巨人の星(再放送)[第99~100回]|運命の出合&炎の青春
(再放送)2010年10月4日~ 月~金 19:00~20:00(毎回2話放送) TVK 原作 - 梶原一騎(作)、川崎のぼる(画) 脚本 - 山崎忠昭、松岡清冶、佐々木守、長浜忠夫、辻真先、斉藤次郎、松元力、島修司、さわきとおる、吉田喜昭、山崎晴哉、宇佐美寛、伊東恒久、林すみ子、鈴木良武、竹内泰之、吉田茂承、斉藤望、金子裕 作画監督 - 楠部大吉郎、香西隆男、椛島義夫、斉藤博、遠藤正史 美術監督 - 小山礼司(1話-57話)→影山勇(58話以降) 美術デザイン - 小山礼司(67話以降) 音楽 - 渡辺岳夫 原画 - 塩山紀生、米川功真、荒木伸吾、小林治、森下圭介、小松原一男、石黒昇、今沢哲男、中村英一、芝山努、近藤喜文、北原健雄、前田実 他 コンテ - 吉川惣司、出崎哲、富野喜幸、奥田誠治 他 演出 - 長浜忠夫、出崎哲、小林きよ子、小林かおる、斉藤博、石川輝夫、奥田誠治、吉田茂承、斉藤望、吉川惣司、御厨恭輔 ナレーター - 小林恭治 協力 - 東京読売巨人軍 資料提供 - 越智正典(91話) 制作 - よみうりテレビ、東京ムービー * cast 星飛雄馬 - 古谷徹 星一徹 - 加藤精三 星明子 - 白石冬美 花形満 - 井上真樹夫 |
第99話★運命の出合
出合? 出逢い?
宮崎県営球場でキャンプが始まる
記者に囲まれる飛雄馬
「どうして、どこへ行っても契約更改のことを聞かれるんだ(-_-メ」
飛雄馬は憮然としているが、すでに柴田も城之内も妥結し、残るは飛雄馬だけなのだ
とはいえ投球は絶好調、伴も満足そうである
そこへ女子高生軍団が…
黄色い歓声に伴の返球をとりそこね、
弾いたボールが観客席に飛び込む
白衣の天使・日高美奈さん
「なんということをしちまったんじゃい、おれたちは!」と頭をかかえる伴
「すいません、よそに気をとられて、つい…」
「つい、ですって!」
ビシーッ
「ひどいじゃないですか、謝っているのに…」
(女の子も気性が激しいな、九州は…)これは伴の内心の声
女の子を背負い、「病院はどこです?」
美奈さんは「結構です、遠いですから」とにべもない
じゃあ、ということで近くの病院へ
美奈の内心→(星さんってお気の毒なほど感じやすい方だったのね…)
キラン
川上「星よ、お前の頬にピシャリと鳴った南国乙女の平手打ちは、
これからの野球人形・星に何をもたらすか!」
南国乙女wwwてゆか、何を言いたいのかwww
結局、怪我は痣だけで済み、タクシーで美奈の病院に向かうことに
バスも途中までしか来ておらず、タクシーでも入れない山道だという
女の子の父親は大阪へ出稼ぎ中、母親は宮崎の旅館で住み込み
このあたりは炭焼きだけで生計を立てている山村
プロパンや石油に押されてそれもままならぬという
(日本中が昭和元禄というわけではないのだ…)と飛雄馬は考える
サイケ全盛のこの頃、イザナギ景気というものがあったのである
どんどん山奥に入っていく
ここで止めてくださいと降りたところでまだ道のりの半分なのだという
「美奈さんもよくか細い腕でこの子を背負って…
いや、か細くはないのう、天下の星飛雄馬を張っ倒したんじゃから!」
「まあ…(*^-^*)」
一同山道を分け入ること1時間といったところか、
「あれが沖先生の人間愛と奉仕精神の砦ですわ」
沖診療所
「天下の星選手のご入来とは光栄ですな」
沖医師の目の清冽さに感心する飛雄馬である
ま、一杯どうぞと先生は焼酎を勧めるが、
「いえ…僕らはまだ未成年ですから…」
そういえば飛雄馬はゴオゴオクラブでもジュースを飲んでいたね
先生、勤務中に酒飲んでいいのか
「高校1年で中退しました、進学していれば、今2年です」
「ほう、美奈君と同い年だな、高校を中退したのも同じだ」
美奈は免許をもっているわけではない、無給の見習いとの由
月給なし!
なんとそこまで!
奉仕の精神にいたく感動する飛雄馬
免許ないんだし17歳なんだから、そんなに驚かなくてもいいんじゃないか
そこへ大怪我をした患者が運ばれてくる
「おい、えらいことになってきたな」
「ああ、帰るに帰れん」
暴れる患者、なぜか焼酎を…
「そんなことをしてると出血多量で死ぬぞ!」
しかし美奈に水をぶっかけられて静かになる
死んでもいいなら悲鳴をあげるな!
そして何やらシリツが始まる
飛雄馬と伴はシリツをガン見
美奈、なぜかフララに…
「僕が代わりましょう、あなたは疲れているんだ」
「いえ、この診療所は私の誇りですから」と奈美は手を振りほどき、
「あなたの野球にかける情熱と同じですわ」
エッ!
俺の野球には栄光がある、名声がある
それでさえ野球人形などと悩んでいる…
欲を出すことで人間らしさを取り戻そうとしたみみっちい俺に比べて、
はるかに人間らしい豊かな青春が、ここにはある…
シリツを終えた二人に、飛雄馬はいきなり札束を
これをお役に立ててください!
「なんだって…」と伴は慌て、飛雄馬を部屋の隅に連れていくと、
「おい星、あれはお前が宮崎にもってきた全財産じゃないのか?」
キャンプに自費参加している飛雄馬は、素寒貧になると宿なしになってしまう
しかし飛雄馬はあっさりと「契約更改すればいいのさ、給料釣り上げを諦めてね」
伴は驚き、ガメツイ人間作戦は中止かと問う
「ああ中止だ、もっと素晴らしい代わりを見つけた!」
ええ?と振り返った伴、美奈の姿を見て、「星、まさか…」
まさか、橘ルミと別れたばかりなのに…
ということで再び札を渡した飛雄馬であった
以上が運命の出合のいきさつであった
第100話★炎の青春
「闘魂こめて」をBGMに巨人軍の練習風景
精を出す飛雄馬の姿を見ながらベンチで1軍選手にハッパをかける金田
「金田さんだってベンチで…」
「どあほう、わしはこれでもう20年飯をくっとるんや、マイペースや!」
その会話を聞きつつ飛雄馬は「金田さんも人が悪いや…」と苦笑いして、
「もっとも俺には関係ないが!」
われながら球がよく走ってる、監督さんもこれでは文句あるまいと自身満々の飛雄馬
早々に練習を切り上げ、伴にグローブを頼んで、「門限までには帰ってくるよ」
「あんな山道まで毎日ランニングとはお前も熱心じゃのう」
照れながらながら去る飛雄馬に、
「あんなええ娘が今どきどこにおるか、お前は幸せもんじゃぞ…」
バスで麓まで行き、そこから山を駆け上る飛雄馬
飛雄馬さん!
美奈は「私の友達を紹介するわ!来て!」と崖の上に飛雄馬を連れていく
おうい雲よ ゆうゆうと 馬鹿にのんきぢやないか どこまでゆくんだ ずつと磐城平の方までゆくんか |
これは山村暮鳥の「おなじく」という詩である
(美奈は「雲」という題だと言っているが)
飛雄馬はどさくさに紛れて美奈の手を握り
美奈さん、お願いがある
「君が雲に語りかけてきたその言葉の半分でもいい、この僕に分けてほしい
僕もあの雲のように君の言葉を聞きたい!」
いっぱしの口説き文句を使えるじゃん、どこが野球人形なんだwww
冷や汗をかきながらだが…
美奈さんは「手が痛いわ!」と聞こえなかったふり
アハハ…
そして飛雄馬はまた走って帰り
「まったくよく走る男だね」と沖医師
「そうなの、いいトレーニングになるんですって」
「さしあたって日高君は星君の手助けをしているということかな」
「先生の意地悪!」
若者のいじらしい恋を満足げに見つめる沖医師だった
次の日は雨である
どうせ練習は休みだろうと高をくくって沖診療所に出かけようとしていた飛雄馬
監督呼び出しのミーティングじゃぞ、と伴に止められる
そこで都城二軍キャンプ行きを命じられたのは金田と飛雄馬である
(この金田の二軍行きは昭和44年に実際にあったことだとナレが入る)
そんなばかなっ
翌日、飛雄馬はやはり絶好調、しかし川上は一瞥もくれない
「美奈さんへの愛で練習をおろそかにしたことは断じてない!」
ようやく監督がちらりとこちらを見たので、我慢できずに、オープン戦に連れていけと直談判
「気をつけてものを言え!」と川上
お前は人並みの練習じゃダメなんだ、血の滲むような猛練習じゃないとな!
「練習は量じゃない、質だ!」
まいった…
「やはりプロの水はあまくなかった…」
その背中を見ながら伴は
「こうなったらグラウンドにこもっての猛練習しかない…
イヤそんなむごいことはわしには言えん!」
恋人の二軍落ちをスポーツ紙で知る
「なーに、あれほどの男だ、必ず立ち直るよ」と慰める沖医師
「それに都城だったら近いから、オープン戦に行くよりいいじゃないか」
やっぱり私がいけなかったのね
「それは違う! そんなふうに考えるのはやめたまえ!」
「私もそうだからわかるの、張りつめていた心が崩れそうになるの
私の宿命をいっそのこと話してしまおうかと」
「そんなことを言う必要はない!」
「私、飛雄馬さんを好きよ! 私の心をぶつけてみたい!」美奈は感きわまって叫び、
「そしてあの人の腕の中で思いきり泣きたい、慰めてもらいたい!」
飛雄馬の代わりに先生の腕の中で泣く美奈であった
「日高君、君の宿命については僕だけが知っていればいい…」
そこへ飛雄馬から電話がかかってきて、日南海岸で会う約束をとりつける
「先生、もう私はあの人に会うことはできなくなるかもしれませんわ」
はじめての異性への愛、それがこんな短い時の間に消えていくとは、なんとむごい…
涙がとまらない沖先生であった
「出かけるのか、星」と伴、じつは電話も盗み聞きしていたのだが…
「ああ、日南海岸で会うことになっている」
なかなかお前もセンスいいのう
「あそこはムード満点じゃぞ
月の光に輝く海の面、岸辺に佇む女ひとり…ええのうまったく!」
お前はタイコモチかwww
「隠すな、伴」と飛雄馬は遮り、
「俺は美奈さんを愛している、あの人の心を思うだけで胸が痛くなるほどだ
しかし俺には美奈さんと野球をひきかえにはできん、
もう一度だけ美奈さんに会ってくる、さよならを言うためだ…」
行って来い、最後の夜だ…
一方、日南海岸では――
明日からまたあなたとお友達になれてよ、と夜空にかかる雲に語る美奈であった
伴の言った通りの風情である
巨人の星 全11巻セット (講談社漫画文庫) ¥7,161