以前のことですが、中学受験を「プロジェクト」として見たらどういうことになるのか、という記事を書きました。

現実世界のプロジェクト。さまざまなプロジェクトに関与してきましたが、その最終局面。どんなプロジェクトでもほとんど同じような光景が展開されます。仕様は完全にフリーズ(凍結)され変更は原則禁止。とにもかくにも、現在残っている問題。それをすべて洗い出して、1つ1つ丹念に潰していく。そのための「問題(トラブル)管理」「しつこいほどのテストのくり返し」「最終仕様についてのクライアントとの深夜にまでわたる調整」。それを日々繰り返す。そんな状態になります。

このプロジェクトの最終局面で必ず登場するのが「問題管理表」。問題管理システムやエクセルのワークシートに、1つ1つ、詳細な問題点と修正に要するワークロード。重要度や実運用に向けてのインパクト。それが毎日のようにチェックされ更新されていく。場合によっては「ウォールーム」なる部屋がセットされ、ホワイトボートを中心として、壁じゅうに問題とその担当者。問題解決に向けての見込みや進捗状態。そんなものがベタベタと貼りだされていく。そのウォールームに、関係する担当者とプロジェクトの責任者=プロジェクト管理者、それにクライアントの責任者が集結して、問題解決に向けて、1つ1つ優先順位をつけながら、期日の死守とプロジェクトの成功に向けて、誰がいつまでに何をするべきなのか。行動計画が毎日のように再検討されてゆく。

なにやらおどろおどろしい情景のように見えますが、単刀直入にいってその目的はただ1つ。「見切りのポイント」を見つけ出すことなのです。この期に及んで「あれも欲しい・これも必要だ」というのは簡単ですが、実際のところそれが無理だとすれば、この時点でできることは「何を見切って」「何に集中するのか」。たったこれだけです。これを決めるだけのことに、プロジェクトの英知を結集して徹底した検討・議論をしていくわけです。それほどにも「何を見切るのか」・・・この点を見極めることは難しいわけですね。

中学受験における最後の「手探りの40日間」。これについても状況はまったく同じです。この期に及んで何か新しいことに手をだす時間はどこにもない。それまでに突き進んできた道。その延長上にすべての「残された課題」が並んでいなければならない。しかもそれら課題全てを解決する時間も残されていない。「何を見切って」「何に集中するのか」。それこそ「ウォールームのホワイトボード」よろしく、「カウントダウン・カレンダー」を駆使して調整していくことになります。この時期になっても手のついていない過去問が残っているという状況。現実世界のプロジェクトで言えば、最後の秒読みの段階で、まだシステムの中核部分の開発が終わっていないようなものなのです。

この最後の「手探りの40日間」。この期間を整然と「志望校の入試問題に挑戦するための最終調整」に利用するために、そこから逆算して今日までの作業の段取りを順をおって逆算しておきましょう。そのつもりでカウントダウン・カレンダーに学習課題の段取りを記入しておいてください。先々の詳細はわからない・・・だとしたら、時期ごとの作業の大枠。これを記入しておきましょう。そのつもりでカウンドダウン・カレンダーを眺めなおしてみてください。志望校の過去問10年分を3クール。併願校の過去問を各3年分1クール+解き直し。併願校を5つ考えているとしたら、塾から出される学習課題とはべつに、それらの過去問をこなすだけで、のべ60日という時間が必要になります。我が家の場合は2教科2校受験でしたが、それでも過去問に30日間分もの時間を確保しておく必要がありました。

お子さんのこの時間をどこから稼ぎだすのか。それをいまから考えておきましょう。加えてその時間を効率よく使えるように必要な計画を立てておく。それこそが親御さんたちに求められている課題=志望校対策なのです。赤本を本棚から(それとも押し入れ?)とりだして、ぜひ今すぐ手にとってみてください。必要な分析ツールはすべて公開してあります。ご家庭で用意していただく必要があるのは親御さんの時間のみ。ツールと時間を上手に使って、来年の年明けにはお子さんにぜひよい結果を残してあげてください。

関連記事: