「娘の初恋」
○好きなセリフ○
青年「おかげさまで、
あり得ないことが現実に叶いました」
沙良「それは……」
青年「諦めていたことが、なんでもまだ可能なのかもしれない。
そう思うと、ちょっとはしゃぎたくなってしまって。
すいません、一緒にいて恥ずかしかったですか?」
沙良「ううん、そんなことないけど、」
青年「けど?」
沙良「私たちは普通の結婚とは……」
青年「いいんです。それでも。
これがホントの仮面夫婦?」
沙良「……そうね」
沙莉「見た目とシチュエーションに騙されないで。
ここ、弱いようでしぶといから」
青年「今考えると甘えですよ。
苦しみや悲しみを理解して欲しかったから。
他ならぬ彼女にだけは」
和久「好きだから、愛してるからこそ
ひでぇ態度を?」
青年「矛盾してますよね」
和久「いや、わかるよ。
どうでもいい相手にはしねぇもんな」
沙莉「やだ、だって
まだ知り合ったばっかりの男の子だよ?」
青年「百年知り合っても、
何とも思わない人だらけだよ」
青年「恋人でも、夫婦でもそうなんでしょうね」
テツ「まぁ、してもらって当然みたいな相手には、
何もしてやりたくなくなるだろうなぁ」
青年「ただただ、むなしいだけでしょうね」
テツ「ただただ、むなしいか……」
青年「誰だってはじめは失恋の免疫なんてありません」
沙良「そんなことわかってる。
でも普通じゃないから、」
青年「普通ですよ。ごく普通です」
沙良「何を言ってるの?」
青年「視線を外されてショックを受けた?」
沙良「ええ。あなたもそう思うでしょ?」
青年「いいえ。私は違うと思います。
沙莉ちゃんはほっとしたんです」
沙良「どういう意味?」
青年「ほっとしてどこか安心した。
前の晩は眠れなかったのでしょう。
苦悩と緊張から解き放たれて、
その反動で発作が」
沙良「ほっとした…?」
青年「彼女は現実を知ることが出来たからです。
それが、悲しい現実でも」
沙良「まるで用意していた言葉ね」
青年「カタルシスが欲しい。
人はどんな人でも、
いえ。
普段社会や家庭で報われない人程、
心の奥でカタルシスを欲しがっている。
生きる意味です。
そんな彼が、
身体の弱い姪に哀願されたらどうでしょう。
叶えてあげたい、
そう奮い立っても不思議じゃないでしょう」
沙良「なんてことを……」
青年「沙莉ちゃんは感謝しているはずです。
悲しい現実を思い出して、
胸が締め付けられるように
きゅんとする。
これから思い返して
泣いてしまう夜があるかもしれない。
センチメンタルな夜です。
それでも、
何もない夜より、
はるかにステキな夜だからです」
沙良「それが、命の危険を、」
青年「自分だけの大切な夜です!
あなたはそれを奪おうとした」
沙良「死んでしまう、」
青年「誰だっていずれ死ぬんだ!
いいですか。
生きることと、
ただ生きてることは違うんです。
まるで違う。
思いが募るだって?
何が悪い。
押さえつければ、
マグマのように中で煮えたぎるだけだ。
やがて、心が崩壊してしまう」
○感想○
偽装結婚とはいえ、
記念日を大切にしてくれたり、
写真を撮ろうとしてくれたり。
青年が別人のように
無邪気で楽しそう。
なんだかそうした若い青年らしさが
垣間見えてよかったです。
出来なかったことが出来たんです。
そりゃ嬉しいですよね。
そして沙莉の恋ですが、
母として娘を思ってというよりも
狭い世界においておきたいからという
強欲さな気がしました。
今まで二人ですべてを共にしてきた、
そして感情も分け合って。
だからこそ恋は許せない。
他に誰かが入って来るなんて、
そんなことは許せないんじゃないかな。
旦那ですら嫌だったんだから。
そんな強欲な母と娘の繋がりを感じました。
しかし恋をして沙莉が変わることを恐れて。
想像の世界がリアルの世界とリンクして
ごちゃごちゃになること、
それが恋だという
青年の表現がすごく好きでした。
怒られてるときに眠ってしまった。
なんだかその表現もすごくステキで。
彼は安心したんでしょう。
自分と別れることを怒ってくれたこと。
そして悲しんでくれたこと。
感情を高ぶらせたこと。
それは自分だけに見せる姿かもしれないから、
彼はきっと安心したんだろうな。
だからその愛に包まれて、
眠ってしまったんだと思います。
野島さんの世界観はやっぱり素晴らしいです。

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