内容紹介
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。解説/柴田元幸。
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ネタばれありますよー。
見たくない人は回れ右!
(って、そんな読んでる人もいないだろうけど/苦笑)
まずは一言。
ノーベル文学賞受賞おめでとうございます!
いやね。ちょっと聞いてくれる?
これ、ノーベル賞取ったから読んだんじゃないのよ。
カズオ・イシグロさん、ずっと「読みたい」には入ってて、
でもまた例によってずっと読んでなかった作家さんだったんですよね。
なのになぜか、ノーベル賞受賞する数日前、急に思い立って
この作品を入手したんですよ。
なんでかは分からない。
それから数日後、このニュースが入ってほんと驚いた。
本屋さんでも売り切れ続出と聞いてビバ自分!ってなったよね![]()
天才かな?![]()
ま、ともあれそう言うことです。(どう言うこと)
で、感想です。
他の方のレビューを読むと、この作品はカズオ・イシグロさんの中でも異色とされる方が多いみたいですね。
実を言うとほとんど内容知らない状態で手にとりました。
んで、タイトルとの内容の違いに驚いたよね。
「提供者」たちが施設の中で起こる事件や
人間関係などが、文章自体は淡々と描かれています。
何と言うか...
それ自体はとっっっても甘酸っぱくて、
ちょっとこう背筋がふわっとする感じで、
一言で言うとアオハルかよ!って言う。
(伝わる?)
友達に嫉妬したり、わざと意地悪言って喧嘩になったり、
少し疎遠になったり、心の底では愛し合っていた二人を引き裂くために
主人公を愛しながらも自分では気づいていない男子と恋仲になったり...
←これは後の方で分かる
提供者だろうがクローン人間だろうが普通の人だろうが
あまり変わらない青春を過ごしているような気がします。
まぁ、でもその中にも、自分たちの境遇と言うものが常に暗い影を落としている、と...
初めよく分かりませんでしたよ。
これはSF小説なのかな?って思った。
クローン人間って?って思ったし。
でも、後の方で出てくるけど、どうやら試験管ベイビーたちなんですね。
たぶんですが。
登場人物たちがどこか虚無的なのは、人よりも寿命が確実に定められている、
しかもそれが他人の手に完全に委ねられている、と言う事実があるからなのね。
人は必ず死ぬ。
私もそう。読んでいる人も、読んでいない人も、必ず。
ただこの「提供者」たちは、自分で自分の人生を選ぶことは出来ず、
親の顔も分からず、通常の人たちの命を永らえさせるために
その命を使うしかない。
でも、彼女たちはそれをはっきりとした事実で知ることは、おそらく最後の瞬間まで、ない。
もちろんうっすらとは気付いているだろうけど。
本当に知らなかったか?それは文章の最終章あたりになって
「ルースはきっと知らないまま...」と言うトミーの言葉で分かる。
自分とキャシーは知りたがりだ、でもルースは「信じたがり」だった、と言うトミーの言葉で、
ああ、ルースは知らないまま、でも自分の信じたいことを信じたまま、使命を終えたのだ、と...
それをはっきり知らせようとした教師(保護管)は、
見解の相違で施設を去り、代表者たるエミリ先生は
彼らに何も知らせないこと、で心を守ろうとした...
知っておくべき真実、知らずにいた方がよいこと、の境界線は難しい。
他人が推し量って判断するものではないのかも...
なんて、いろいろと考えた作品の終わりでした。
途中のアオハルな部分はなんか読んでていたたまれなかったわぁ![]()
自分の学生時代も思い出しちゃうからかな![]()
そんな心理描写の的確さも含め、すごい作家さんなんだなぁ、と。
それから「嵐が丘」を彷彿とさせる、イギリスの荒涼とした風景の描写も
彼女らの虚無を上手に補完していてイメージ湧きやすかったな...
ただ、その舞台装置があるからこそ、の作品のよさでもあり、
そう言う意味で日本でのドラマ化はちょっと微妙に思う...
再放送するらしいのですが...
(でも見るけどね)(たぶん)
次は「日の名残り」を読んでみたーい。
...いつ手に入れられるか分からないけど![]()