高市早苗を信じるな
「高市フィーバー」の裏で進む国家崩壊のシナリオ―人気総理が悪法を通す時、日本は必ず壊される「高市フィーバー」とマスコミが騒いでいる。支持率71%、まるで国民全員が彼女を待ち望んでいたかのような報道。だが、この国ではいつも同じことが繰り返されてきた。人気がある総理の時ほど、必ず「悪法」が通る。これは偶然ではない。意図的に演出されている構造である。思い出してほしい。小泉純一郎の支持率は80%を超えていた。「自民党をぶっ壊す」と叫び、拍手喝采を浴びながら、日本の土台を壊した。郵政民営化で350兆円のゆうちょ・かんぽ資金をゴールドマンサックスなど外資の食い物にした。国民が築いた資産は、民営化の名のもとに海外に流れた。そして竹中平蔵がりそな銀行を「護らない」と言い放ち、日経平均を7,600円まで落とした。その後すぐに「やっぱり護る」と言って、2兆円もの公的資金を注入。この揺さぶりで誰が得をしたのか。答えは言うまでもない。株価を暴落させて買い叩き、公的資金で回復させ、巨額の利益を得たのは外資と政商たちだ。「政府による株価操作」を書いた記者たちは消された。朝日新聞の鈴木啓一記者は「りそな銀行、自民党に融資10倍」という記事を出す前日に東京湾に浮かんでいた。これが日本の「構造改革」の実態だ。それでも国民は拍手を送り、「改革だ」「新しい政治だ」と信じた。小泉劇場のシナリオは完璧だった。だが、その舞台裏で国の財産は売られ、主権は差し出されていった。2009年、鳩山政権が誕生したとき、彼らは郵政株の売却を止めた。「郵政株売却凍結法」を制定し、外資への完全売却を防いだ。だがそのたった3年後、安倍晋三政権が法律を改正して外資が買えるようにし、郵政株の政府保有分は今や38%まで落ちている。つまり郵便・金融・物流のインフラが、実質的に外資の支配下に入ったということだ。そして安倍政権がやったことを思い出してほしい。特定秘密保護法、共謀罪、種子法廃止、種苗法改正。どれも「安全保障」「知的財産の保護」「グローバル競争力強化」など、もっともらしい名目で飾られていた。だが中身は国民の監視と、農家の首を絞める仕組みだ。共謀罪は277項目にも及び、戦時中の治安維持法と同じ構造だ。証拠なしで逮捕できる。「話し合ったかもしれない」「共謀したかもしれない」だけで罪に問える。これが現代の日本で成立している。改正種苗法では、農家が自分の畑で採った種を翌年に自分の畑に蒔いたら懲役10年。共謀罪と組み合わされば、「蒔いたかもしれない」「交換したかもしれない」だけで逮捕できる。石垣島のサトウキビ農家の92%が自家採種をしている。つまり、ほとんどの農家が今、法律上「犯罪者」扱いなのだ。誰のための法律か。答えは簡単だ。モンサント、バイエル、シンジェンタ――外資のアグリビジネスのためである。この構造に一度歯向かった政治家がいた。石破茂と、松岡利勝である。松岡農水大臣は、日本の米を1,000〜1,400万トン生産し、余剰分を輸出しようとした。雨不足や災害があれば、その輸出分を国内に回せばいい。中学生でも分かる理屈だ。だが、その方針を掲げた松岡大臣は翌月に死亡した。石破茂も同様に、減反政策を止めて増産へと舵を切った。新聞は「歴史的転換点」と書いた。だが、世論は「裏切り者」と彼を叩いた。国民が真実を見抜けなかったのだ。その隙に、減反政策は高市政権によって完全に復活した。そして今、「高市フィーバー」である。女性初の総理、強い保守、毅然とした外交。メディアが作り出した幻想が国民を包み込む。だが、肝心の政策は報じられない。それもそのはずだ。高市政権の最大の目的は「緊急事態条項」であり、それ以外にない。これが通れば、この国は終わる。内閣が国会を通さずに法律を作り、憲法すら一時停止できる。一度発動されれば、国民の権利は無期限に奪われる。表向きは「災害対応」だが、実際は「国家総統制条項」だ。戦時中の国家総動員法の再来である。小泉が郵政で国を売り、安倍が共謀罪と種子法で国民を縛り、高市が緊急事態条項で憲法そのものを凍結する。人気総理の役割は常に「悪法を通すための看板」である。そしてその舞台裏で糸を引くのは、外資と官僚、宗教政治ネットワーク。誰もが気づかぬうちに、日本は完全に支配構造の中に組み込まれている。なぜいつも人気総理のもとで国が壊されるのか?それは、国民を眠らせるためである。「改革」「保守」「新時代」「女性初」――こうしたキーワードはすべて催眠の道具だ。国民が夢を見ている間に、法律が通り、主権が削られ、未来が売られていく。政治家の出自を問題にする前に、誰が背後で資金を動かしているのかを見なければならない。竹中平蔵は郵政民営化、PFI、派遣法改正で日本の雇用と資産を切り売りしてきた。橋下徹は「地方分権」という名のもとに国家の解体を進め、外国資本の地方進出を容易にした。安倍晋三は「保守の仮面」をかぶりながらグローバリズムを推し進めた。そして高市早苗は「国家緊急権」を掲げながら、完全なる統制国家を完成させようとしている。国民が再び「人気」に騙されれば、この国は終わる。緊急事態条項が通れば、もう二度と民主主義は戻らない。自由も、言論も、所有も、すべて政府の管理下に置かれる。これは戦争より恐ろしい「静かなクーデター」だ。だが希望はまだある。真実に気づいた人が、声を上げ、繰り返し伝え続ければいい。松岡利勝のように、真っ当な理屈でこの国を護ろうとする人は必ずいる。問題は、国民が彼らを信じず、「人気」に流されてしまうことだ。人気政治の裏で国が壊れてきたこの20年の歴史を、私たちはもう忘れてはならない。「人気者が正義」と思った瞬間、悪法は静かに通る。だからこそ今、最も冷静でなければならないのは、私たち国民である。