50代の資産形成は通説の逆がお勧め(続3)初任給の頃を思い出して節約しましょう
【FP技能士がお話します】 2015/4/30付け記載「50代の資産形成は通説の逆がお勧め?キャッシュフロー資産重視に切替えましょう」につきまして、ご質問・ご意見を4種類いただきましたので、4回に分けて返答しております。3回目は「“質素な生活水準に戻すことができれば、公的年金だけで生活費を賄うこと”が推奨されているが、実行は困難であるし、国策や通説に反するのではないか」というご意見への返答です。多くの識者は通説『貯蓄から投資→成功すれば消費増→経済成長』を唱えていらっしゃいますが、年金生活が近い50代の方が通説にすべてを賭けることは、危険すぎると考えます。一般の方の場合、投資の成功失敗は、大部分が運次第です。例えば配当狙いの郵貯銀行IPO株購入で公募価格割れしても、誰も補填してくれません。通説は話半分に聞いておいて、半分程度はGPIF運用失敗等に備えるスタンス『卵は一つの籠に盛らない』が必要ではないのでしょうか。超低金利が続いている間、貯蓄大幅増は見込めませんし、投資は運次第ですから、唯一確実な備え方は“質素な生活水準に戻すこと”と考えざるをえません。2015/4/30付けでは、次のとおり≪本文≫と≪注≫に記述いたしました。≪本文≫≪今の50代の方が就職された時代、初任給は手取り月額15万円未満が大半だったはずです。当時は社宅住まいで身軽だったかもしれませんが、質素な生活水準に戻すことができれば、公的年金だけで生活費を賄うことは可能です。まずは、公的年金額を概算して、予定手取り月額(メイン収入)以内で毎月の生活費を賄えるかを、50代前半から試行されますようお勧めいたします(ご家族がいらっしゃれば、必ずご一緒に)≫私は現在の経済政策の成功を切望しておりますし、株高とマイルドな円安を伴う経済成長シナリオの実現を祈っていますが、シナリオが外れた時でも確実に耐えられるようにするため、読者様へ上記のとおり推奨するものです。1.質素な生活水準に戻すための具体策まず定番の方策ですが、①自家用車を手放して自動車税や燃料費等をゼロにする、②固定電話返上や格安スマホへの切替え等により通信費を減らす、③生保・損保の見直しにより保険料を極小化する、ことができれば年18万円(月1.5)以上は節約できるはずです。次に、④諸所で公開されている食費節減アイデアを駆使して飲食費を抑えましょう。2015/10~12家計調査によると3人世帯の食料月額(酒と外食を除く)は6.1万円ですから、1人当り月2万円以内が目標となります(注1)。多くの方が実践中の方法として、⑤図書館通いで新聞・書籍フリー化、⑥一駅先の乗車と一駅前の降車による徒歩が可能ならば電車・バス代削減(歩けば健康!)、⑦新電力等への乗換えで光熱費圧縮、もあります。成功すれば年6万円(月0.5)以上は節約できそうですね。また、⑧一括払いや団体扱いで割安となる保険料等は、すべて一括や団体へ変更しましょう。在職中の生命保険料等は月払いでも、定退で見直した後の保険料は可能な限り前払にします。NHK受信料は、割安な1年前払いをクレカで支払えますから、ポイントも獲得できますし、BS契約にはCATV経由の団体割引もあります。国民年金保険料の2年前納口座引落による割引もお得です(注2)。例えば定退時にご本人60歳・配偶者様57歳(専業主婦・夫)の場合、第1号被保険者となる配偶者様の国民年金保険料を納付されれば、年金満額受給に近づけることができます。配偶者様へ下手に預金等を贈与すると課税される可能性がありますが、2年前納は合法的な贈与になるかもしれません(注3)。2.“将来のコスト減に必要な支払用の元手”として、退職金を残しておきましょう上記の具体策のうち①や⑥を実行しようとしますと、引越が必要となる場合があります。認知症に罹った時に在宅介護を希望される場合、ご自宅がデイケアセンターの近くにある・給食サービスエリア内にあることは、ご家族の介護負担軽減に直結します。認知症に罹らない場合でも、自家用車を使わないとスーパーや病院へ通えないエリアにご自宅がある時は、転居後にご近所とつきあえるか等へ対応できる体力・気力があるうちに、ご自宅の引越と車の売却を検討すべきでしょう。引越先が見つかったら、引越代や敷金等(借家ケース)が必要です。退職一時金は、その元手(支払用の原資)としても残しておきます。施設介護の場合でも同様ですね。ご自身の入居後に、ご家族が施設から呼出しを受ける回数は結構多くなりますから、交通費や菓子折り用の金額をご家族へ予め渡しておくためにも、元手は残しましょう。また、上記⑧のNHK受信料1年前払いも国民年金保険料2年前納も元手が必要です。特に、国民年金保険料は4月末に377,310円(2016年)が銀行口座から一括引落されますから、公的年金や企業年金だけでは一時の負担が重すぎて、お得だと分かっていても実行できなくなりそうです。該当される方は、退職一時金から元手を選りわけておきましょう。2015/4/30付け≪本文≫の末尾では、≪注≫に次のとおり記述いたしました。≪注≫≪一度上げた生活水準を下げることは、とても辛いです。ご家族がいらっしゃる場合、ご協力いただけないと必ず挫折します。特に退職金を得て、記念の大旅行や自宅リフォームに費やしたら大変です。本当のご希望は温泉1泊旅行程度ではないか、施設介護の可能性が高いのに車椅子用の廊下拡幅を計画していないか等々を見直して、質素な生活が定着するように努めてください≫大事なことは、支払が“将来のコスト減”に役立つかです。マイナス金利下では、定期預金と比べ換算利回り優位なデパート友の会や前払い旅行券の積立が人気とのことですが、都心のデパートへ出向いての買物や大手旅行会社の定価ツアーは贅沢ではないのでしょうか。贅沢を否定するつもりはありませんが、個人向け国債以外にも年利0.1%以上の元本確保型運用(2016/3/11現在)は可能ですから、“将来のコスト減”に役立つ支払や、要介護等になられた後の重い支払に備えるために、余資を除く退職一時金は元本維持が無難でしょう。このブログでは、“要介護等になられる前は金融資産を取崩さずに生活費を賄うこと”“要介護等になられた後も金融資産の取崩しを最小限に抑えながら介護・医療を受けること”への備え重視を提唱しております。その観点から、50代・60代の方には節約に努めていただいて、71歳以後(注4)、ご自身・ご家族が健やかに過ごされた(要介護の不運な長生きケースに陥らなかった)幸運のご褒美として、贅沢されるプランをお勧めいたしますが……如何でしょうか。注1.3人家族の飲食費月額6万円は、家計簿診断でも平均的な水準ですが、単身月額2万円は1人分の食材が割高になりがちなため、厳しいと感じる方もいらっしゃると思います。以前、独居した時に私も2万円にトライしましたが、3日間おかず無しで過ごしたこともあります。しかし、政府は1人当り飲食費月額1.8万円(年21.6万円)を現在の目安にしているようにも考えられますので、将来の政策変更にも耐えられるようにするため、敢えて2万円以内の食生活を目標といたしました。例えば、軽減税率の前に提示された消費税還付案(還付限度は年0.4万円)はボツになりましたが、増税影響分2%を還付限度とする上で月額1.8万円(年21.6万円)を前提としているようです。(算式:税抜年額20万円は8%税込21.6万円、10%税込22万円。0.4万円=22-21.6)将来、年金や生活保護の大幅減額またはベーシックインカム導入の政策変更が行われた時、目安の1.8万円×物価上昇率(現在~将来)が、支給月額の算定基礎となる可能性は捨てきれません。注2.国民年金保険料を2016/4に2年前納口座引落すると377,310円。一方、毎月現金納付すると2016年度保険料16,260円×12ケ月と2017年度保険料16,490円×12ケ月の計は393,000円。15,690円(=393,000-377,310)お得です。注3.2014/3/31付け≪国民年金保険料の2年前納は三方一両得≫記載と異なり、配偶者様57歳の保険料は、数年後に受給額としてリターンされるでしょうから、踏倒しされる確率は極めて低く、ご本人から配偶者様へ377,310円を贈与されたものと同様の効果を生むと考えられます。ただし、納付に伴う年金受給額増が、57~60歳の保険料納付額計を超える時点はケース・バイ・ケースですから、予め年金事務所等へ相談してメリットとデメリットを確認された後に実行してください。注4.2015/4/30付け記載では、65歳で認知症等を発症し、介護付有料老人ホームへ30年間入居される不運な長生きケースを仮定して、備えることをお勧めいたしました。100歳以上の日本人は6万人以上いらっしゃるそうですが、ほとんど方は99歳までに天寿を全うされますため、71歳で健康なら入居費用29年分、72歳なら28年分…、で備えは十分のはずです。つまり、備えていただいていた金融資産等が余る訳ですから、71歳以後、健康であれば余っていく分を贅沢に使えます。質素な生活が定着していて、ご自分では使いきれない場合、お世話になっていらっしゃる周囲や地域へ、生前贈与・寄付していただいてもよいでしょう。なお、注1で飲食費月額2万円以内を目標といたしましたが、ダイエットと同様に質素な食生活が完全に定着するまでは、リバウンドするおそれがあります。どうしても本物のビールを飲みたい・名産牛肉を食べたい日もあるでしょう。その時こそ株主優待の出番ですね。2015/4/30付け記載では、50歳から毎月1万円を食費節減して捻出した余資(年12万円)について、FXスワップポイントを狙う提案をいたしました。代案として、ビールやリース最大手の株式を1単位(現在10万円台)買えば、株主優待品を得ることができます。買値よりも下がる心配はありますが、“余資の運用はハイリスク覚悟”と割り切っていただき、2%以上の配当金利回りと無料のビールや牛タンを、節約への“ご褒美”と考えられては如何でしょうか。初任給の頃と比べて食べる量は減っていらっしゃるはずですから、減った分を味のアップに回さず、購入額減につなげれば、簡単ではないものの実現可能ではないかと思います。ただし、読者様のニーズに合わない株主優待は、不要ですね。例えば、東海道新幹線1割引や宝飾品2割引の株主優待券は、一般的にお勧めいたしません。旅行等で使用されることがあったとしても“将来のコスト減”効果が低く、“ご褒美”と解釈することも難しいためです(利回りは1%未満ですし、ぷらっとこだま利用の方が割安)。