐々木キャスターを呼んでみましょう、佐々木さん?」


「やあ、ゴードン」


「相変わらずフランクな挨拶ですね。私は田中です、明日の天気はどうでしょうか?」


「明日?ちょっと気象庁に聞いてきます」


「自力で頑張ってください」


「もぉ、トニーはいつもわがままなんだから、このじゃじゃ馬」


「田中です。明日の天気はどうでしょうか?」


「どこの天気が知りたいの?」


「全国的でお願いします」


「全国?可もなく不可もなくだよ」

「もうちょっと努力してください、はいやり直し。」

「私は学生時代、努力の虫と称されるほど努力を積み重ねてまいりました、ぜひこの力を御社でも・・・」


「入社試験からやり直さないで」


「もぉ、明日は全国的に晴れですよ」


「花粉の方はどうなっているでしょうか?」


「花粉?花粉はミツバチさんによって花から花へと運ばれ、そして新たなお花が咲くんだよ、ジュニア」


「パパ、ミツバチさんに感謝だね」


「は、何言ってんのおめぇ?どこ中だよ」


「田中です、そろそろ怒りますよ」


「ごめんごめん、明日は晴れるし花粉もそれほど飛びません、快適な一日です」


「はい、ありがとうございました、佐々木キャスターでした」


「また会おう、友よ」



「・・・あ?はいここで訂正があります。さきほど佐々木キャスターがどこ中だよ、と聞いた際

私漢字が同じだけで田中と答えてしまいました、正しくは大住中学校です、失礼いたしました。

それでは、明日の特集、明日は現代にはびこるヤミ金融に迫りたいと思います、

ゲストはリリーフランキーさんです、お楽しみに」