キャラバン方式
協賛型とも言われる方式。一般的には60分で15~18商品くらいを紹介するもの。協賛するメーカーや販売会社は、企画会社に300~650万円前後の協賛金を支払い、1商品につき2.5~4分間をかけて紹介する。企画会社は主にローカル局を中心に、1~2ヶ月間かけて放送(キャラバン方式と言われる所以)。自社で制作から媒体購入までを行うのに比べ、比較的リスクが少ないといわれている。企画会社がスタジオの手配からタレントの選定、演出、媒体計画まで全てを受け持つ。
インフォマーシャル方式
アメリカで生まれた方式。キャラバン方式との大きな違いは、商品数が少ないことと、同じ説明を繰り返し行うこと、基本的に1社が商品提供していることなどである。心理学的な手法も駆使し、売上げを伸ばしている。日本では主に深夜に30分から1時間くらい放送され、媒体費が深夜だと安いという反面、購買層はある程度限られる。また、映像はほとんどの場合はアメリカで使用したものを編集、吹き替えして使用するため、制作費を大幅に抑えることができる。
スポット方式
60~180秒程度のスポット枠で商品を紹介する方式。 現在はCS放送が主だが、以前キー局のゴールデンタイムに放送し、1分で数千個の商品が売れたという実績もある。媒体費はCS放送の場合1分10,000円以下で購入できるところもあるものの、制作費がかかるため、失敗した場合のリスクは大きい。ただし、キャラバン方式と違い、繰り返し同じ商品を放送することができる上、放送枠の拡大を自由にできるため、損益分岐点を越えれば利益はどんどん増大する。視聴者が前もって「これから通販のCMを観る」という認識を持っていない上で視聴するため、衝動的な購買に頼らざるを得ないという欠点もある。
生コマーシャル
詳細は「生コマーシャル」を参照
その他の方式
百貨店など小売業者がスポンサーとなっているワイドショーなどの番組内で紹介されるものや、深夜のテレショップ番組で毎回新しい商品を紹介するものなどがある。一般的にはスポンサーの大手通販会社や小売業系通販部門が押さえている場合が多い。
放送の形態 [編集]
主に次のような形態により放送する。録画番組が中心であるが、生放送のものもある。
専用放送局の開局
ケーブルテレビやCS上に専門チャンネルを設け、そのチャンネルでテレビショッピング番組を放送する。
24時間放送出来るなどの利点がある。コストがかかるのが欠点。
他の放送局での放送
既存のテレビ局から番組枠を購入し、番組を放送する[1](放映枠買取形式)。
放送時間は限られるが、CS等と比べて視聴可能人口の多い、または視聴する確率の高い放送局で放送されることが多いため、番組を放送することによる反響が大きい。最近はテレビショッピング番組の放映時間が増えており、その日のフィラーの前に放送されることも多い。場合によってはほぼ同時刻に、全ての局で異なるテレショップ番組を放送していることもある。収入の少ないBS放送局や地方ローカル局では頻繁に放送される(特に祝日では定時のローカル番組の放送自体が休止となるためその代わりとして放送されることがある、番組購入が多い老舗局や第二開局局)。選択の自由がないとして、他ジャンルの番組の放映を希望する声がおきやすい。
放送局がテレビショッピング事業に進出するケースもある。
とちぎテレビではテレビショッピングのことを『生活情報番組』と称している。
番組の内容 [編集]
番組によって異なるが、基本的には次のような流れが多い。
1.通販業者の販売員・芸能人及びいわゆるサクラ等が出演する。
2.商品の利点などを販売員が説明(デモンストレーション)し、それが事実であることを証明する(極端な状況下で商品を使用するなど)。
3.芸能人らは商品を絶賛するが、商品が高価格ではないかと懸念。
4.販売員は「今なら○○が付きます」などと付加商品を提示した上で価格を提示、芸能人らは価格の安さに驚き、さらに絶賛。
5.申し込み先、問い合わせ先(多くはフリーダイヤルの電話番号)などを提示。
このような典型的な番組形態のほかに、情報番組風、バラエティ風、ドキュメント風、ドラマ風、音楽番組風、教養番組風、報道番組風など様々な形態がある。
日本のテレビショッピングはそれまで主として日中のワイドショーやドラマの再放送などにおける1~2分程度のスポットCMが中心だったが、その後一般の番組を模倣した15分から1時間程度の番組として扱われるケースが多くなった。
また、複数の商品を紹介する従来からの形式に加えて、ある1つの商品をクローズアップして、それを先述の形式の内容で放送する形態が増えつつある。三井物産の「テレコンワールド」(テレビ東京、1997年7月-?)が先駆的なものとしてスタートし[2]、現在はオークローンマーケティング(ショップジャパン)、プライムショッピングなどもそれを行っている。種類の項を併せて参照されたい。
テレビショッピングの利点 [編集]
電話等の通信手段を使用するだけで商品を得ることができる(大手の通販会社だとフリーダイヤルで通話できることが多い)。
放送局にとって、番組制作のコストがかからず高い利潤が得られる。
店舗を持たないため、人件費等の安い地方に本社や拠点を置くことができる。実際、このような業者は九州などの地方に拠点を置いていることが多い。
テレビショッピングの欠点 [編集]
商品の情報はテレビの画面と説明だけが頼りとなり、手にする機会がない状態で購入するため、後悔するケースがある。
放送時間に限りがあることから、商品の説明が誇大広告になりがち、または説明が十分でない場合がある。実際のケースでは薬事法違反で放送を取りやめた例などがある(→参照)。また、実際にはその効果がないにもかかわらず効果があるかのように謳い、後に公正取引委員会から排除命令を受けた事例も幾度かある。
テレビショッピング増加でTVの自体の質が段々落ちている。tvkテレビ神奈川では番組の全体70%~80%はテレビショッピングで占めており、2010年9月日刊ゲンダイで「テレビは病んでいる」シリーズにテレビショッピングの批判記事を掲載しこのままでは視聴者やネットユーザーから完全にソッポを向くと民放TVの姿勢を批判をした。
基本的には通信販売であり、クーリングオフができない[3]。これらの背景から、健康食品や化粧品などを中心に「番組の印象と違う」「返品を受け付けてもらえない」などの消費者センターへの苦情相談件数が増加している[4]。
販売する商品 [編集]
電気製品、健康食品、ダイエット商品、日用品といった定番のものから化粧品、装飾品、音楽CD、学習用品、スポーツ用品まで多岐にわたる。時には個人向け国債や新聞などが販売されていることもある。海外では、パッケージツアー、生命保険や傷害保険、投資商品まで取り扱っている。
国内製の商品または国内の業者が開発した商品は、日本人が当該商品を紹介することが多い。商品の傾向は通販業者によって様々であるが、主に電気製品、健康食品など、日本人にとって関心の高い分野の商品を取り扱うことが多い。
海外製の商品または海外の業者が開発した商品は、当該外国人が商品を紹介したものを日本語の吹き替えを付けて放送することが多い。商品は主に化粧品のほか、主に米国で盛んなダイエット商品(運動器具やサプリメントなど)関連の、コンプレックス産業系の商品が多く見られる。
音楽CDの場合は、レコード店では取り扱わない通販限定品(通販CD)を販売するケースが多い。
薬事法に関する注意テロップ [編集]
通信販売で扱われた健康食品や浄水器、美容商品などに関して、宣伝に問題があり、厚生労働省や公正取引委員会が警告を出す例が続出したため、テレビショッピングでは商品説明や客が感想を述べる場合には原則として「個人の感想であり、(商品の)効果・効能をあらわすものではない」という主旨で注意を促すテロップを出すことが習慣となっている。
これは薬事法(第66条)[5]において『医薬品など厚生労働省の審査を得ていないものについて効果・効能を謳ってはならない』と定められていること、効果もないのにもかかわらず病気が治る、防止できるなどの宣伝文句を謳うことは不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)にも違反するためである。
またこのテロップを出してからは宣伝文句もソフトになり、直接「健康にいい」というのではなく、間接的に「飲みやすい」「栄養成分がこれだけ含まれている」などといった表現が多くなっている。
もっともこのようなテロップを入れていても、実質的に効果・効能を謳っているならば薬事法に違反することになり、厚生労働省による法律の解釈、運用によっては今後の対応が変化する可能性もある。
テレビショッピングの公共の電波との問題点 [編集]
主に地上波放送において、その限られたチャンネル数と大多数の視聴者への影響から、公共の電波(地上波)で資本力により私的な営利法人が、もっぱら番組自体を広告化していることについて、放送の原則論から少なからず批判がある。
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