現物配当という扱いについては平成22年を境に変化をしていることになります。22年の前であれば、無償による資産という扱いを受けることによって譲渡損益の金額は、益金、損金として扱われるようになっていました。しかし22年より後である現在では、現物配当の扱いが変っており、適格現物分配については、資産の譲渡損益が存在しないというように扱われることになり、資産が移転する寸前の帳薄価額によって計算をされることになっています。
<解答>
(1) 買取り等の申し出の日から(2)売買契約の効力発生日までの期間が6ヶ月以内となっているため、収用等の5000万円特別控除の適用を受けることができます。
<解説>
1、 概要
収用交換等の5000万円特別控除は、「最初に買取りの申し出のあった日から6ヶ月を経過した日までにその申し出に係る資産を譲渡すること」をいう要件があります。
これは、早期に買取り等の申し出に応じ、資産を譲渡してくれた人に税金を優遇することによって公共事業の円滑な促進をはかることや、ごね得を防止するために設けられています。
この制度の趣旨から、買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過する日までに売買契約を締結している場合は、資産の引渡しが買取り等の申し出から6ヶ月を経過した後であっても、すでに公共事業の円滑な取り組みに協力する意思表示をしていることから、特例の適用はあるものと考えられます。つまり、税務上の譲渡の日を(3)の引渡し日としたとしても、特例の適用の可否は(2)の売買契約の効力発生日で行ってもかまわないということになります。
したがって、買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過した後に土地の引渡しをし、平成24年分の譲渡所得として確定申告をしたとしても、収用交換等の5000万円特別控除の適用を受けることができます。
2、 買取り等の申し出の日
収用交換等の5000万円特別控除の要件の中には、前述のとおり、「買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過した日までに譲渡すること」、というものがあります。では、具体的に買取り等の申し出の日とはいつのことをさすのでしょうか。
昭和55年1月18日大阪高裁や、平成2年3月16日東京地裁では、金額の提示は必ずしも必要ないとの判決がでています。すなわち、事業施工者が、資産の所有者に対して、買取りの意思表示をしたときが、買取りの申し出の日となっています。
<フローチャート>
(1) 計画決定
(2) 事業説明会
(3) 用地説明会
(4) 境界測量調査
(5) 個別交渉
(6) 金額決定
(7) 売買契約
(8) 引渡し
用地買収の一般的な流れは、上記のフローチャートでしめしたようになります。現在では、このなかの「個別交渉」の場面で事業施工者が、買取資産を特定し、その資産の対価を明示して意思表示をしたことが買取り等の申し出のあった日と考えられています。
(1) 買取り等の申し出の日から(2)売買契約の効力発生日までの期間が6ヶ月以内となっているため、収用等の5000万円特別控除の適用を受けることができます。
<解説>
1、 概要
収用交換等の5000万円特別控除は、「最初に買取りの申し出のあった日から6ヶ月を経過した日までにその申し出に係る資産を譲渡すること」をいう要件があります。
これは、早期に買取り等の申し出に応じ、資産を譲渡してくれた人に税金を優遇することによって公共事業の円滑な促進をはかることや、ごね得を防止するために設けられています。
この制度の趣旨から、買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過する日までに売買契約を締結している場合は、資産の引渡しが買取り等の申し出から6ヶ月を経過した後であっても、すでに公共事業の円滑な取り組みに協力する意思表示をしていることから、特例の適用はあるものと考えられます。つまり、税務上の譲渡の日を(3)の引渡し日としたとしても、特例の適用の可否は(2)の売買契約の効力発生日で行ってもかまわないということになります。
したがって、買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過した後に土地の引渡しをし、平成24年分の譲渡所得として確定申告をしたとしても、収用交換等の5000万円特別控除の適用を受けることができます。
2、 買取り等の申し出の日
収用交換等の5000万円特別控除の要件の中には、前述のとおり、「買取り等の申し出の日から6ヶ月を経過した日までに譲渡すること」、というものがあります。では、具体的に買取り等の申し出の日とはいつのことをさすのでしょうか。
昭和55年1月18日大阪高裁や、平成2年3月16日東京地裁では、金額の提示は必ずしも必要ないとの判決がでています。すなわち、事業施工者が、資産の所有者に対して、買取りの意思表示をしたときが、買取りの申し出の日となっています。
<フローチャート>
(1) 計画決定
(2) 事業説明会
(3) 用地説明会
(4) 境界測量調査
(5) 個別交渉
(6) 金額決定
(7) 売買契約
(8) 引渡し
用地買収の一般的な流れは、上記のフローチャートでしめしたようになります。現在では、このなかの「個別交渉」の場面で事業施工者が、買取資産を特定し、その資産の対価を明示して意思表示をしたことが買取り等の申し出のあった日と考えられています。
妻は、息子の代理人として遺産分割協議を行うことが不可能ですから、家庭裁判所に特別代理人の選任の申立てをしなければなりません。息子に代わって遺産分割協議に参加するのは、選任された特別代理人です。
1.法律行為としての遺産分割協議
法律行為とは、人の意思表示により、その意思に従って権利や義務に変化を及ぼす行為のことであり、法律行為をするには意思能力が必要であるとされています。
遺産分割協議は、意思表示によって財産移転の効果が発生する重要な法律行為ということができ、遺産分割協議をするには、意思能力が必要となります。
2.意思能力とは
自らの行為の結果を正しく認識し、これに基づき正しく意思決定を行う精神能力が、意思能力であると解されています。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(民法第7条)、つまり意思能力のない人については、本人・配偶者・4親等内の親族等が家庭裁判所に後見人の選任を申立てることとなります。そして、選任された後見人が、本人に代わって法律行為を行います。
3.未成年者の行った法律行為
未成年者ということだけで、意思能力を有していないと断言することはできません。しかし、未成年者が法律行為をするためには、法定代理人の同意を得る必要があります(民法第5条第1項)。また、親権者は、未成年者の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代理すると規定されています(民法第824条)。
ただし、親権者とその子が利益相反関係になるならば、親権者が家庭裁判所に特別代理人の選任を請求することが必要です(民法第826条第1項)。
質問のケースのように、妻と息子が同じ相続人としての地位にあり、利益相反関係にあるなら、妻を息子の代理人として遺産分割協議を行うことは不可能です。ゆえに、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求して、選任された特別代理人が息子に代わり遺産分割協議に参加します。そして、この特別代理人が、遺産分割協議書に署名・捺印することとなります。
特別代理人の選任に数ヵ月を要し、遺産分割協議が成立しないうちに相続税の申告期限が到来してしまう可能性もあります。この場合には、未分割のまま相続税の申告をすることとなり(相続税法第55条)、遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定の適用がありませんので注意する必要があります。
4.遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定
例えば、次のようなものが、遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定に該当します。
・配偶者の相続税額の軽減
・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
・国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税
・農地等についての相続税の納税猶予
・非上場株式等についての相続税の納税猶予
申告期限までに遺産分割協議が成立していない場合、相続税上の優遇規定の適用がありませんが、申告期限から3年以内に分割協議が成立したとき等には、修正申告又は更正の請求により優遇規定の適用を受けることができます。ただし、期限内申告と修正申告・更正の請求という複数回の申告手続きをする必要があり、手間がかかりますから、特別代理人の選任の申立てを早めにするのがいいと思われます。
1.法律行為としての遺産分割協議
法律行為とは、人の意思表示により、その意思に従って権利や義務に変化を及ぼす行為のことであり、法律行為をするには意思能力が必要であるとされています。
遺産分割協議は、意思表示によって財産移転の効果が発生する重要な法律行為ということができ、遺産分割協議をするには、意思能力が必要となります。
2.意思能力とは
自らの行為の結果を正しく認識し、これに基づき正しく意思決定を行う精神能力が、意思能力であると解されています。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(民法第7条)、つまり意思能力のない人については、本人・配偶者・4親等内の親族等が家庭裁判所に後見人の選任を申立てることとなります。そして、選任された後見人が、本人に代わって法律行為を行います。
3.未成年者の行った法律行為
未成年者ということだけで、意思能力を有していないと断言することはできません。しかし、未成年者が法律行為をするためには、法定代理人の同意を得る必要があります(民法第5条第1項)。また、親権者は、未成年者の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代理すると規定されています(民法第824条)。
ただし、親権者とその子が利益相反関係になるならば、親権者が家庭裁判所に特別代理人の選任を請求することが必要です(民法第826条第1項)。
質問のケースのように、妻と息子が同じ相続人としての地位にあり、利益相反関係にあるなら、妻を息子の代理人として遺産分割協議を行うことは不可能です。ゆえに、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求して、選任された特別代理人が息子に代わり遺産分割協議に参加します。そして、この特別代理人が、遺産分割協議書に署名・捺印することとなります。
特別代理人の選任に数ヵ月を要し、遺産分割協議が成立しないうちに相続税の申告期限が到来してしまう可能性もあります。この場合には、未分割のまま相続税の申告をすることとなり(相続税法第55条)、遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定の適用がありませんので注意する必要があります。
4.遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定
例えば、次のようなものが、遺産分割を要件とする相続税法上の優遇規定に該当します。
・配偶者の相続税額の軽減
・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
・国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税
・農地等についての相続税の納税猶予
・非上場株式等についての相続税の納税猶予
申告期限までに遺産分割協議が成立していない場合、相続税上の優遇規定の適用がありませんが、申告期限から3年以内に分割協議が成立したとき等には、修正申告又は更正の請求により優遇規定の適用を受けることができます。ただし、期限内申告と修正申告・更正の請求という複数回の申告手続きをする必要があり、手間がかかりますから、特別代理人の選任の申立てを早めにするのがいいと思われます。
遺産分割協議成立のために、母について、成年後見人の選任の申立てを行わなければならないでしょう。
1.成年後見制度とは
成年後見制度とは、意思能力が十分でない人々を保護・支援するための制度のことをいいます。成年後見制度を活用すれば、認知症の人がした契約を取り消したり、信頼できる人を代理人にしてその人が代わりに契約等をしたりすることができます。
成年後見制度は、次の2種類に分けられます。
一つは「法定後見制度」で、既に意思能力が十分でない人に適用されます。もう一つは「任意後見制度」で、十分な意思能力があるうちに本人の意思により後見人を選んで準備しておくことが可能です。
2.法定後見制度とは
法定後見制度とは、既に意思能力が十分でないために法律行為のできない人が法律行為をするときに、家庭裁判所によって選任された代理人が保護・支援する制度のことをいいます。具体的には、財産の管理(法律行為の代理を含みます)や、本人が誤って行った法律行為の取り消し等の手助けを行うことになります。
法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて、次の3種類に分けられます。
・補助・・・軽度の精神上の障害により意思能力が不十分な人を対象とします。
・保佐・・・精神上の障害により意思能力が著しく不十分な人を対象とします。
・後見・・・精神上の障害により意思能力を欠く常況にある人を対象とします。
そして、補助人・保佐人・後見人については、各々、付与される権限の範囲が異なります。
3.遺産分割協議と成年後見人
相続人の中に意思能力を有していない人がいるのであれば、家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行います。選任された成年後見人は、成年被後見人に関する法律行為を代理することができます。ゆえに、成年被後見人に代わり遺産分割協議に参加します。遺産分割協議書に署名・捺印を行い、相続税の申告書に捺印するのも、この成年後見人ということになります。
ただし、成年後見人が、成年被後見人と同じく相続人としての地位を有しているのであれば、いわゆる利益相反関係にあることとなり、成年被後見人の代理人として遺産分割協議をすることは不可能です。したがって、家庭裁判所が成年後見監督人を選任して、その成年後見監督人が成年被後見人を代理して遺産分割協議をすることになります。
4.相続税の申告期限
「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」が、相続税の申告期限と決まっています。ただし、この「相続の開始があったことを知った日」は、相続開始の事実を知ることのできる弁識能力がない幼児等については、「法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日(相続開始の時に法定代理人がないときは、後見人の選任された日)」ということになります(相続税法基本通達27-4)。
ゆえに、質問のケースでは、「母の成年後見人が選任された日の翌日から10ヶ月以内」が、母の相続税の申告期限となるものと考えられます。ちなみに、母以外の相続人は、原則として死亡日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を行うことが必要です。
成年後見人又は成年後見監督人の選任に数ヵ月を要する場合もありますので、ご家族全員の相続税の申告をスムーズに行うためにも、既に意思能力が十分でない人について、早めに成年後見人の選任を申立てましょう。あるいは、意思能力のあるうちに、任意後見制度を活用することによって後見人を事前に選んでおくというのも効果的です。
1.成年後見制度とは
成年後見制度とは、意思能力が十分でない人々を保護・支援するための制度のことをいいます。成年後見制度を活用すれば、認知症の人がした契約を取り消したり、信頼できる人を代理人にしてその人が代わりに契約等をしたりすることができます。
成年後見制度は、次の2種類に分けられます。
一つは「法定後見制度」で、既に意思能力が十分でない人に適用されます。もう一つは「任意後見制度」で、十分な意思能力があるうちに本人の意思により後見人を選んで準備しておくことが可能です。
2.法定後見制度とは
法定後見制度とは、既に意思能力が十分でないために法律行為のできない人が法律行為をするときに、家庭裁判所によって選任された代理人が保護・支援する制度のことをいいます。具体的には、財産の管理(法律行為の代理を含みます)や、本人が誤って行った法律行為の取り消し等の手助けを行うことになります。
法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて、次の3種類に分けられます。
・補助・・・軽度の精神上の障害により意思能力が不十分な人を対象とします。
・保佐・・・精神上の障害により意思能力が著しく不十分な人を対象とします。
・後見・・・精神上の障害により意思能力を欠く常況にある人を対象とします。
そして、補助人・保佐人・後見人については、各々、付与される権限の範囲が異なります。
3.遺産分割協議と成年後見人
相続人の中に意思能力を有していない人がいるのであれば、家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行います。選任された成年後見人は、成年被後見人に関する法律行為を代理することができます。ゆえに、成年被後見人に代わり遺産分割協議に参加します。遺産分割協議書に署名・捺印を行い、相続税の申告書に捺印するのも、この成年後見人ということになります。
ただし、成年後見人が、成年被後見人と同じく相続人としての地位を有しているのであれば、いわゆる利益相反関係にあることとなり、成年被後見人の代理人として遺産分割協議をすることは不可能です。したがって、家庭裁判所が成年後見監督人を選任して、その成年後見監督人が成年被後見人を代理して遺産分割協議をすることになります。
4.相続税の申告期限
「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」が、相続税の申告期限と決まっています。ただし、この「相続の開始があったことを知った日」は、相続開始の事実を知ることのできる弁識能力がない幼児等については、「法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日(相続開始の時に法定代理人がないときは、後見人の選任された日)」ということになります(相続税法基本通達27-4)。
ゆえに、質問のケースでは、「母の成年後見人が選任された日の翌日から10ヶ月以内」が、母の相続税の申告期限となるものと考えられます。ちなみに、母以外の相続人は、原則として死亡日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を行うことが必要です。
成年後見人又は成年後見監督人の選任に数ヵ月を要する場合もありますので、ご家族全員の相続税の申告をスムーズに行うためにも、既に意思能力が十分でない人について、早めに成年後見人の選任を申立てましょう。あるいは、意思能力のあるうちに、任意後見制度を活用することによって後見人を事前に選んでおくというのも効果的です。
遺言書の内容に従い、遺産を分配し直すことができます。
1.遺言の効力
遺言は、遺言者の死亡のときから効力が生じます(民法第985条第1項)。そのために、遺産分割協議を行い、相続税の申告書を提出した後、遺言書が発見されたときには、遺産分割を無効として、遺言の内容に従い、遺産を分配し直すことができます。
ただし、もし関係者全員の合意があるなら、遺産分割を有効とすることや、遺言の内容を考慮した形で遺産分割をやり直すこともできると考えられます。遺言の内容に合っていることが必要だとはいい切れないと思われます。
しかし、ここでは、遺言の内容に従い遺産を分配し直したものとして、説明を続けていくことにします。
2.税務上の手続き
税務上、遺言の内容に従うことで関係者が負担する相続税が変更した場合には、次の手続きを行います。
(1)遺産分割では何も取得せず、遺言により財産を取得し、相続税を負担することが判明した人は、期限後申告書を提出し、相続税の納付を行います。
(2)遺産分割より多くの財産を取得し、当初の申告で納付した相続税が少ないことが判明した人は、修正申告書を提出し、差額の相続税の納付を行います。
(3)遺産分割より少ない財産を取得し、当初の申告で納付した相続税が多いことが判明した人は、更正の請求を行い、相続税の還付を受けます。
(1)は決定を受けるまで、(2)は更正を受けるまで行うことができますが、(3)は遺言書を発見してから4ヶ月以内にのみ行うことができます(相続税法第32条第1項)。
(1)~(3)の関係に留意する必要があります。(3)で相続税が少なくなる人が更正の請求をすると、同時に(1)又は(2)によって相続税を納付する人が現れます。したがって、(3)の更正の請求をする人がいると、(1)又は(2)に該当する人は、期限後申告又は修正申告をしなければなりません。
また、全体の相続税は不変ですので、関係者間で負担する相続税を移動して手続きを終了することもできます。ただし、取得した財産を譲渡した場合に受けることのできる「相続税の取得費加算の特例」は、申告書等に記載されている金額を基に行いますので、正しく特例を受けるためには、上記(1)~(3)の手続きをしなければなりません。
例えば、相続財産が7億円、相続人は配偶者と子供3人(長男、長女、次男)のケースについて、遺言書発見後にどのような税務上の手続きが必要となるかを考えてみましょう。
当初の取得財産・相続税は、配偶者4億円・1億285万円、長男2億円・5,143万円、長女1億円・2,572万円、次男0円・0円でした。そして、遺言書発見後の取得財産・相続税は、配偶者4億5,000万円・1億1,571万円、長男1億円・2,572万円、長女1億円・2,572万円、次男5,000万円・1,285万円です。(税額は、概算です。また、税額軽減の規定は、全く考慮していません。)
したがって、上記(3)に該当して取得する財産が少なくなっている長男は2,571万円の更正の請求を、上記(2)に該当して取得する財産が多くなっている配偶者は1,286万円の修正申告を、上記(1)に該当して新たに財産を取得している次男は1,285万円の期限後申告を、行うこととなります。
なお、遺言書の発見による期限後申告・修正申告について、延滞税・加算税の課税はありません。
1.遺言の効力
遺言は、遺言者の死亡のときから効力が生じます(民法第985条第1項)。そのために、遺産分割協議を行い、相続税の申告書を提出した後、遺言書が発見されたときには、遺産分割を無効として、遺言の内容に従い、遺産を分配し直すことができます。
ただし、もし関係者全員の合意があるなら、遺産分割を有効とすることや、遺言の内容を考慮した形で遺産分割をやり直すこともできると考えられます。遺言の内容に合っていることが必要だとはいい切れないと思われます。
しかし、ここでは、遺言の内容に従い遺産を分配し直したものとして、説明を続けていくことにします。
2.税務上の手続き
税務上、遺言の内容に従うことで関係者が負担する相続税が変更した場合には、次の手続きを行います。
(1)遺産分割では何も取得せず、遺言により財産を取得し、相続税を負担することが判明した人は、期限後申告書を提出し、相続税の納付を行います。
(2)遺産分割より多くの財産を取得し、当初の申告で納付した相続税が少ないことが判明した人は、修正申告書を提出し、差額の相続税の納付を行います。
(3)遺産分割より少ない財産を取得し、当初の申告で納付した相続税が多いことが判明した人は、更正の請求を行い、相続税の還付を受けます。
(1)は決定を受けるまで、(2)は更正を受けるまで行うことができますが、(3)は遺言書を発見してから4ヶ月以内にのみ行うことができます(相続税法第32条第1項)。
(1)~(3)の関係に留意する必要があります。(3)で相続税が少なくなる人が更正の請求をすると、同時に(1)又は(2)によって相続税を納付する人が現れます。したがって、(3)の更正の請求をする人がいると、(1)又は(2)に該当する人は、期限後申告又は修正申告をしなければなりません。
また、全体の相続税は不変ですので、関係者間で負担する相続税を移動して手続きを終了することもできます。ただし、取得した財産を譲渡した場合に受けることのできる「相続税の取得費加算の特例」は、申告書等に記載されている金額を基に行いますので、正しく特例を受けるためには、上記(1)~(3)の手続きをしなければなりません。
例えば、相続財産が7億円、相続人は配偶者と子供3人(長男、長女、次男)のケースについて、遺言書発見後にどのような税務上の手続きが必要となるかを考えてみましょう。
当初の取得財産・相続税は、配偶者4億円・1億285万円、長男2億円・5,143万円、長女1億円・2,572万円、次男0円・0円でした。そして、遺言書発見後の取得財産・相続税は、配偶者4億5,000万円・1億1,571万円、長男1億円・2,572万円、長女1億円・2,572万円、次男5,000万円・1,285万円です。(税額は、概算です。また、税額軽減の規定は、全く考慮していません。)
したがって、上記(3)に該当して取得する財産が少なくなっている長男は2,571万円の更正の請求を、上記(2)に該当して取得する財産が多くなっている配偶者は1,286万円の修正申告を、上記(1)に該当して新たに財産を取得している次男は1,285万円の期限後申告を、行うこととなります。
なお、遺言書の発見による期限後申告・修正申告について、延滞税・加算税の課税はありません。
