ヴィンチェロ (Vincero)

東京都新宿区新宿5-1-13MOAビル1F

新宿御苑・新宿3丁目より徒歩12分

新宿御苑前駅から483m

 

結論から言えば我々とは価値観が致命的に合わないお店でした。
まぁお店のスタンスを見れば我々のような客は求めていないのでしょうし、
こちらも二度と行かないので一生交わることは無いのですが、
私にとってこちらのお店は味以前の問題です。でもレビューを見るに
常連さんは多いみたいなので、合う人には合う
お店なのかもしれません。

 

とか言いつつ、何も書かないとただの悪口になるので
我々と考えが相容れなかったポイントを書くと、
事象としては料理と酒のタイミング。
大きく考えれば、レストランに期待すること。

 

具体的には
ペアリングだったのですがスパークリング(食前酒)を
出されたのとほぼ同時にガスパッチョと
それに合う白のソアヴェを提供されたのが分かれ道。

我々は(いつも通り)スパークリングを飲み終わるまで
ガスパチョに手を付けないでいたら、
冷たいガスパチョがぬるくなると良くない、
白ワインは完璧な温度で出しているから
今飲んで貰わないと勿体ない、とか、
まぁ至極真っ当だし料理に対する並々ならぬ
こだわりを感じるアドバイスしてくれたのですが。

 

だったらそもそも(いくらペアリングとは言え)
並々のスパークリングと同時に白を持って来る
のは
店としてサービスのレベルが低すぎるだろ、と思ったのが我々。
別に19時スタートのディナー冒頭で時間が無いわけでもないし。

 

で「今すぐスパークリング空けて白を飲めってこと?」と
聞いてみると「無理なさらずスパークリングは残しておいて頂いて良い」と。
いや無理とか量の話ではなくタイミングの話なんだが…。というか
…逆にスパークリングの温度にはこだわりは無いのか?
…スパークリングをチェイサーにしろ、ということなのか?
この段階で何を言われてるのか正直良く分からない。

 

で決定的に価値観の違いを感じたのはここなのですが、
そんな温度にまでこだわるつもりがあるならと思って
こちらのペースに料理もワインも合わせるようお願いしてみたところ
「私はオーナーでは無いのでペースには口出し出来ない」、
「オーナーに伝えることは出来るが反映されるかは保証しない」と。


正直なところ、また全く意味が分からないことを告げられる。

うーむ…だったら給仕係の彼は何のためにいるんだろうか。
サーブするだけの仕事なのか?キッチンとテーブルの伝書鳩なのか…。
ゲストがテーブルで快適に過ごせるよう気を配ってくれるのが
給仕係の本来の仕事だと思っていたのですが、
こちらのお店は根本から認識が違うようです。

 

もっと言えば
「ワインも料理もペースを見てサーブしてくれ」という希望さえ通れば
この方が「オーナー」だろうが「バイト」だろうが何でも良いのですが…。

しかしちゃんと考えてみると、
そもそもオーナーとやらが料理とワインのタイミングについては
譲れない強いポリシーを持っていて客のペースなんかに合わせない、
ということなのかも知れません。

 

その点を議論するなら、個人的には
やや酸味の強いスパークリングとエミリアロマーニャのソアヴェ、
さらに同時でスープ系のガスパチョという「3点の組み合わせは」
そもそも明確に好みではないのですが。

 

食べログのレビューを見たら
接客について指摘しているものが多いので、
店がパーフェクトと思うものに客が合わせろ、
という思想なのかもしれません。

 

だとすると(結果的にこのお店のおかげで)
結局のところレストランに何を期待するのか、
ということを考えるに至ったのですが、
認識したのは「料理が秀逸だけど居心地が悪い店」
というのは世の中にチラホラありますが、
その類いの店と我々は決定的に相性が悪いということ。

 

料理が美味しいというのは正直当たり前の話で、
ある程度のレベルに行けばそれ自体には限界もある。
そんな中でもディナーの価値を決めるのは(味を前提としつつも)
接客の素晴らしさとか店の雰囲気とかが重なって
結局そのディナーが最高の思い出になるかどうか、
ということだと個人的には思っているのですが、
そういう視点において「料理が秀逸だけど居心地が悪い店」には
そもそも価値を見いだせない
ということが今回良く分かりました。

 

結局この日はそんな気分で終わるのも嫌なので、
恵比寿の前から行きたかったお店を急遽予約して
全部やり直しました。そっちは最高だった。

まぁでも、こういうお店、好きな人は好きなんだと思います。