妖しき文豪怪談[片腕]|映像は作家ほど変態になれず
2010年8月23日 22:00 NHK 原作 川端康成 監督・脚本 落合正幸 撮影 木村祐一郎 映像技術 田代浩由紀 飯塚守 美術 佐々木敬 CG制作 岡野正広 大石洋平 特殊造形 松井祐一 プロデューサー 神戸將光 中頭千廣 * cast 平田満 芦名星 山田麻衣子 安藤玉恵 内田みずき 三枝奈都紀 上口香寿美 声の出演:内藤啓史 (ドキュメンタリーパート) 語り 津嘉山正種 取材協力 川端康成記念会 水原園博 平山三男 監修 東雅雄 |

| 「あたし、片腕を一晩お貸ししてもいいわ」 娘が自らの腕を男に貸す場面から始まる「片腕」。ノーベル文学賞作家、川端康成が斬新な感覚の前衛的作品を遺していたことは意外に知られていない。「片腕」の世界の映像化に落合正幸監督が挑戦する。 |
まったく今さらなのだが、連休のおかげで、ようやく見ることができた。
しかし二夜目の塚本晋也☓太宰治は見そこねた(録画失敗)。
それにしても、ドキュメンタリーパートの監修者、幻文の東君ですよ。
ナニゴトも続ければ何かになるんだねー。
塚本作品を見そこねたので、この「片腕」が最もケレン味が強い作品になる。
原作が原作だからだ。
川端康成が変態、しかも晩年になるほど変態だということは、
意外な事実でも何でもないと思うのだが、
NHK的には、あえてノーベル賞作家の…というところから始めたいらしい。
ノーベル文学賞は1968年で、受賞理由は
「great sensibility expresses the essence of the Japanese mind」だし、
記念講演は「美しい日本の私」だから、そーゆーことにもなるのだが、
とても変態な「みづうみ」を書いたのは1955年だし、この「片腕」だって1965年なのだ。
一等有名な「雪国」だって、序盤は、
…島村は退屈まぎれに左手の人差し指をいろいろに動かして眺めては、結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている、はっきり思い出そうとあせればあせるほど、つかみどころなくぼやけてゆく記憶の頼りなさのうちに、この指だけは女の触感で今も濡れていて、自分を遠くの女へ引き寄せるかのようだと、不思議に思いながら、鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが、…と、かなりエロいのは周知の通り。
(しかもこの後、島村は、「こいつだけが一番よく君を覚えていたよ」と 駒子に人指し指を突きつけるのである)
念のため書き添えるが、以上はすべてホメているのであり、川端康成は紛れもなく天才である。
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| 片腕 文豪怪談傑作選 (ちくま文庫) | みずうみ (新潮文庫) | 雪国 (新潮文庫) |
うーん、脱線しすぎた。
そんでこのドラマだが、どうも、そのまんま過ぎる気がする。
台詞も描写もすべて正確で、今、何行目…となぞるようである。
芦名星は筋力の人だと思っていたが、たしかに腕は美しい。
腕って、それだけ取り外すとあんなに長くて邪魔そうなものなんだね。
芦名が身長高いせいかと思ったが、165cmで、そうでもないのである。

★他の日の妖しき文豪怪談
後の日|是枝監督は流石(2010-08-26)
鼻|芥川的なものではない(2010-08-25)


