tuv374のブログ

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のに包まれて。
 見ると、シオリが恥ずかしそうに、僕の握る拳に手を添えていてくれた。顔を真っ赤にして、僕から眼を背けて。
「……」
 シオリは答えない。
「何で、何でわかっているのに、僕はそこへ行けなかったのかな」
 僕は誰に言うでもなく、呟く。
 でも――力に取り付かれた僕に、今みたいに救いの手を差し伸べてくれたのは、君なんだ。そして、この美術館に君と来て、僕はここでそれをはっきりと知ることができた。
 彼女の差し伸べてくれた手を、もう絶対に離したくなかった。
 そう思ったから、僕は握り拳をゆっくりと解いて、シオリのセリーヌ
、紅葉のように小さな白い手を取った。
 彼女は恐る恐る顔を上げた。
「さぁ、次に行こうか」
 安心させようと、一瞬笑って見せたけど、すぐに自分の言った言葉の恥ずかしさに耐え切れなくなった。
 僕は彼女の手を引き、歩き出す。
 光に包まれた、その道を――
Ant-lion

「お台場に行ってみないか」
 お互い行った事もなかったし、近かったので、そんな僕の提案はすぐ通った。
美術館を出て、品川から山手線で新橋はすぐ近くだった。新橋のSL広場を抜け、ゆりかもめに乗り換え、台場駅に向かった。
 まるでロープウェーのようなゆりかもめの進行に、僕達は少しはしゃぎ気味だった。海が見えて、船が見えると、田舎者丸出しに喜んだ。
「綺麗な夕日だ」
 ゆりかもめから、海の向こうに沈んでいく夕日が見えた。
 台場駅で降りると、セリーヌ ラゲージ
すぐ前にアクアシティがあった。その隣に、5メートルほどの、小さな自由の女神があった。
「写真撮ろうよ」
 シオリは自分のトートバッグから、デジカメを取り出した。
何で女の子は、プリクラとか、こういう静止画の記録が好きなのだろう、と思う。きっと、女の子は忘れっぽいからなのだろう。だから思い出を形で残そうとする。男がそれをしないのは、きっと思い出から、すぐに覚めてしまうからだからだろう。。男は現実――生きることの苦痛が、女よりも多いことを、例外なく知っている。
 僕はカメラを使ったことがない。家族がカメラを持っていないからだ。我が家は一度も家族旅行へ行ったことはなかったし、運動会にも親は参加しなかった。だからこれは僕の生まれて初めて撮る、学校の集合写真以外の写真かも知れなかった。
 シオリは、細い腕をいっぱいに伸ばして、さっき買ったペアリングを光らせて、デジカメのシャッターを構えた。これでは自由の女神はバックにならないだろうけれど、まあいいか、と僕は思う。こうして写真に残すことで、思い出を作る作業なんて、僕が今まで路傍の石ころのように関心のなかったことも、今は少しずつ経験していこうと思うから。
「……」
 不思議だ。生きるために意味を見出そうと、シャネル 財布
躍起になって動いていた時より、何も考えてない、こんなとりとめもないことばかりの今の方が、自分が安定している。
 この頃になると、僕はシオリと自然に会話が出来るようになっていた。どんな流れではじめたのか、もう忘れたけれど、既に手もつないでいたし、歩きながら色々な話をした。
 アクアシティを散策した後、フジテレビの前へやってきた頃には、もう空は暗くなっていた。イベントで、テレビで芸能人が作った創作料理を再現して売る屋台があった,Kate Spade。小腹が空いていたので、僕達はそこで売っていた、マンゴープリンをモチーフにしたらしい、パパイヤプリンなるものだけを食べた。これならハズレがなさそうだと思って買ったのだが、とんでもなく不味かった。後で聞いたら、番組史上一番の不評スイーツだったのだそうだ。
 その後、海浜公園をひと歩きして